内臓とともに、時に心の疲れや体力の低下など、ストレス・免疫低下によって起こる皮膚症状があります。特定の原因がなく、何らかの皮膚症状が出ている場合は、ストレスの影響もあり得ます。ストレスにもさまざまな種類がありますが、それらが複雑な形で絡み合い、皮膚の健康状態に影響を及ぼすといわれています。
- 日々、仕事に追われていて疲れている
- 睡眠不足が続いている
- 不規則な食事生活が続いている
など、これらの状況が続いてストレスが過度になると、自律神経や免疫系の機能が乱れ、皮膚の健康状態を損なう引き金となります。
ストレスによって起こる湿疹(アトピー性皮膚炎)
アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下してしまい、湿疹による強いかゆみが繰り返し起こる病態です。アトピー素因があるとストレスを感じたときに、我慢できずにかゆいところを掻いたりこすったりしてしまいます。

ついつい皮膚をかきこわしてしまうと、肌が傷つけられてバリア機能も破壊してしまいます。皮膚の状態はさらに悪化し、より一層かゆみが増すという悪循環に陥りやすくなるのです。炎症が悪化し、さらなるかゆみや湿疹を誘発します。
ストレスによって起こる蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚に繰り返し現れる赤みやくっきりとした円形もしくは地図状の皮膚の盛り上がりが特徴的です。下記が蕁麻疹の写真です。よく湿疹と混在されますが、湿疹とは違った蕁麻疹特有の症状があります。

かゆみや赤み、ブツブツ・水ぶくれなどの特徴的な症状でる湿疹と違って、蕁麻疹は一時的に赤くぷっくりとした腫れが突然現れます。かゆみを伴うこともありますが、数時間以内に消失したり、また出たりもします。このように「突然出ては消える」という点が蕁麻疹の特徴です。
水泡ができたり、傷口がジュクジュクと化膿してしまうこともある湿疹と違って、蕁麻疹は膿が溜まったり、水泡になることはありません。蚊に刺された後のように、ぷくっと膨れては、その後、跡形もなく消えていきます。
蕁麻疹の原因は多岐にわたりますが、発症や悪化の背後には心理的なストレスも大きく関わっていると考えられています。
蕁麻疹の皮膚細胞を研究した結果、ストレス反応に関連するタンパク質の量が増加しており、それがかゆみを引き起こすヒスタミンの放出を促していることが明らかになっています。
また、ストレスによる蕁麻疹は
なども、その誘発要因としてあげられます。
ちりちり、ズキズキとした痛みのある皮膚症状
免疫力が低下すると、ウイルスが体全体に広がったり他の臓器に転移するリスクが高まります。
単純ヘルペスは肉体的ストレス、精神的ストレスが重なることで発症しやすい病気です。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病態は、加齢などによる免疫機能の低下が発症原因の1つとされています。免疫低下が起こった際、以前にかかった水ぼうそうが片側性の皮膚に比較的広めの範囲で再発します。後遺症としていつまでも痛みが残ってしまうことも少なくありません。

帯状疱疹は顔面に出現すると、難聴や顔面神経麻痺の原因になることもあります。(ラムゼイ・ハント症候群:ハント症候群)
そのほかの皮膚症状
糖尿病患者さんは、毛穴が赤くはれて小さく盛り上がって痛む「毛包炎」や、癤(せつ)といういわゆる「おでき」ができやすくなります。
さらに水虫にも感染しやすくなる、帯状疱疹が発症しやすくなるなど、さまざまな皮膚疾患のリスクを高めます。
一般的な疾患である肝臓病、糖尿病、高脂血症、腎臓病、および内臓がんなどの病気が皮膚に与える影響について説明します。内臓疾患以外にも、糖尿病や甲状腺などのホルモンや内分泌系の異常でも皮膚や爪、髪の毛などに影響が出ることがあります。