最終更新日:2024.02.08

蕁麻疹の原因はストレスや疲れ?症状と種類別の治療法・予防対策を解説

蕁麻疹の原因はストレスや疲れ?症状と種類別の治療法・予防対策を解説

蕁麻疹(じんましん)は、突然皮膚に部分的な盛り上がりが生じる病気です。赤く腫れて、かゆみを伴うのが特徴です。皮膚病変の中でも比較的よくある病気で、どの年代でも約15~20%の方が一生のうちに一度は蕁麻疹を経験するといわれています。蕁麻疹は原因がはっきりしているものと、原因がわからないもの、大きく2つのタイプに分けられます。

本記事では、皮膚科専門医に監修していただき、蕁麻疹の原因と症状、種類別の治療法・予防対策を解説しています。

蕁麻疹(じんましん)の特徴的な症状

蕁麻疹(じんましん)は、皮膚に地図のようなふくらみが突然くっきりと現れて赤く盛り上がりが生じる皮膚の病変です。

症状としては、ヒリヒリ・ちくちくとしたかゆみや、皮膚が焼けるような痛みを感じることもありますが、短時間ですぐに消えるのが蕁麻疹の特徴のひとつです。

発症して1ヶ月以内に消失するものを急性蕁麻疹、それ以上長引く続くものは慢性蕁麻疹と診断されます。

蕁麻疹が起こる仕組み

蕁麻疹によって皮膚がふくらんだり、かゆみの症状がでるのは、皮膚にあるヒスタミンという物質の作用によるものです。

アレルギー物質や、ストレス・温度変化による刺激(アレルギー以外)をきっかけに、皮膚内にあるマスト細胞とよばれるものが活性化します。このマスト細胞からヒスタミンをいう物質が放出されると、ヒスタミンの作用によって血管から水分が漏れやすくなり、真皮に浮腫(むくみ)が起こります。また、ヒスタミンが知覚神経を刺激して、かゆみの症状を引き起こします。

ひとつひとつの膨疹が消失しても、次々と新しいものが再び現れたり、ふくらみの範囲が移動または広がったりすることもあるため、まずは蕁麻疹がどのようなことがきっかけで発症するのかを知り、他の皮膚疾患と区別することが大切です。

蕁麻疹は原因がわからないものが多い?

蕁麻疹は、

  • 原因が明確にわかるタイプ
  • 原因がわからないタイプ

大きくこの2つのタイプに分けられます。

原因がはっきりとわかるタイプは「刺激誘発型の蕁麻疹」とよばれます。

一方で、原因がわからないタイプは「特発性型の蕁麻疹」といいます。蕁麻疹のほとんどがこの「特発性型」で、全体の約70%を占めるといわれています。

刺激誘発型の蕁麻疹の原因

刺激誘発型のタイプ(原因がはっきりしている蕁麻疹)は

  • アレルギー物質
  • アレルギー以外

この2つに大別されます。

蕁麻疹の原因となるアレルギー物質と非アレルギー(アレルギー以外)を紹介します。

アレルギー物質によって発症する蕁麻疹

食 品 魚介類(サバ、アジ)、甲殻類(エビ、カニ)、卵・乳製品(鶏卵、牛乳、チーズ)、肉類(豚肉、牛肉、鶏肉)、穀類・野菜(大豆、小麦、蕎麦)など
食品添加物 人工色素、防腐剤(パラベンなど)
薬 剤

抗生物質(ペニシリンなど)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)、せき止めなど
※ これらが要因となって起こる蕁麻疹を「イントレランス」といいます。

植 物 イラクサ、ゴム、花粉、イラクサ(漢字で蕁麻と書き、蕁麻疹の語源となった植物)
ダニ類、昆虫(ハチやムカデなどに触れる・刺される)

 

アレルギー以外で発症する蕁麻疹

物理的な要因 衣類などによる摩擦・圧迫・こすれ、振動、寒冷・温熱の刺激、光線(日光)など
感染症

寄生虫、真菌(カビ類)、細菌、ウイルス

発汗

入浴や運動時の汗
※ 発汗が原因で1〜4mm程度の小さな皮疹ができる蕁麻疹(コリン性蕁麻疹)

内臓・全身の病気 甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病など

 

蕁麻疹(じんましん)の原因となるストレス・疲れ

原因がわからないタイプの蕁麻疹(特発性型)は、ウイルスや細菌などの感染症、食べ物をはじめ、ストレスや疲れなどのさまざまな要因が複雑に絡み合い、発症することがあると考えられています。りますが、明確な原因は特定されていません。
 
原因が不明であることは不安を感じさせるかもしれませんが、これは決して珍しい現象ではなく、適切な治療によって症状を軽減させることが可能です。じんましんが持続する場合も、不安になることはありますが、治療を諦めず、持続的に取り組むことが重要です。
蕁麻疹は疲れやストレスがあると悪化しやすいため、「しっかり休息をとれていない」「疲れがとれない」という方は注意が必要です。

蕁麻疹(じんましん)と似た症状の病気

蕁麻疹と似たような症状を特徴とする皮膚疾患には、

  • 丹毒(たんどく)
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
  • 虫刺され
  • 多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)
  • 伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)
  • 成人スティル病(せいじんスティルびょう)

などがあります。

蕁麻疹(じんましん)に関するよくあるご質問

蕁麻疹を誘発するヒスタミンとはどのような物質ですか?

ヒスタミンは、体内で生産される生理活性物質(生体の生理や行動に作用して体の機能を調整する化学物質)です。アレルギー反応、炎症、胃酸分泌、そして神経伝達に重要な役割を果たします。

この物質は、免疫システムの一部として、異物や感染に対する身体の防御反応を助けるために細胞から放出されます。特に、アレルギー反応が起こるとき、ヒスタミンは血管を拡張させて血流を増加させることで、白血球が感染部位へと移動しやすくなるようにはたらきます。これが、アレルギー反応や炎症時に見られる赤み、腫れ、かゆみなどの症状を引き起こします。

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こちらの記事の監修医師

土山 健一郎

名取つちやま皮ふ科土山 健一郎 先生

宮城県名取市にある「名取つちやま皮膚科」、院長の土山です。

私は東北大学医学部を卒業後に、宮城県の他、山形や青森などの東北地方の様々な病院で、皮膚科を学んできました。最も長く勤務した東北大学病院では、皮膚科全般の診療の他に、専門として乾癬と白斑の患者さんの診断、治療を行ってきました。

当院では、患者さんが治療に意欲を持てるように、患者さんの訴えや希望をよく聞き、丁寧に説明をすることを大切にしています。薬を処方するのは医師ですが、実際に内服薬を飲んだり、外用薬を塗ったりするのは、患者さん自身です。患者さんが納得して治療を行うことが良い結果を生むと考えております。

宮城県や東北県内で乾癬や白斑の治療に励んでいる方、名取市でニキビや蕁麻疹などの症状にお困りの方、かかりつけの皮膚科をお探しの方は、名取つちやま皮膚科へご相談ください。

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