心臓の拍動を普段より強く、速く、乱れているように、または脈が飛ぶように感じる症状の総称です。
動悸は病名ではなく症状であり、心臓の病気だけでなく、ストレスや睡眠不足などでも起こります。
安静にしているのに急に心臓がドキドキした、脈が一瞬飛ぶ感覚があった、運動していないのに胸が激しく鼓動する――このような「動悸」は、多くの人が一度は経験する身近な症状です。
ストレスや寝不足など心配のいらないケースがある一方で、不整脈や心臓の病気、貧血、甲状腺疾患などが背景にあることもあります。
この記事では循環器専門医監修のもと、動悸のタイプ別に考えられる原因、緊急性の見分け方、受診前に記録しておきたい項目を、循環器内科の視点から解説します。
この記事のポイント
動悸とは、心臓の拍動を普段より強く、速く、乱れているように、または脈が飛ぶように感じる症状の総称です。動悸は病名ではなく、心拍の変化や拍動への自覚によって生じる症状を指します。
実際に不整脈がある場合のほか、心拍が大きく乱れていなくても、ストレスや緊張などで拍動を強く意識して動悸を感じることがあります。
ストレスや緊張、睡眠不足、発熱、脱水、カフェインやアルコールの摂取などは、交感神経の働きや心拍数に影響し、動悸のきっかけになることがあります。また、一部の市販薬、サプリメント、禁煙補助薬などが影響する場合もあります。
動悸の原因は心臓だけではなく、貧血や甲状腺機能亢進症など、心臓以外の病気でも起こり得ます。次章では、動悸のタイプ別に考えられる原因を解説します。
動悸は「どのように感じるか」によって、背景にある原因の見当がある程度つけやすくなります。以下は代表的なタイプの一覧です。
| 感じ方・経過 | 考えられる原因の例 | 補足 |
|---|---|---|
| 突然始まり、突然止まる速い動悸 | 発作性上室性頻拍、発作性心房細動・心房粗動など | 発作性上室性頻拍では、規則正しく速い脈を感じることがある |
| 脈がばらばら・不規則に乱れる | 心房細動など | 心房細動では脈が不規則で、速くなることもある |
| 脈が飛ぶ、一瞬止まった後に強く打つ | 期外収縮など | 期外収縮では「飛んだ」後の拍動を強く感じることがある |
| 徐々に速くなり、徐々に落ち着く | 洞性頻脈 | 発熱、脱水、貧血、甲状腺機能亢進症、緊張・不安などが背景になることがある |
| 運動時の動悸に胸痛・息切れ・失神を伴う | 不整脈、心筋症、弁膜症、虚血性心疾患など | 症状の強さにかかわらず早めの評価が重要 |
| 安静時にも繰り返す・長く続く | 不整脈、貧血、甲状腺疾患、薬剤性など | 心電図や血液検査で確認することがある |
動悸の感じ方だけで原因を特定することはできません。症状があるときの心電図記録や、24時間ホルター心電図などの検査が診断に役立つ場合があります。
規則正しい速い脈が突然始まり、突然止まるように感じる場合は、発作性上室性頻拍などが原因の一つとして考えられます。発作が起きていない時には通常の心電図で異常が確認できないこともあるため、症状の記録やホルター心電図などが役立つ場合があります。
心房細動では、脈が不規則に乱れることが特徴です。脈が速くなって動悸や息切れを感じることがありますが、脈拍数が必ず速くなるとは限らず、症状がほとんどない場合もあります。
なお、高血圧は心房細動の発症・再発に関係する重要なリスク因子の一つです。高血圧、糖尿病、睡眠時呼吸障害の治療や、肥満・喫煙・過度の飲酒といった生活習慣の改善は、心房細動の発症・再発リスクを下げる観点からも重要とされています。詳しくは高血圧症の記事もあわせてご覧ください。
「脈が一瞬飛ぶ」「一瞬止まった後にドンと強く打つ」と感じる症状は、期外収縮でみられることがあります。期外収縮は健康な人にも起こり、心臓に明らかな病気がなく、症状が軽く、頻度も多くない場合には治療を必要としないことが少なくありません。
ただし、動悸が強い・頻繁に起こる、胸痛や息切れ、めまい・失神を伴う、心臓病を指摘されている場合には、循環器内科で評価を受けることが推奨されます。
安静にしていても動悸が続く場合には、不整脈のほか、発熱、脱水、貧血、甲状腺機能亢進症、薬剤やカフェイン・アルコールの影響などが関係していることがあります。
甲状腺機能亢進症では、動悸・頻脈に加えて、暑がり、発汗の増加、体重減少、手指の震え、疲れやすさ、不眠などを伴うことがあります。
動悸の強い・弱いという感じ方だけでは、原因の重さを判断することはできません。強い不安や期外収縮でも強い動悸を感じることがある一方、重い不整脈でも症状が弱い、あるいは無症状のことがあります。
症状が強くなくても、失神、胸痛、息切れ、運動時の悪化などを伴う場合には、重い不整脈や心臓・血管の病気を確認する必要があります。反対に、強い動悸を感じても、必ずしも重い病気とは限りません。症状の経過や脈の乱れ、随伴症状、心電図所見などを総合して判断します。
このような場合は、次章で解説する「危険な動悸」に該当しないかを確認してください。
動悸に次のような症状を伴う場合は、重い不整脈、急性心筋梗塞などの急性冠症候群、急性心不全、脳卒中などの可能性があります。様子を見ずに、ためらわず119番への連絡を検討してください。
特に、動悸と失神・前失神の組み合わせは、不整脈による失神を疑う重要なサインとされています。
症状が落ち着いても、失神や胸痛を伴った場合には自己判断せず、医療機関に相談してください。胸痛や冷や汗を伴う動悸は、急性の心臓・血管の病気を含め、緊急の評価が必要な場合があります。詳しくは狭心症の記事・心筋梗塞の記事もあわせてご覧ください。
救急性の高い症状がない場合でも、以下のような動悸があるときは、早めに循環器内科などへ相談してください。
受診時にスムーズに状況を伝えられるよう、以下の項目を記録しておくことをおすすめします。

一部のスマートウォッチには、心拍リズムを確認し、心房細動の兆候がある不規則な心拍を検出した場合に通知する機能があります。日本では、Apple Watchの心電図アプリおよび不規則な心拍通知機能は、管理医療機器として承認されています。
ただし、この通知は心房細動の可能性を示すスクリーニング情報であり、確定診断ではありません。通知が繰り返される場合や、動悸、息切れ、胸部不快感、めまいなどの症状がある場合は、循環器内科で心電図などによる評価を受けましょう。
反対に、通知がない場合でも、動悸や失神、胸痛、息切れなどの症状があるときは、通知の有無だけで自己判断せず、医療機関に相談してください。
心臓の拍動を普段より強く、速く、乱れているように、または脈が飛ぶように感じる症状の総称です。
動悸は病名ではなく症状であり、心臓の病気だけでなく、ストレスや睡眠不足などでも起こります。
発作性上室性頻拍や心房細動などの不整脈が考えられますが、症状だけで原因を特定することはできません。
長く続く動悸や、以前より頻度・持続時間が増えている動悸は受診の目安の一つです。強い胸痛や失神を伴う場合は、持続時間にかかわらず救急受診を検討してください。
洞性頻脈、不整脈、貧血、甲状腺機能亢進症のほか、発熱、脱水、薬剤やカフェイン・アルコールの影響などが考えられます。
動悸の強さだけでは、原因の重さを判断することはできません。
重篤な不整脈や心臓の器質的疾患が背景にあることもありますが、強い不安や期外収縮でも強い動悸を感じることがあります。失神や胸痛、息切れを伴う場合は、症状の強さにかかわらず速やかに評価を受けてください。
原因によって対応は異なります。
ストレスや生活習慣が関係している場合は休養や生活改善が助けになることがありますが、不整脈など疾患が背景にある場合は、医療機関での検査を経て、原因に応じた治療方針が検討されます。
不整脈(期外収縮、心房細動、発作性上室性頻拍など)、貧血、甲状腺機能亢進症などが挙げられます。
発熱や脱水、不安・緊張など、病気以外の要因で起こることもあります。
たまに起こる短時間の動悸でも、原因を症状だけで判断することはできません。
緊張、睡眠不足、カフェイン摂取など思い当たるきっかけがあり、すぐにおさまり、胸痛・息切れ・めまい・失神などを伴わない場合は、急を要しないこともあります。ただし、頻度が増える、脈が明らかに不規則に感じる、日常生活に支障がある、心臓病の既往がある場合は、循環器内科などへ相談しましょう。
発作性上室性頻拍など、突然始まるタイプの不整脈が一因として考えられますが、それ以外の可能性もあります。
症状の記録や心電図検査で確認することが重要です。
心臓の拍動リズムや強さの変化によって起こります。
ストレスやカフェインなどの生理的な要因のほか、不整脈や貧血、甲状腺疾患などの病気が背景にあることもあります。
循環器内科への相談が適しています。
かかりつけ医や一般内科でも初期評価を受けられ、必要に応じて循環器内科につなぐことがあります。胸痛、失神、強い息苦しさ、冷や汗を伴う場合は、通常の外来を待たず救急要請を検討してください。循環器内科の記事一覧もあわせてご覧ください。

さいとう内科・循環器内科 はるかぜ医院齊藤 秀典 先生
私は北上市の総合病院に2009年に赴任し、最初の13年間は循環器内科、後半の2年半は緩和ケア科で勤務させていただきました。地元の病院で地域貢献できることは楽しく、このまま勤務医として医師人生を送っていこうと考えていましたが、50代半ばとなり考え方や体力面なども変わってきて、今までとは別の形での地域貢献を考えクリニック開院にいたりました。
私は、健康は自分への投資と考えています。今から自分の健康に気を配り、運動するなど時間を投入すれば、将来健康を維持できる可能性は高くなると思います。1年後、3年後、10年後にどんな生活を送っていたいかを考え、その目標を達成するためには健康が必要不可欠であることを認識しましょう。はるかぜ医院では一人一人の目標にむけて一緒に歩いていくように健康面をサポートしたいと考えています。
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