最終更新日:2024.06.06 | 投稿日:2023.08.23

狭心症とは?原因と種類、病気の兆候となる初期症状を解説

狭心症とは?原因と種類、病気の兆候となる初期症状を解説

心臓の筋肉に血液を送っているのは冠動脈とよばれる血管です。この冠動脈に何らかの障害が起こると、血管の中が狭くなって心臓に送られる血液が不足してしまいます。狭心症はこのように心臓が酸欠状態になってしまう病態です。

この狭心症を放置した場合、最終的に陥るのが心筋梗塞(心臓の血管が詰まる病態)です。狭心症と心筋梗塞は、成人の心臓病で最も多い病気であるといわれています。時に命が危険にさらされる決して見逃してはいけない病気です。

本記事では循環器専門の医師に監修していただき、狭心症の原因と種類、病気の兆候となる初期症状を解説しています。

狭心症とは

狭心症とは、冠動脈とよばれる心臓の血管に何らかの障害が起こり、血管が狭まってしまうことで十分な血液が流れなくなる病態です。血流が滞ってしまうことで、心臓の筋肉は一時的に酸素不足(虚血)に陥ります。

その結果、胸痛や心筋代謝異常、心機能障害などを起こしてしまうのがこの病気の特徴です。狭心症が進行すると、やがて血管が塞がってしまう状態となる心筋梗塞を発症します。

狭心症の引き金となるのは、ほとんどが加齢や動脈硬化(血管が硬くなり弾力性が失われた状態)によるもので、さまざまな心臓病の中でも「突然死のリスクが高い病気」と考えられています。

狭心症は年齢が上がるにつれて発症リスクやその危険性も増すといわれていますが、30代や40代で発症する方も少なくありません。

時に命が危険にさらされることもある一方で、実は適切な治療によって改善できるケースがほとんどです。それにもかかわらず、多くの方が亡くなってしまうのは、自分の体の異変に気づかないことや、気づいてもそれを心臓の異常とは思わずに放置してしまうことがあげられます。結果的に病気が見過ごされてしまうのです。

狭心症の治療には、さまざまな選択肢もありますが、病気の悪化や再発を防ぐためには生活習慣の改善が極めて重要です。狭心症を防ぐために、身体と心の健康を重視した生活習慣をつけるようにすることと、少しでも気になる症状があったらすぐに受診することを心がけましょう。

狭心症の3つの種類

狭心症はその発症原因によって

  • 安定狭心症
  • 不安定狭心症
  • 冠攣縮性狭心症

の3つの種類に分かれます。

これら3つの種類の狭心症については発症原因の違いに触れながら『狭心症の原因』の項で解説します。

また、狭心症はその危険度によって大きく2つに分類されます。

1つは慢性冠動脈疾患です。安定狭心症と冠攣縮性狭心症がこちらに該当します。安定狭心症は酸素不足になり胸が痛くなる狭心症です。主な原因は動脈硬化です。一方、冠攣縮性狭心症は血管に異常な収縮が起こることで発症します。こちらは動脈硬化ではない、さまざまな要因によって発症します。

もう1つが急性冠症候群です。不安定狭心症がこちらに該当します。心筋梗塞に移行しやすい極めて危険度の高いタイプの狭心症であり、早急な治療が求められます。

狭心症の初期症状・病気の兆候

狭心症の初期症状・病気の兆候狭心症の主な初期症状、病気の兆候としてあげられるのは、

です。

たとえば運動後に胸が締め付けられるような痛みや動悸を感じるケースがあります。

これは血管が狭まり、血流が悪化することで、急な運動時に心臓への適切な酸素供給が妨げられてしまうことで起こる現象です。

動悸がなかなか収まらず、めまいなどの症状がみられるのも、酸素の供給に時間がかかり一時的な酸素不足が起こるためであると考えられます。

一方、睡眠中や安静時にもかかわらず、胸の痛みや胸が締め付けられるような圧迫感を覚える方もいらっしゃいます。しばらくすると症状が落ち着くことが多く、特に気に留めずにそのまま放置してしまう方も少なくありません。

また、これらの症状よりも先に、

  • 肩こり
  • のどの詰まり
  • 胸焼けや胃痛
  • 歯痛

などが現れることもあります。

そのため、心臓の異常だとは気づかずに、整形外科や歯科を受診する方もいらっしゃいます。

自覚症状がない場合

心臓の血管が狭くなったり詰まったりして、実際に血流不足が起こっているにも関わらず「自覚症状がない」というケースもあります。これを「無症候性心筋虚血」といいます。

無症候性心筋虚血はもともと狭心症になっている方や、心筋梗塞の治療後の方に起こりやすいと考えられます。また、これまで発作を起こしたことがない方でも、糖尿病患者やご高齢の方にも無症候性心筋虚血が多いこともわかっています。

自覚症状がある方はもちろんですが、たとえ自覚症状がなくても、健康診断や特定健康診査などの定期検診をしっかり受け、定期的にご自身の体と向き合うことが大切です。

狭心症の重症度(CCS分類)

CCS分類とはカナダ心臓血管協会(Canadian Cardiovascular Society)によって定められた重症度の指標です。自覚症状に基づいて具体的に分類されており、特に狭心症の患者さんを対象としています。

CCS分類では、狭心症を軽度である【Ⅰ度】から重度である【Ⅳ度】まで、4段階に分けています。重症度が高いほど日常生活にも支障をきたしやすくなるため、注意が必要です。
Ⅰ度 日常生活では症状が起こらないが、「仕事やレクリエーションなどを激しく・急に・長時間行った」ときなどに発作が起こる。
Ⅱ度 日常生活にやや支障が出る。「急いで歩いたり、階段や坂道を登ったりした」、「食後・ストレスを感じた日・気温が低い日・風が強い日・起床後2時間以内のいずれかのタイミングで歩いたり階段を登ったりした」、「普段と変わらないペースで100〜200m以上歩いたり、階段を2段分以上登ったりした」ときなどに発作が起こる。
Ⅲ度 日常生活が制限される。「普段と変わらないペースで100〜200m歩いたり、階段を2段まで登ったりした」ときなどに発作が起こる。
Ⅳ度 日常活動すべてにおいて支障が出てしまい、安静にしていても発作が起こる。

狭心症の原因と種類

狭心症はその発症原因によって

  • 安定狭心症
  • 不安定狭心症
  • 冠攣縮性狭心症

の3つの種類に分かれます。

不安定狭心症の原因

不安定狭心症の最大の原因は動脈硬化です。 冠動脈の壁に脂質成分の多いプラーク(血管内膜にコレステロールが蓄積してできた血管のコブ)ができ、血管の内腔が狭くなります。

プラークを覆う被膜は薄く、いつ破れてもおかしくない不安定な状態です。 何らかのきっかけで突然プラークが破綻して、急速に血栓が形成されることがあります。血栓とは血の塊のことです。血栓は溶けてはできるのを繰り返すので、症状の現れ方は一定ではありません。 動脈硬化が軽度の場合でも、プラークの被膜が破れて大きな血栓ができると、一気に心筋梗塞を招く恐れがあります。

以上ように、プラークの破綻は危険度が高いことから、プラークが安定しているかどうかを検査することが、狭心症の診断をするうえで極めて重要です。

不安定狭心症と診断された場合は、すぐに治療が必要です。

安定狭心症の原因

狭心症のなかでもっとも多いのが、安定狭心症です。

不安定狭心症と同じく、動脈硬化が原因で発症し、プラークによって内腔も狭くなっていますが、不安定狭心症とは違ってプラーク内の脂質成分は少ないという特徴があります。表面を覆う被膜が厚く破れにくいため、安定した状態です。心筋梗塞に進む危険性も、比較的低いといえます。

安定狭心症は、運動したときや興奮したときに症状が現れます。人は運動をする際、多くの酸素が必要となります。すると心臓がそれに応えるために、心筋がより多くの酸素を求め、血液量を増やそうとします。しかし、動脈硬化が進んで冠動脈にプラークできると、血管の内腔が狭くなっているため、血流を十分に増やせず、労作時にな血液供給ができません。その結果、血液不足に陥ります。

朝の通勤時に急いだり、階段を登ったりしたときなど、主に労作時に酸素不足となり胸の痛み等の症状が現れることから、労作性狭心症ともよばれます。安定狭心症の特徴の1つとして、立ち止まると楽になるという例がよくみられます。

冠れん縮性狭心症の原因

血管が一時的にけいれんを起こして、血管の内腔が狭くなることで狭心症状を引き起こすのが、冠れん縮性狭心症です。

冠動脈のけいれんは、プラークの有無に関わらず起こります。自律神経の働きが乱れていたり、血管の内側を覆う内皮細胞の機能が低下していると、けいれんが起こりやすいと考えられていますが、はっきりと解明はされていません。

症状は夜間から早朝に現れることが多いので、検査で発見するのが難しく、診断に時間がかかるケースも多いです。

いずれの場合でも、

  • 喫煙
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • アルコール過多
  • 寒冷刺激

などによって、けいれんが誘発される可能性が高いため、治療を行ううえでこうした生活習慣を避けることが大切です。

狭心症の検査診断

狭心症の検査診断まずは注意深く問診して、狭心症のタイプを見極めることが重要です。

その後、各種検査によって虚血の程度(血管が血液を送っている組織や細胞に血液が十分に供給されない状態、どれくらい酸欠状態に陥っているか)を調べます。

安定狭心症の検査診断

十分な運動が可能な状態で、心電図による虚血評価が可能と判断した場合、まずは運動負荷心電図でリスク評価を行います。その結果、リスクが低い場合は経過観察となります。

一方、運動負荷心電図検査の結果、中等度リスクないし判定不能と判断された場合、冠動脈CT検査、負荷SPECT検査などが検討されます。 これらの検査は、十分な運動ができないと判断された場合や、心電図による虚血評価が不可能と判断された場合にも実施されることがあります。

運動負荷心電図の結果、高リスクであると判断された場合は、冠動脈造影CAG検査が行われます。冠動脈CT検査、負荷SPECT検査などで異常がみられた場合も、冠動脈造影CAG検査が検討されます。

これらの検査は、いずれも体に障害等の負担をかけない比較的安全な検査(非侵襲的検査法)なので、安心して検査に望んでください。

冠攣縮性狭心症の検査診断

冠攣縮性狭心症は、安静時(もしくは安静時と労作時)に発作が起こるという特徴があります。 そのため、薬剤によって自発的に発作を起こして心電図検査を実施(負荷試験)したり、ホルター心電図(24時間心電図)によって発作出現時の心電図を計測したりすることで診断をします。

狭心症の治療

狭心症の種類や病態の進行度・重症度によって

  • 薬物治療
  • 冠動脈カテーテル治療
  • 外科治療

以上、3つの治療法が検討されます。

狭心症の薬物治療

基本的な治療となるのが薬物治療です。主に冠動脈の狭窄が深刻でない場合に用いられます。発作をコントロールして日常生活に支障が出ないようにすることを目的に、発作を鎮める薬や予防する薬を処方します。また、心筋梗塞予防のために血栓の形成や動脈硬化の進展を防ぐ薬も使われます。

薬物治療後も発作のコントロールができず、心筋梗塞のリスクが高まっているという場合は、カテーテル治療や外科治療を検討します。

カテーテル治療

血管に細い管(カテーテル)を入れて内側から冠動脈の狭窄部分を広げて血流を良くしていく治療です。外科治療よりも身体の負担が少ないことから、最近ではカテーテル治療を選択するケースが増えています。

外科治療

カテーテル治療を行なった後も再発を繰り返している場合や、カテーテル治療では狭窄の状態が改善できないという狭心症には、外科治療として冠動脈バイパス手術を行います。   狭窄部分をまたぐようにしながら、大動脈から冠動脈の遠位部に別の血管をつなぐことで血液の通り道を作り、血流を保つという手術です。

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こちらの記事の監修医師

南條 光晴

仙台駅東クリニック南條 光晴 先生

宮城県仙台市で「仙台駅東クリニック」を開業しております。院長の南條です。

当院では生活習慣病等の内科外来、循環器専門外来(心臓血管外科術後、カテーテル治療後、ペースメーカー術後等)、そして在宅診療を行っております。病状の安定のためには、医師のみではなく、看護や介護、薬剤管理やリハビリテーションなど多職種が連携しながら、包括的に関わっていくことが重要です。

患者様の医学的な側面だけではなく、生活や人生観、ご家族に寄り添いながら、皆で力を合わせていく必要があります。私たちはそれが医療の本質と考え、患者様の生きがいと、また自分たちのやりがいを大切にしながら、誠実な医療を実践していきます。

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