どちらも強いかゆみと皮膚の炎症が見られます。
どちらも強いかゆみと皮膚の炎症が見られますが、アトピー性皮膚炎は幼少期から続くことが多く、顔や関節の内側などに繰り返し湿疹が現れます。一方、痒疹は成人以降に突然現れることもあり、皮膚のあちこちに硬く盛り上がった結節(ブツブツ)が多数できるのが特徴です。かゆみの程度も非常に強く、慢性化しやすい点が異なります。
痒疹(ようしん)は、かゆみの強い虫刺されのような発疹が増える皮膚病です。我慢できずに、皮膚をかきこわしてしまわないように注意が必要です。似たような皮疹がでる疾患は多いため、なるべく早めに皮膚科を受診しましょう。
本記事では、皮膚科専門医監修のもと、痒疹の症状と原因をわかりやすく解説しています。
痒疹とはかゆみの強いポツポツとした皮膚のもりあがりがいくつもできる病気です。一見、虫刺されのようにも見えるこの発疹は、発症から数週間続き、1ヶ月以上治らなことが多いです。夜も眠れないほどかゆみの症状に悩まされている方が多く、見た目上も大きな悩みになることが多くあります。
治りにくく非常に強いかゆみを伴う症状が続いている場合は痒疹を疑います。痒疹は通常の湿疹よりも治療が難しく、治療薬でのコントロールが必要です。治りにくい痒疹もあるため辛抱強く治療を続けること、そして、いままでの治療への反応性や副作用に注意しながら、医師とともに自分自身にあった治療法を選択していくことが大切です。
痒疹は3つのタイプにわかれます。
いずれのタイプも表皮が厚くなり、真皮の上部に炎症性の細胞がみられます。
痒疹の症状として、はじめは蕁麻疹のような発赤や膨疹があらわれ、次第に湿りけを帯びた小さなブツブツ(丘疹)ができます。
さらに痒疹のタイプによって症状に特徴があります。
急性痒疹は夏に多く、小児によくみられます。悪化すると二次感染を起こすこともあります。強いかゆみがあるため、かきこわしには十分注意が必要です。
慢性痒疹は結節性痒疹と多形慢性痒疹の2つのタイプに分類されます。
いぼのような濃い褐色の硬い結節(大きめのブツブツ)ができます。直径5 mmから1 cm程度の小結節のほか、直径1cm以上になるものもあります。
手足や体幹に、くっつかずに多発しながらできることが多く、症状としては比較的わかりやすいです。一目みれば診断できることが多い病気です。青年期以降の女性によくみられます。
なぜ発症するかはわかっていませんが、アトピー性皮膚炎に合併することもあるので、2つの疾患には共通した要素があると思われます。
赤や淡い褐色の丘疹(小さなブツブツ)が腰やわき腹・下腹部にできることが多いです。丘疹は集まってできる傾向があり、その見た目は蕁麻疹(じんましん)にも似ています。
蕁麻疹は数分から数時間、ほとんどの方が1日程度で消失しますが、多形慢性痒疹の場合は短時間では消えません。このような小さなブツブツに、結節性痒疹のような大きめのブツブツが混ざってくることがあり、それが連なって広がることもあります。
診断が難しい症例も多く治療も難しいため、いろんな医療機関を渡り歩いている患者さんも少なくありません。中には10年、20年と同じ症状が続いていたという患者さんもいらっしゃいます。
赤くて、痒くて、治らない、こんな場合は、多形慢性痒疹を疑います。高齢者に多くみられるので、加齢が関連していると思われますが、その発症原因は明確になっていません。
似たような皮膚病変が生じる病気もあるため、皮膚の状態に合わせてさまざまな検査を実施します。
真菌の顕微鏡検査(KOH法)によってカビの有無を調べたり、ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)による寄生が原因で起こる疥癬(かいせん)との鑑別をしたり、皮膚病変を採取して生検したりする場合もあります。
また、痒疹は内臓系疾患に関連して現れることもあるため、それを鑑別するために血液検査を行うこともあります。たとえば、糖尿病であればHbA1cや血糖の値、腎臓や肝臓の病気ではアルブミンや特定の酵素などの値によって評価ができます。
その他にも、鉄欠乏性貧血の可能性があればヘモグロビンやフェリチン、HIV感染の有無を検査することもあります。
原因は今のところはっきりとわかっていませんが、何らかの刺激に対する免疫細胞(リンパ球や好酸球)による炎症反応と考えられています。
虫刺されがきっかけで長い間引っ掻き続けてしまうことにより痒疹を発症することもあります。また、アレルギーやアトピー性皮膚炎などが誘因になることもあります。
以上のような基礎疾患に関連して発症し、複数の疾患が重なっている場合もあります。
そのほか、鼻・のどや歯に慢性の細菌感染が原因のこともあります。しかし、詳しい検査をしてもなにも見つからないことも少なくありません。
虫刺されや基礎疾患との関連など、痒疹の原因が推定できる場合は、その病気の治療と原因の除去を最優先します。大小のブツブツや発赤には炎症を抑えるステロイド外用剤を塗布します。また、強いかゆみによる「かきむしり」を防ぐために、かゆみの症状を抑える抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤を内服します。かゆみが続く場合は、倍量処方や2剤併用も考慮します。
痒疹は治りにくいケースが多い病気ですが、適切な治療を継続することで強いかゆみが無くなる(かゆみを抑える)ケースはあります。しかし、短期間でかゆみは減っても、薬を減らす、あるいは中止すると症状が再燃する場合もあるため注意が必要です。
痒疹はかゆみが強く、苦痛の強い病気です。そのため、効果がない場合や症状がひどい時には、できるだけ早く効果がでるように、短期間で治療方針の見直しを図ることが必要です。治療の副作用を最小限に抑えながら、患者さんのお体に合わせて段階的に治療を検討していくことが大切です。
痒疹はアトピー性皮膚炎や虫刺され、蕁麻疹、湿疹、乾癬(かんせん)などと症状が似ているため、誤って診断されやすい皮膚疾患のひとつです。
特に、かゆみを伴う皮膚病は多く、赤みやブツブツが出るという共通点があるため、自己判断は避け、皮膚科専門医の診断を受けることが大切です。
どちらも強いかゆみと皮膚の炎症が見られます。
どちらも強いかゆみと皮膚の炎症が見られますが、アトピー性皮膚炎は幼少期から続くことが多く、顔や関節の内側などに繰り返し湿疹が現れます。一方、痒疹は成人以降に突然現れることもあり、皮膚のあちこちに硬く盛り上がった結節(ブツブツ)が多数できるのが特徴です。かゆみの程度も非常に強く、慢性化しやすい点が異なります。
主に皮膚に小さな硬い結節(ぶつぶつ)や丘疹(きゅうしん)が多数でき、強烈なかゆみを伴います。
かゆみのために掻き壊してしまい、出血や色素沈着、かさぶたを形成することもあります。症状は全身に広がることもあり、特に四肢や背中、腹部などに多く見られます。
痒疹の明確な原因は不明なことが多いですが、皮膚の刺激やアレルギー反応、虫刺され、慢性的な皮膚疾患の悪化が引き金になる場合があります。
また、肝臓や腎臓の疾患、糖尿病などの内科的な病気が背景にあることもあります。皮膚を慢性的に掻き続けることが、痒疹の形成を助長するため、かゆみを我慢できない環境も悪化因子です。
痒疹は感染性の病気ではなく、人から人へうつることはありません。
ただし、原因が感染症(例えば疥癬など)に由来する場合は、その感染症自体がうつる可能性があります。痒疹があるからといって過度に周囲を気にする必要はありませんが、正確な診断を受けておくことが安心です。
まずはかゆみを抑えることが治療の中心です。
ステロイド外用薬で炎症を抑え、抗ヒスタミン薬でかゆみを和らげる治療が一般的です。また、皮膚のバリア機能を高めるための保湿も重要です。症状が強い場合は、免疫抑制剤や紫外線療法(ナローバンドUVBなど)が使われることもあります。原因疾患がある場合は、それに応じた治療が必要です。
痒疹は一時的に改善しても、体質や環境因子、ストレスなどによって再発することがあります。
特に慢性化しているケースでは、皮膚が厚く硬くなり、治癒に時間がかかることも。根本的な原因を探ることと、皮膚の状態を継続的にケアすることが完治や再発予防には重要です。
痒疹は大人に多い病気ですが、子どもでもアトピー性皮膚炎や虫刺されをきっかけに痒疹が起こることがあります。
子どもの皮膚は薄く敏感なため、掻きこわしによって悪化しやすい傾向があります。子どもに強いかゆみやぶつぶつが見られる場合は、早めに皮膚科を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
はい。精神的なストレスや不安がかゆみを増強し、掻くことで痒疹が悪化するケースが少なくありません。
ストレスによる自律神経の乱れは、皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみに敏感になります。生活の中でリラックスできる時間を持つことも、症状の改善につながる場合があります。
日常生活では、皮膚を乾燥させないよう保湿をこまめに行い、刺激の強い衣類や石けんを避けることが大切です。
また、入浴時にゴシゴシ洗わず、ぬるま湯でやさしく洗うこと、適度な睡眠やバランスのよい食事を心がけることも、皮膚の健康を保つうえで重要です。かゆみを我慢できないときは、早めに皮膚科で相談しましょう。
前田皮膚科クリニック前田 文彦 先生
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