最終更新日:2023.10.12

蕁麻疹(じんましん)とは?原因と治し方、身に覚えのないミミズ腫れを写真で解説

蕁麻疹(じんましん)とは?原因と治し方、身に覚えのないミミズ腫れを写真で解説

蕁麻疹(じんましん)は、皮膚に地図のようなふくらみが突然くっきりと現れて赤く盛り上がりが生じる皮膚の病変です。ヒリヒリ・ちくちくとした、皮膚が焼けるような痛み・かゆみを感じますが、すぐに消えるのが特徴のひとつです。

蕁麻疹はストレスとも大きな関わりがあります。過剰なストレスは、私たちの健康に悪影響を及ぼすリスク要因のひとつであり、さまざまな病気の症状を悪化させるため注意が必要です。

本記事では、皮膚科専門医に監修していただき、蕁麻疹の原因・治し方をはじめ、ストレスと蕁麻疹の関係、ミミズ腫れ症状を写真で解説しています。

蕁麻疹(じんましん)とは?

蕁麻疹(じんましん)は、皮膚に赤い盛り上がりが生じる皮膚疾患です。強いかゆみを伴うのも特徴のひとつです。皮膚病変の中でも蕁麻疹は比較的よくある病気で、およそ15~20%の方が一生のうちに一度は蕁麻疹を経験するといわれています。

蕁麻疹の発症に、これといった原因がみられないものを「特発性蕁麻疹」とよびます。また発症して6週間以内で消失するものを急性蕁麻疹、それ以上長引くものは慢性蕁麻疹とよばれます。

蕁麻疹は疲れやストレスがあると悪化しやすいため、「しっかり休息をとれていない」「疲れがとれない」という方は注意が必要です。

蕁麻疹が起こりやすい箇所

蕁麻疹は基本的に、全身に発症する可能性があります。

その中でも、

  • 太もも、お腹、お尻
  • 首、肘の内側、膝の後ろ
  • お顔(頰)

など、主に皮膚のやわらかい部分に発症しやすい傾向があります。

身に覚えのないミミズ腫れ

蕁麻疹は皮膚に赤みや膨らみが生じるとともに、かゆみの症状が出ます。そのため、ひっ掻くとその部分が線状に盛り上がる「ミミズ腫れ」が生じることもあります。これを赤色皮膚描記症といいます。

蕁麻疹は原因が不確かなものが多く、身に覚えがないけれど気づいたら蕁麻疹を発症しミミズ腫れができていたというケースも少なくありません。ミミズ腫れのようになると跡がしばらく残ることもあるため、できる限り患部に刺激を与えないようにすることが大切です。

受診の目安 – アナフィラキシーに注意

蕁麻疹のほとんどが発症から数時間後には何事もなかったように消えるため、とくに心配いはいりません。しかし、2度3度と繰り返し発症するようなことがあれば、一度、皮膚科を受診して原因を特定し予防したいものです。

一方で、「食後に運動したら蕁麻疹が出て、気分が悪くなった」という方は、すぐに受診してください。

  • 動悸や息切れ
  • 呼吸が苦しい
  • 咳が出る
  • 血圧低下
  • 意識消失

など、蕁麻疹とともにこのような症状がでたら「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を疑います。とても危険な状態なので注意が必要です。

そのほか、目元や口唇が腫れて、腫れが引くまでに数日かかることもあります。このように、皮膚や粘膜に起こる急な腫れやむくみを、クインケ浮腫といいます。クインケ浮腫は遺伝によって起こることもあるため、血液検査が推奨されます。一度、皮膚科を受診しましょう。

蕁麻疹(じんましん)が起こる仕組みと発症原因

蕁麻疹を引き起こす主な原因として、

  • アレルギー物質
  • アレルギー以外

この2つに大別されます。

アレルギー物質や、ストレス・温度変化による刺激(アレルギー以外)をきっかけに、皮膚内にあるマスト細胞とよばれるものが活性化します。マスト細胞からヒスタミンをいう物質が放出されると、ヒスタミンの作用によって血管から水分が漏れやすくなり、真皮に浮腫(むくみ)が起こります。また、ヒスタミンが知覚神経を刺激して、かゆみの症状を引き起こします。

以上のように蕁麻疹によって地図状のふくらみが生じたり、かゆみの症状がでるのは、このヒスタミンという物質の作用によるものです。

ひとつひとつの膨疹が消失しても、次々と新しいものが再び現れたり、膨疹症状の範囲が移動または広がったりすることもあるため、まずは蕁麻疹がどのような原因によって発症するのかを知り、他の皮膚疾患と区別することも重要です。

では、具体的に蕁麻疹の原因となるアレルギー物質と非アレルギー(アレルギー以外)のものを解説します。

アレルギー物質によって発症する蕁麻疹

食 品 魚介類(サバ、アジ)、甲殻類(エビ、カニ)、卵・乳製品(鶏卵、牛乳、チーズ)、肉類(豚肉、牛肉、鶏肉)、穀類・野菜(大豆、小麦、蕎麦)など
食品添加物 人工色素、防腐剤(パラベンなど)
薬 剤

抗生物質(ペニシリンなど)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)、せき止めなど
※ これらが要因となって起こる蕁麻疹を「イントレランス」といいます。

植 物 イラクサ、ゴム、花粉、イラクサ(漢字で蕁麻と書き、蕁麻疹の語源となった植物)
ダニ類、昆虫(ハチやムカデなどに触れる・刺される)

アレルギー以外で発症する蕁麻疹

物理的な要因 衣類などによる摩擦・圧迫・こすれ、寒冷・温熱の刺激、光線(日光)など
感染症

寄生虫、真菌(カビ類)、細菌、ウイルス

発汗

入浴や運動時の汗
※ 発汗が原因で1〜4mm程度の小さな皮疹ができる蕁麻疹(コリン性蕁麻疹)

内臓・全身の病気 甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病など
ストレス 身体的・精神的な疲労やストレス

蕁麻疹(じんましん)と湿疹の違い

蕁麻疹と湿疹はともに皮膚に見られる症状で、どちらも赤みを伴なった症状を発症します。しかし、この2つの皮膚疾患はまったく別物なので、それぞれの特徴を踏まえて、この2つがどう違うかを確認しておくことが大切です。

蕁麻疹と湿疹の症状の特徴

蕁麻疹 湿疹

皮膚の一部がくっきりと赤く盛り上がり、非常に強いかゆみを伴う膨疹ができる病気です。顔を含めて全身、どの部位にも起こりえます。

直径1cm以下の赤い小さな円形・楕円形の斑点(紅斑)や、直径10cm以上の地図模様のような形状の皮疹がみられます。サイズは大小さまざまですが、1日以内に消えるという特徴があります。

皮膚の症状が数日たっても消えずに何日も続いているような場合は、蕁麻疹以外の可能性を疑ったほうがよいと考えます。

湿疹は赤みやブツブツ、水泡氏といった皮膚症状が特徴的です。

蕁麻疹との違いは、時間の経過とともに症状が徐々に悪化し数日間続くことが多いという点です。
ただれたり、かさぶたができることもあります。
また、長引くと慢性化して皮膚が乾燥し、ごわごわとした状態になります。

さらに長引くと色素沈着が起こり、なかなか治りにくくなります。

蕁麻疹と湿疹の発症メカニズムの違い

蕁麻疹 湿疹
蕁麻疹は皮膚の下層にある真皮内の血管から、水分が漏れだすことでふくらみが起こります。 湿疹は皮膚のバリア機能の低下などによって、皮膚の外側(表皮)に炎症が起こります。

※ 蕁麻疹・湿疹ともに発症を誘発する要因は、食物やハウスダスト、薬など、共通するものが多いです。これらの外的要因と、体調や体質などの内的要因が複雑に絡み合い、いずれも誘発要因が特定できないことも多いです。

蕁麻疹(じんましん)とストレス

蕁麻疹(じんましん)と似た症状の病気

蕁麻疹と似たような症状を特徴とする皮膚疾患には、

  • 丹毒(たんどく)
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
  • 虫刺され
  • 多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)
  • 伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)
  • 成人スティル病(せいじんスティルびょう)

などがあります。

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こちらの記事の監修医師

土山 健一郎

名取つちやま皮ふ科土山 健一郎 先生

東北大学医学部を卒業後に、宮城県の他、山形や青森などの東北地方の様々な病院で、皮膚科を学んできました。 最も長く勤務した東北大学病院では、皮膚科全般の診療の他に、専門として乾癬と白斑の患者さんの診断、治療を行ってきました。 名取つちやま皮ふ科|名取市・美田園・杜せきのしたで皮膚科をお探しの方へ私が診療で特に気を付けていることは、患者さんが治療に意欲を持てるように、患者さんの訴えや希望をよく聞き、丁寧に説明をすることです。 薬を処方するのは医師ですが、実際に内服薬を飲んだり、外用薬を塗ったりするのは、患者さん自身です。 患者さんが納得して治療を行うことが良い結果を生むと考えております。

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