身に覚えのないミミズ腫れが突然現れた場合、多くは蕁麻疹(じんましん)が原因です。
アレルギーやストレス、寒暖差、疲労などが引き金となり、皮膚が赤く盛り上がってかゆみを伴います。数時間で消えることが多いですが、繰り返す場合もあります。
この記事は「ミミズ腫れ」の症状について書いています。
ふと気づくと皮膚がプクッとむくんで皮膚に線が入ったようなミミズ腫れができていることはありませんか?
本記事では皮膚科専門医監修のもと、皮膚のむくみ(ミミズ腫れ)やかゆみの症状が出る原因を解説しています。身に覚えのないミミズ腫れにはどのような病気が考えられるのか?気になる方はぜひご覧ください。
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皮膚の「むくみ(ミミズ腫れ)」と「かゆみ」が出たり短時間で消えてしまったりする症状がみられる場合、蕁麻疹(じんましん)という皮膚疾患が疑われます。毎日のように症状が出ては消えてを繰り返す(1ヶ月以内)場合を急性蕁麻疹といい、発症から1ヶ月以上経過したものを慢性蕁麻疹といいます。
皮膚を強くかいたりこすったり、皮膚が圧迫されると皮膚がミミズ腫れのように赤く腫れ上がることがあります。このように線状に盛り上がる皮膚の症状を皮膚描画症(赤色皮膚描画症、紅色皮膚描画症)といいます。皮膚描画症は、蕁麻疹体質の方によく見られる皮膚の特徴です。
蕁麻疹は決して珍しい病気ではなく、およそ15~20%の方が一生のうちに一度は蕁麻疹を経験するといわれています。一方で、原因が不確かなものが多く、気づいたら蕁麻疹を発症していたという患者さんは少なくありません。身に覚えなのないミミズ腫れをきっかけに受診される方もいらっしゃいます。
ミミズ腫れのようになると跡がしばらく残ることもあるため、できる限り患部に刺激を与えないようにすることが大切です。
蕁麻疹は基本的に、全身に発症する可能性があります。
その中でも
など、主に皮膚のやわらかい部分に発症しやすい傾向があります。
皮膚に炎症を起こす病気の総称を湿疹(しっしん)といいます。
湿疹は、
などの症状が徐々にではじめて、数日間続く皮膚疾患です。
蕁麻疹と湿疹は「かゆみ・赤み」という症状が出る点では非常に似ている皮膚疾患ですが、蕁麻疹は突然皮膚が腫れては短時間で消えるという特徴があるため、この2つの疾患を見分けるのはそこまで難しくはありません。
また、似たような症状が出るものの、蕁麻疹と湿疹の治療方法は異なります。どちらの場合でも一度、なるべく早めに皮膚科を受診すると安心です。
蕁麻疹(写真) | 湿疹(写真) |
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皮膚の一部がくっきりと赤く盛り上がり、非常に強いかゆみを伴う膨疹(ふくらみ)ができる病気です。顔を含めて全身、どの部位にも起こりえます。直径1cm以下の赤い小さな円形・楕円形の斑点(紅斑)や、直径10cm以上の地図模様のような形状の皮疹がみられます。サイズは大小さまざまですが、1日以内に消えるという特徴があります。皮膚の症状が数日たっても消えずに何日も続いているような場合は、蕁麻疹以外の可能性を疑ったほうがよいと考えます。 | 皮膚の一部がくっきりと赤く盛り上がり、非常に強いかゆみを伴う膨疹(ふくらみ)ができる病気です。顔を含めて全身、どの部位にも起こりえます。直径1cm以下の赤い小さな円形・楕円形の斑点(紅斑)や、直径10cm以上の地図模様のような形状の皮疹がみられます。サイズは大小さまざまですが、1日以内に消えるという特徴があります。皮膚の症状が数日たっても消えずに何日も続いているような場合は、蕁麻疹以外の可能性を疑ったほうがよいと考えます。 |
蕁麻疹 | 湿疹 |
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蕁麻疹は皮膚の下層にある真皮内の血管から、水分が漏れだすことでふくらみが起こります。 | 湿疹は皮膚のバリア機能の低下などによって、皮膚の外側(表皮)に炎症が起こります。 |
※ 蕁麻疹・湿疹ともに発症を誘発する要因は、食物やハウスダスト、薬など、共通するものが多いです。
これらの外的要因と、体調や体質などの内的要因が複雑に絡み合い、いずれも誘発要因が特定できないことも多いです。
皮膚が赤く腫れ、かゆみの症状がでたときに「皮膚がかぶれる」と表現することがあります。この「かぶれ」は、正式には「接触皮膚炎」といいます。
かぶれも湿疹(皮膚に炎症を起こす病気の総称)の1つですが、湿疹の中でも「何らかの物質が皮膚に接触して起こるもの」「外部からの刺激であることがはっきりとしたもの」を接触皮膚炎とよびます。
接触性皮膚炎は、
大きくこの2つのタイプに分かれます。
一方で蕁麻疹は、皮膚への接触で起こる場合もありますが、口に入れたり直接接触以外の原因でも起こりうる皮膚反応もあります。
など
ほとんどの場合が直接接触以外であることが多く、蕁麻疹で原因が特定できるのは全体の10〜30%程度といわれています。
身に覚えのないミミズ腫れの症状があり
という方は、なるべく早めに皮膚科へ相談することをお勧めします。
身に覚えのないミミズ腫れが突然現れた場合、多くは蕁麻疹(じんましん)が原因です。
アレルギーやストレス、寒暖差、疲労などが引き金となり、皮膚が赤く盛り上がってかゆみを伴います。数時間で消えることが多いですが、繰り返す場合もあります。
はい。蕁麻疹は必ずしもアレルギーが原因とは限りません。
寒暖差・運動・圧迫・ストレス・疲労・感染症・薬剤など、非アレルギー性の要因でも発症することがあります。原因不明の「特発性蕁麻疹」も存在します。
線状のミミズ腫れのような症状が出た場合、蕁麻疹だけでなく、他の皮膚炎との鑑別が必要です。
例えば、やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)という虫の体液に触れると、数時間~半日後に線状の赤い腫れや水ぶくれが出る「接触性皮膚炎」が生じます。 これは蕁麻疹とは異なり、アレルギーではなく化学物質による炎症で、通常はかゆみよりもヒリヒリした痛みを伴います。
蕁麻疹の応急処置としては、冷やす・掻かない・刺激物を避けることが基本です。
市販の抗ヒスタミン薬で症状が和らぐこともありますが、繰り返す場合や広範囲に出る場合は、医療機関の受診をおすすめします。
足に長期間残る線状の盛り上がりは、下肢静脈瘤の可能性もあります。
これは血管の病変によって静脈が拡張した状態で、皮膚のトラブルとは異なります。皮膚科だけでなく血管外科・循環器内科の受診が有効です。
はい。
精神的ストレスや過労、睡眠不足などにより、自律神経や免疫バランスが乱れ、蕁麻疹が引き起こされることがあります。慢性的な蕁麻疹が続く場合は、生活習慣の見直しも重要です。
蕁麻疹が繰り返し現れる場合、慢性蕁麻疹の可能性があります。
6週間以上続くようであれば、アレルギー検査や薬物治療が必要となることがあります。医師による適切な評価が重要です。
市販の抗ヒスタミン薬(例:フェキソフェナジン、ロラタジン)で軽度の蕁麻疹が改善することもありますが、症状が長引く・強い・再発する場合は専門医の処方が必要です。自己判断での長期使用は避けましょう。
蕁麻疹の診察は、皮膚科または内科が基本です。
重症例やアレルギー原因が疑われる場合には、アレルギー科の受診も検討されます。呼吸苦や全身の腫れを伴う場合は、救急受診が必要です。
蕁麻疹の予防には、原因となる刺激やアレルゲンを避けることが最も大切です。具体的には以下のような対策があります
名取つちやま皮ふ科土山 健一郎 先生
宮城県名取市にある「名取つちやま皮膚科」、院長の土山です。
私は東北大学医学部を卒業後に、宮城県の他、山形や青森などの東北地方の様々な病院で、皮膚科を学んできました。最も長く勤務した東北大学病院では、皮膚科全般の診療の他に、専門として乾癬と白斑の患者さんの診断、治療を行ってきました。
当院では、患者さんが治療に意欲を持てるように、患者さんの訴えや希望をよく聞き、丁寧に説明をすることを大切にしています。薬を処方するのは医師ですが、実際に内服薬を飲んだり、外用薬を塗ったりするのは、患者さん自身です。患者さんが納得して治療を行うことが良い結果を生むと考えております。
宮城県や東北県内で乾癬や白斑の治療に励んでいる方、名取市でニキビや蕁麻疹などの症状にお困りの方、かかりつけの皮膚科をお探しの方は、名取つちやま皮膚科へご相談ください。
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