最終更新日:2023.02.27

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?まぶたの出来物の原因と治し方を解説

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?まぶたの出来物の原因と治し方を解説

まぶたに出来物ができて腫れてくる病気に、霰粒腫(さんりゅうしゅ)とよばれる病気があります。やや硬い「いぼ」のようなものができるため、霰粒腫は「めいぼ」ともよばれています。

まぶたの中のコロコロとしたしこりが徐々に大きくなっていく霰粒腫は、「ものもらい」と見た目がよくにています。

しかし、霰粒腫はものもらいとは全く異なる別の病気で、原因も治療法も異なります。

本記事は、霰粒腫の診療をしている医師に監修していただき、まぶたの出来物の原因と治し方について解説しています。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とはどんな病気?

霰粒腫は、眼瞼(まぶた)の中にコロコロとした小さな固い腫瘤ができる病気です。

まぶたには、目の潤いを保つために涙の成分を分泌する「マイボーム腺」とよばれる分泌腺があります。

霰粒腫はこのマイボーム腺の出口がつまり、その中に粥状の分泌物がたまって肉芽腫(にくげしゅ)というしこりを形成したものです。

乳幼児から高齢者まで幅広い年代に発症する可能性のある病気で、細菌感染が原因となる病気ではないため、人にうつることはありません。

霰粒腫は自然に消失することもありますが、症状が続く場合は、眼科での治療が必要です。

ものもらいと霰粒腫の違い

まぶたの出来物といえば「ものもらい」をイメージされる方は多いと思います。ものもらいという病気は、学術的には麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とよばれます。

ものもらいと霰粒腫はともに瞼が腫れる疾患ですが、原因や症状が異なります。

ものもらいは、汗や油を分泌するまぶたの皮膚の汗腺や脂腺に、細菌が感染しておこる病気です。

肉芽腫というしこりができる霰粒腫とは全く違う病気です。

感染を伴うと、どちらの疾患も痛みを伴うため、両者の区別ができないことも少なくありません。

結膜炎と霰粒腫の違い

結膜炎とは「結膜」と呼ばれる目の表面を覆っている薄い膜に起こる炎症です。

結膜炎は、目の赤み、かゆみ、刺激、充血、涙目、光過敏、目の乾燥などの症状を引き起こします。

結膜炎の原因は、主にウイルス感染やアレルギーによって発生します。

霰粒腫と結膜炎は、いずれも目の周りの症状を引き起こす病気ですが、それぞれの病気の原因と症状が異なります。

自己判断はせず眼科医に相談し、適切な診断と治療することをお勧めします。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の症状

霰粒腫の症状には、以下のようなものがあります。

  1. まぶたの腫れ・異物感
    小さなしこりができることで、まぶたが腫れて目に異物感を感じます。
  2. 視力の影響
    霰粒腫が大きくなると、まぶたが閉じやすくなるため、視力に影響を与えることがあります。

  3. まぶたの痛み・赤み
    霰粒腫は基本的に痛みを伴う疾患ではありませんが、しこりの部分に細菌感染を起こしてしまうこともあります。
    この状態を「急性霰粒腫」といいます。急性霰粒腫になると、炎症によって痛みや赤みの症状がでます。

 

霰粒腫は自然に治る?

霰粒腫は一般的に自然に消失することがありますが、それでも長期間にわたって症状が続く場合や、腫れが大きくなる場合は、眼科を受診することをお勧めします。

特に痛みや視力の影響がある場合は、早めに診察を受けることが必要です。

霰粒腫を放置するとどうなる?

腫れ物が大きくなり、まぶたの内側や外側を破って、まぶた皮膚がただれることがあります。痕が残ってしまうこともありますので注意しましょう。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の原因

霰粒腫はマイボーム腺が詰まってしまうことで起こります。

マイボーム腺が詰まる原因は、以下のようなものがあります。

  1. アレルギー
    アレルギー反応によって、まぶたの周囲が腫れたり、炎症を起こすことで、マイボーム腺が詰まりやすくなることがあります。
  2. 過剰な化粧品の使用
    アイメイクの残りや、アイメイク用品に含まれる油分や化学物質が、マイボーム腺を詰まらせることがあります。

  3. 結膜炎や角膜炎

    結膜炎や角膜炎などの炎症性疾患によって、まぶたの周囲に炎症が起こることで、マイボーム腺が詰まりやすくなることがあります。

  4. 加齢
    加齢によって、マイボーム腺の分泌物が固まりやすくなり、詰まりやすくなることがあります。
  5. ストレス
    ストレスによって、免疫力が低下し、炎症を起こしやすくなることで、マイボーム腺が詰まりやすくなることがあります。

  6. その他の原因
    ドライアイ症候群、睡眠不足、食生活の乱れなど、健康状態に関連する要因がマイボーム腺の詰まりを引き起こすことがあります。

マイボーム腺の詰まりは、眼の痛みや炎症を引き起こすことがありますので、症状が続く場合は、眼科に相談することをお勧めします。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の治し方

霰粒腫の主な治療方法は以下の2つです。

  1. 保守的治療
    腫れ物が小さい霰粒腫は自然に治ることも多いです。そのため、抗生物質の点眼などを使用して経過観察することが一般的です。
  2. 手術による除去
    急性霰粒腫(炎症を伴う霰粒腫)の場合、まず抗生物質の点眼や内服薬で炎症を抑え、その後、手術による治療が行われることがあります。
    手術は通常、まぶたを裏返して結膜側から行い、切開の長さも約1mmなので皮膚表面に傷跡が残ることはありません。
    ただし、小児で手術を行う場合は全身麻酔が必要なこともあるため、手術を行わず、眼軟膏や点眼で経過を観察することが多いです。

霰粒腫の受診のタイミング

霰粒腫はほとんど痛みを伴いませんが、炎症が進んで腫れが大きくなると、切開手術が必要な場合もあります。

もし、まぶたにコロコロとしたしこりのような異物感があり、大きくなっているようならば、できるだけ早めに眼科を受診することをおすすめします。

霰粒腫はどれくらいで治る?

個人差はありますが、抗生物質の点眼処方により、5日〜7日程度で治るケースがほとんどです。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)に関するよくあるご質問

霰粒腫は、皮膚科と眼科、どちらを受診する?

眼科を受診しましょう。

まぶたにかゆみ・痛み・腫れ、あるいはできものができた場合、「眼科と皮膚科のどちらに受診すべきか?」という疑問を持たれる方は多いのではないでしょうか。

まぶたは両方の診療科が対応可能ですが、眼科を受診することをお勧めします。なぜなら、まぶたの症状は単に皮膚のトラブルではなく、目のトラブルで起こっている可能性が考えられるためです。

特に炎症が起こる急性霰粒腫の場合は、ものもらいとの区別が難しい場合もあります。そのため、目の状態を確認できる眼科を受診することが望ましいです。

霰粒腫の手術は、どれくらいの費用がかかりますか?

3割負担の方で5千円程度です。

霰粒腫の手術は保険が適用できます。3割負担の方で5千円程度です。ただし、霰粒腫が大きい場合は、1万円前後の金額になる場合があります。

 

霰粒腫の再発率は?

約30~70%の割合で再発します。

霰粒腫は再発する病気です。約30~70%の方が再発するといわれています。一方で、再発の原因は、まだ解明されておりません。予防のためには、目の周りを清潔に保つことが重要です。汚れた手で目をこすったりしないよう注意しましょう。脂腺が詰まりやすくなるため、アイスクリームやバター、チョコレートなど油脂の多い食べ物は過剰に摂取しないように心がけましょう。また、暑い季節でも湯船に入ることは予防に効果的です。しっかり温めることで、マイボーム腺に油脂が詰まるのを防ぐことができます。

 

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こちらの記事の監修医師

髙橋 俊明

たかはし眼科髙橋 俊明 先生

岩手県盛岡市にある「たかはし眼科」、院長の髙橋 俊明 です。

平成30年7月からは髙橋公美副院長を迎え、2人体制で診療を行っております。 私の専門は角膜疾患や白内障手術ですが、副院長は眼底疾患を専門としており、幅広い眼科疾患に対応できるようになりました。 さらに2人同時に診察することで、患者様の待ち時間の軽減、ゆとりある診察を行えるようになりました。

医師、スタッフ共々皆様から親しまれますよう今後も努めてまいります。どうぞ、末永くよろしくお願いいたします。

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