精神科または心療内科の受診をおすすめします。
身体症状(動悸・息苦しさなど)が強い場合は心療内科が入りやすく、精神症状(強い恐怖・不安・回避行動)が中心の場合は精神科が適しています。両方を標榜するクリニックも多いため、迷った場合はそのような医療機関を選ぶとよいでしょう。
一般的に「パニック」とは、予想外の事態に直面した際に生じる混乱状態を指します。もともと冷静な人でも、思いもよらない状況やショッキングな状況に陥ってしまったときには、パニック状態になったり、慌てたり取り乱したりすることもあるでしょう。
また、「不安」という感覚も、年齢や性別問わずどんな人でも持っている感覚です。日々生きている中でまったく不安を感じたことがないという人はいません。
では、一般的なパニック状態や不安な感情と、パニック障害の違いはなんでしょうか?
「胸がドキドキして息ができない」「このまま死んでしまうのではないか」——そのような激しい発作が突然起こり、繰り返すのがパニック障害(パニック症)です。パニック障害は決して珍しい病気ではなく、適切な治療によって回復が期待できます。
本記事では、パニック障害の定義・症状・診断基準・治療法・受診先の選び方まで、専門的な観点から解説します。
⚠ こころの危機を感じている方へ
「消えてしまいたい」「死にたい」という気持ちが浮かんだときは、一人で抱え込まずに、下記の相談窓口にご連絡ください。
※ 電話が難しい場合は、厚生労働省「まもろうよ こころ」のSNS相談も利用できます。
パニック障害(英: Panic Disorder)は、突然起こる強烈な恐怖・身体症状を伴う「パニック発作」を繰り返し、それに伴う予期不安や行動変容が生じる精神疾患です。
DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)およびICD-11(国際疾病分類)では、パニック障害は不安症群に分類されます。
DSM-5では、パニック障害を「予期しないパニック発作が繰り返し生じ、その後ひと月以上にわたって①また発作が起きるのではないかという持続的な懸念、または②発作に関連した行動上の有意な変化が続く状態」と定義しています。
ICD-11においても同様の概念が採用されており、「反復するパニック発作」と「発作への予期不安あるいは回避行動」が診断の核となります。
厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」によると、パニック障害の生涯有病率はおよそ1〜4%とされています※1。好発年齢は10代後半〜30代前半で、思春期以降から中年期にかけて発症するケースが多いとされています。
性差については、女性の罹患率が男性の約2〜3倍高いとする報告があります※2。女性ホルモンの変動(月経前・更年期など)が発症に関与している可能性も指摘されていますが、詳細なメカニズムは現在も研究が続いています。
※1 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス:パニック障害・パニック症」
※2 日本精神神経学会「不安症の診療ガイドライン(2021年版)」
※ 数値は各資料の発行時点のものです。最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。
パニック障害は、以下の3つの病態が重なり合いながら症状を形成します。
この3つが連鎖することで、次第に行動範囲が狭まり、社会生活や就労にも影響が出ることがあります。
パニック発作は通常数分以内に症状がピークに達し、20〜30分程度で自然に収まることがほとんどです。しかし発作中は「死ぬかもしれない」という強烈な恐怖感を伴うため、当事者にとって非常に苦しい体験となります。
DSM-5では、パニック発作の身体症状として以下の13項目を挙げています。これらのうち4つ以上が突然起こる場合、パニック発作と判断されます。
胸痛・動悸・息苦しさは心筋梗塞や狭心症の症状と類似しているため、初めて発作が起きた際に救急受診されるケースも少なくありません。
身体症状と同時に、以下のような精神症状が強く現れます。
これらの精神症状は発作をさらに増幅させ、「恐怖が恐怖を呼ぶ」という悪循環を生み出します。
発作は多くの場合、10分以内にピークに達し、通常は30分以内に収まります。長くても1時間を超えることはほとんどありません。
発作後は強い疲労感・脱力感が残ることがあります。また、発作が繰り返されることで予期不安が強まり、「また起きるかもしれない」という不安が日常的に続くようになります。
発作の頻度は個人差が大きく、週に数回起こる方もいれば、数か月に一度という方もいます。
📄 パニック発作と他の疾患の見分け方を詳しく知りたい方はこちら
急に不安感に襲われるのはなぜ?パニック発作の見分け方と受診の目安
パニック障害の原因は単一ではなく、神経生物学的要因・心理的要因・社会的要因が複合的に関与していると考えられています。完全に解明されているわけではありませんが、現在の研究から主要な要因が明らかになってきています。
脳内の神経伝達物質(脳の神経細胞間で情報を伝える化学物質)の機能異常が、パニック障害の発症に深く関わっていると考えられています。
また、扁桃体(脳の恐怖・不安を司る部位)の過活動もパニック障害と関連していることが神経科学的研究で示されています。
パニック障害を発症した方の多くは、発症前の数か月以内に大きなストレスを伴う出来事を経験していたと報告されています。
心理的側面では、「不安感受性(不安を感じやすい体質)」が高い方は発症リスクが高まる可能性があるとされています。また、子ども時代の分離不安や養育環境も発症リスクと関連があるという研究報告もあります。
以下のような特徴を持つ方に発症しやすい傾向があるとされていますが、これらに当てはまらない方でも発症する可能性があります。
パニック障害の診断は、問診を中心に行われます。同時に、パニック発作と類似した症状を引き起こす身体疾患を除外するための検査も重要です。
DSM-5によるパニック障害の診断基準を、平易な言葉で整理します。
①と②の両方を満たし、③・④によって除外されない場合にパニック障害と診断されます。
パニック発作の症状は、以下のような身体疾患とも類似しているため、鑑別検査が行われることがあります。
これらの身体疾患が除外された上で、精神科的な評価によりパニック障害の診断が確定されます。
以下の項目に複数当てはまる場合は、専門医への相談を検討してください。このチェックリストは診断ツールではありません。あくまで受診の目安としてご活用ください。
3つ以上当てはまる場合は、心療内科または精神科への受診をご検討ください。
パニック障害の治療は、薬物療法と非薬物療法(心理療法)を組み合わせるのが標準的なアプローチです。日本精神神経学会のガイドラインでも、両者の併用が推奨されています。
薬物療法では主に以下の薬剤が使用されます。いずれも医師の処方・管理のもとで使用されるものであり、自己判断での服用・中断は行わないようにしてください。
薬の種類・用量・服用期間は、症状の程度や体質に応じて主治医が判断します。副作用や服用タイミングについては、必ず担当医にご確認ください。
認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、パニック障害に対して高いエビデンス(科学的根拠)が認められている心理療法です。
CBTは薬物療法との併用によってより高い効果が期待でき、治療終了後の再発予防にも有効とされています。
これらは薬物療法やCBTと並行して取り入れることで、より安定した回復につながるとされています。治療方針は必ず主治医と相談の上で決定してください。
パニック障害が疑われる場合、受診先として精神科または心療内科が推奨されます。どちらを選ぶか迷う方も多いため、それぞれの特徴と選び方を解説します。
パニック障害は両科で対応できるため、どちらを受診しても適切な診療が受けられます。「精神科」という名称に抵抗を感じる方は、心療内科からスタートするのも一つの選択です。
| 対面診療 | オンライン診療 | |
|---|---|---|
| 受診のしやすさ | 通院が必要 | 自宅から受診可能 |
| 広場恐怖への配慮 | 外出・待合室が負担になることも | 外出不要で発作リスクを軽減 |
| 処方 | 当日処方可能 | 処方可能(薬局受取または郵送) |
| 検査 | 各種検査が可能 | 検査は別途医療機関が必要 |
| 費用 | 保険診療適用 | 保険診療適用(初診可能な場合も) |
広場恐怖によって外出自体が困難になっている方や、「受診するハードルが高い」と感じる方には、オンライン診療が有効な選択肢となる場合があります。
初診費用の目安は保険適用(3割負担)の場合、2,000〜5,000円程度が一般的です。ただし、医療機関や検査内容によって異なります。詳細は受診先にお問い合わせください。
外出が難しい方・まず気軽に相談したい方へ
自宅から精神科専門医に相談できるオンライン診療があります。広場恐怖や外出不安がある方にも利用しやすい環境です。
オンライン精神科診療を見てみる※ 受診の可否・保険適用の詳細は各医療機関にご確認ください。
パニック障害は、適切な治療を継続することで多くの方が日常生活に支障のない状態まで回復できます。ただし、回復の速さには個人差があるため、焦らず治療に取り組むことが重要です。
一般的に、治療開始から数か月〜1年程度で発作の頻度が減少し、予期不安や広場恐怖も徐々に改善していくケースが多いとされています。
特に、最初のパニック発作から2〜3か月以内に治療を開始した場合は、予期不安や広場恐怖が固定化する前に介入できるため、回復がスムーズになりやすいとされています。症状に気づいたら、早めに受診することが大切です。
精神科または心療内科の受診をおすすめします。
身体症状(動悸・息苦しさなど)が強い場合は心療内科が入りやすく、精神症状(強い恐怖・不安・回避行動)が中心の場合は精神科が適しています。両方を標榜するクリニックも多いため、迷った場合はそのような医療機関を選ぶとよいでしょう。
医学的には「完治」という表現は用いられず、「寛解(症状が落ち着き、日常生活に支障がない状態)」を目指すのが治療の目標です。
薬物療法と認知行動療法(CBT)を組み合わせた治療によって、発作の頻度や予期不安が大幅に改善し、寛解に至るケースが多いとされています(日本精神神経学会ガイドライン参照)。寛解後も再発予防のためのセルフケアや定期的な通院が推奨されることがありますが、多くの方が社会生活を取り戻すことができます。回復の速さや程度は個人差があるため、主治医と連携しながら焦らず治療を続けることが大切です。
一般的に数か月〜1年程度が目安ですが、個人差があります。
発症初期に治療を開始した場合は回復が早まりやすく、広場恐怖や予期不安が強く固定化している場合はより長期の治療が必要になることもあります。薬の減薬・中止のタイミングは必ず主治医と相談の上で決定してください。
はい、パニック障害にうつ病が合併することは少なくありません。
予期不安や広場恐怖によって行動範囲が制限され、孤立感や無力感が積み重なることでうつ状態に陥ることがあります。うつ病の合併が疑われる場合は、両方の治療を並行して行う必要があるため、必ず主治医にご相談ください。
まず、ゆっくりとした腹式呼吸を意識することが有効です。
対処法を事前に知っておくことが、発作時の恐怖感の軽減にもつながります。具体的な対処法は主治医や認知行動療法の中でも練習できます。
市販薬だけでパニック障害を治療することは難しいとされています。
不安を一時的に和らげるサプリメントや漢方薬を使用する方もいますが、効果には個人差があります。自己判断で放置すると症状が固定化・悪化する可能性があるため、専門医による診断と治療を受けることが最も確実な方法です。
自己診断は難しく、必ず専門医による診断が必要です。
動悸・息苦しさ・めまいなどの症状は、心臓疾患・甲状腺疾患・自律神経失調症など身体疾患でも起こります。チェックリストはあくまで受診の目安であり、確定診断は医師にしかできません。気になる症状がある場合は早めに受診してください。
対面より話しやすいと感じる方へ
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からだとこころのクリニックラポール佐竹 学 先生
宮城県仙台市の心療内科、からだとこころのクリニックラポールでは、身体疾患にも精神疾患にも対応しています。そのため、症状や原因別にそれぞれ違う病院に通って頂く必要はありません。
場合によっては、專門治療を行っている大学病院などにご紹介させて頂くこともございますが、まずは当クリニックにお越し頂ければ、適切な検査と診断を行い、患者さまにとって最も良いと思われる治療方針をご提案させて頂きます。
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