痛みがなくても、問題がないとは限りません。
視野に影響を与える病気の多くは、痛みを伴わずに進行することがあります。「痛くないから大丈夫」という判断は、視野の異常では当てはまりません。
「視界の一部が欠けている気がする」「真ん中が暗くて見づらい」
こうした視野の異常は、単なる疲れ目ではなく、放置すると視力低下や失明につながる病気の初期サインであることがあります。
視野の異常は自分では気づきにくく、気づいたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。本ページでは、見え方のセルフチェック、考えられる原因となる病気、受診の目安について、眼科専門医の監修のもと、専門的な視点でわかりやすく解説します。
注意が必要な視野の異常は大きく以下の3点です。
物がぼんやりして見えたり、霞がかかったように感じる場合、近くを見続けることで目のピント調節に関わる筋肉が疲労する、いわゆる疲れ目が原因のことがあります。
ただし、目を休ませても改善しない場合は注意が必要です。白内障や緑内障のほか、角膜・虹彩・水晶体・硝子体・網膜・視神経など、目のさまざまな部位に異常が起きている可能性があります。
また、見え方の異常の中には、まれに網膜剥離などの重大な目の病気が隠れていることもあります。そのため、「疲れ目だと思っていたが、なかなか改善しない」という場合は、眼科での確認が勧められます。
柱やドア枠などの直線が波打つように見える、物の形が歪んで見えるといった症状は、乱視が原因のこともあります。
一方で、乱視用の眼鏡をかけても改善しない場合には、加齢黄斑変性などの黄斑部の病気や、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜の病気が関係している可能性もあります。
特に、片目だけで歪みを感じる場合は、網膜の病気など、治療が必要な疾患が隠れていることもあるため、早めの受診が重要です。
視野の一部が見えなくなったり、見える範囲が狭くなったりする状態を視野欠損、視野狭窄といいます。原因として多いのは緑内障ですが、網膜剥離や中心性漿液性脈絡網膜症などが関係することもあります。
また、目の検査で大きな異常が見つからない場合でも、視覚情報を処理する脳に炎症や血流障害などが起きていることで、視野の異常が生じることもあります。
特に、
といった場合は、脳の病気が関係している可能性もあるため、眼科だけでなく脳神経外科や救急受診を含めた早めの対応が必要です。
視野の異常は、「少し様子を見れば治るだろう」と判断されがちですが、原因によっては、時間の経過がそのまま視機能の予後に影響することがあります。
視野は、一度失うと元に戻らないことがあります。
たとえば緑内障では、視神経が徐々に障害されていきます。治療の目的は失われた視野を回復させることではなく、これ以上悪化させないことです。
そのため、
すでに進行しているケースも少なくありません。
視野の異常を引き起こす病気の中には、早い段階で見つければ、進行を遅らせたり、視力を保てる可能性が高いものがあります。
などは、症状が軽いうちに対応できるかどうかで、その後の見え方に大きな差が出ることがあります。
視野の異常は、必ずしも目だけの問題とは限りません。視覚情報を処理する脳に異常が起きた場合でも、視野が欠けることがあります。
特に、
といった場合には、脳梗塞など、早急な対応が必要な疾患が関係している可能性もあります。
視野の異常は、
という性質の症状です。
「様子を見る」ことで得られるメリットはほとんどありません。少しでも違和感がある段階で眼科を受診することが、視力を守る最も確実な選択です。
視野の異常は、見え方の特徴によって、ある程度原因となる病気を絞り込むことができます。ただし、以下はあくまで代表的な例であり、同じ症状でも別の病気が原因となることがあります。
| 見え方・症状の特徴 | 考えられる主な病気(例) |
|---|---|
| 視野の外側や一部が徐々に欠ける | 緑内障 など |
| 中心が暗い・ゆがむ | 加齢黄斑変性 など |
| 黒い影が増える・膜がかかった感じ | 網膜剥離 など |
| 急な視野欠損・急激な見えにくさ | 視神経炎、脳梗塞 など |
緑内障は、視神経が徐々に障害され、視野がゆっくり欠けていく病気です。初期にはほとんど自覚症状がなく、気づいたときには進行しているケースが少なくありません。
見え方に違和感を覚えた時点で、すでに進行している可能性もあります。
網膜の中心部(黄斑)が障害され、中心が暗くなる・歪む・文字が読みにくいといった症状が現れます。
片目ずつ見て違和感があれば、早めの受診が重要です。
網膜が内側から剥がれてしまう病気で、緊急性が高いことで知られています。
これらの症状がみられる場合は、できるだけ早く眼科を受診する必要があります。
視野の異常は、必ずしも目の病気だけが原因とは限りません。視神経の炎症や、脳の血流障害などによって、突然視野が欠けることがあります。
特に、
といった症状がある場合は、脳の病気が関係している可能性もあります。
このような症状が急に出た場合は、眼科か脳神経外科か迷う前に、救急受診や救急要請も含めて速やかに医療機関を受診してください。
視野の異常で眼科を受診した場合、症状に応じていくつかの検査を組み合わせて行います。痛みを伴う検査はほとんどなく、日帰りで完結するケースが大半です。
まずは、現在の見え方や目の基本的な状態を確認します。
これらは多くの眼科で初診時に必ず行われる基本検査です。
眼底検査では、瞳を通して網膜や視神経の状態を直接観察します。
などを確認することができます。
※点眼薬で瞳孔を広げる場合、一時的にまぶしさやピントの合いにくさが出ることがありますが、時間とともに元に戻ります。
視野検査では、どの範囲がどの程度見えていないかを詳しく調べます。
に欠かせない検査です。
ボタンを押して光に反応する検査で、痛みはありません。集中力が必要な検査ですが、スタッフの説明に従って行えば問題ありません。
※検査内容や医療機関によって異なるため、詳細は受診先でご確認ください。
視野の異常は、
という性質の症状です。検査そのものが視力を悪化させることはありません。「何をされるかわからないから不安」という理由で受診を先延ばしにするメリットはほとんどありません。
痛みがなくても、問題がないとは限りません。
視野に影響を与える病気の多くは、痛みを伴わずに進行することがあります。「痛くないから大丈夫」という判断は、視野の異常では当てはまりません。
加齢によって見え方が変化することはありますが、年齢だけを原因と決めつけるのは危険です。
年齢とともに増える目の病気も多く、異常があれば一度は検査で確認することが大切です。
症状の感じ方が日によって変わることはあります。
ただし、一時的に軽くなっても、異常そのものが消えているとは限りません。繰り返し気になる場合は、早めの受診が勧められます。
長時間の画面作業で目が疲れることはありますが、
視野が欠ける・部分的に見えないといった症状の直接的な原因になることは一般的ではありません。デジタル疲労と決めつけて放置しないことが大切です。
目の乾きや軽い疲れであれば、市販の目薬で楽になることもあります。
しかし、視野の欠け・歪み・暗さといった症状そのものを改善する効果はありません。症状が続く場合は、眼科での確認が必要です。
片目だけの異常でも、様子見はおすすめできません。
反対の目で補われるため気づきにくく、発見が遅れることがあります。片側だけの異常こそ、早めの受診が重要です。
度数が合っていない場合に違和感を感じることはあります。
ただし、視野が欠ける・暗くなる・歪むといった症状は、度数不良だけでは説明できないことが多いため、自己判断せず眼科での確認が必要です。
一度の検査で大きな異常がないことを確認できる場合もあります。
ただし、病気によっては経過をみることが重要なため、再検査や定期チェックが必要になることもあります。医師の指示に従うことが大切です。
すべてのケースで、すぐに治療が必要になるわけではありません。
検査の結果、経過観察だけで問題ないと判断されることもあります。「治療が必要かどうかを確認するための受診」と考えると安心です。
本人が症状をうまく説明できないこともあります。
などの変化があれば、周囲が気づいた段階で受診につなげることが重要です。

たかはし眼科髙橋 俊明 先生
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