あります。
年齢とともにホルモン分泌の変動幅が変わるほか、腸の動きや内臓の感じ方にも変化が起こるため、以前より症状を強く感じるようになる方もいます。特に20代と比べて30代以降で「同じ生理でもつらい」と感じる場合は、体の反応が変わってきている可能性があります。
生理が近づくと、胃が重く感じたり、急な腹痛や下痢、反対に便秘やお腹の張りがつらくなったりする――。 こうした胃腸の不調に心当たりがある方は、決して少なくありません。
「生理前だから仕方ない」「ホルモンバランスのせいだと思って我慢している」 そう感じながら、毎月つらさをやり過ごしている方も多いのではないでしょうか。しかし、生理に関連する胃腸症状は、単なる体調不良や気のせいではなく、消化管の運動や“感じ方”の変化によって説明できる現象です。
消化器内科では、生理周期に伴って胃や腸が
といった変化が起こる点に注目します。
本記事では、消化器内科の立場から
について、できるだけ分かりやすく解説します。
毎月の不調を「仕方ない」と片付ける前に、体の状態を理解する一助としてご覧ください。
目次
生理周期に伴って胃腸の調子が変わる背景には、女性ホルモンそのものだけでなく、ホルモン変化により分泌される物質が消化管に直接作用することが関係しています。
生理が始まると、体内ではプロスタグランジンと呼ばれる物質が多く分泌されます。これは子宮を収縮させ、経血を排出するために必要な物質です。
一方でプロスタグランジンは子宮だけでなく、腸の平滑筋にも作用します。その結果、生理中には腸の動きが過剰になり、
といった症状が現れやすくなります。
「生理のたびにお腹を下す」「生理痛と同時に腸も痛くなる」という方は、こうした腸の過剰な運動が関与している可能性があります。
一方、生理前(排卵後から生理開始まで)は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。
このホルモンは妊娠に備えて体をリラックスさせる働きがあり、同時に腸のぜん動運動を抑える作用も持っています。
その結果、
といった症状が現れやすくなります。
生理周期に伴う胃腸の不調は、
が交互に訪れることで説明できます。
「ホルモンバランスが乱れているから」と一言で片付けてしまうと対処が難しくなりますが、消化器内科では胃や腸の動きをどう調整するかという視点で考えることが重要になります。
内視鏡検査などで明らかな異常がないにもかかわらず、胃もたれ、胃痛、早期満腹感などが続く状態を機能性ディスペプシア(FD)と呼びます。
FDのある方では、生理前後に
といった症状が目立つことがあります。
これは、生理周期によるホルモン変化が胃の運動機能や知覚に影響し、症状が表れやすくなるためと考えられています。
生理のたびに下痢が悪化したり、生理前に強い便秘を感じたりする方の中には、過敏性腸症候群(IBS)の特徴を持つ場合があります。
IBSは、腸に明らかな病変がないにもかかわらず、
といった症状が続く状態です。
生理周期に伴う腸の動きの変化が、症状の引き金になることがあります。
消化器内科で重要なのが内臓知覚過敏という考え方です。これは、腸の動きやガスのたまりといった、通常なら問題にならない刺激を、強い不快感や痛みとして感じてしまう状態を指します。
生理周期に伴うホルモン変化は、この知覚をさらに敏感にし、
といった状態につながることがあります。
生理に伴う胃腸の不調に対して、消化器内科では「症状の原因となっている体の反応をどう整えるか」という視点で治療を考えます。
ここでは、代表的な症状ごとに、どのようなタイプの薬が検討されることがあるかを例としてご紹介します。
お腹の張りやガスによる不快感が主な症状の場合、腸内にたまったガスを減らす、あるいはガスによる刺激を和らげることを目的とした対応が検討されます。
これらは、ガスの量そのものを減らすことや、「張ってつらい」「苦しい」といった感覚を軽くする目的で用いられることがあります。
生理中は、腸が必要以上に強く動くことで、差し込むような腹痛や急な下痢が起こることがあります。
このような場合には、
といったタイプの薬が検討されることがあります。
症状の強さや頻度、体質によって適切な対応は異なるため、使用の可否やタイミングは医師が総合的に判断します。
生理前後に胃の不快感や胃もたれが目立つ場合には、胃の動きや刺激の感じ方を調整するという考え方で対応が検討されます。
これらは、症状の出方や経過をみながら選択されます。
症状の現れ方や体質を踏まえ、漢方薬が用いられることもあります。
漢方薬も医師の判断のもとで処方される医薬品であり、自己判断での使用とは異なる点が重要です。
生理に伴う胃腸症状は、人によって出る症状・時期・つらさの程度が異なります。
消化器内科では、「生理だから仕方ない」と一括りにするのではなく、どの症状が、どの時期に、どの程度出ているのかを整理したうえで、その人に合った対応を考えていきます。

生理に伴う胃腸症状はよくみられますが、すべてを「よくあること」として済ませてよいわけではありません。
といった場合は、消化器内科への相談が勧められます。
また、生理中の強い腹痛や排便時痛、出血を伴う場合には、腸管子宮内膜症などの婦人科疾患が関与していることもあります。消化器内科と婦人科が連携して判断することが重要です。
あります。
年齢とともにホルモン分泌の変動幅が変わるほか、腸の動きや内臓の感じ方にも変化が起こるため、以前より症状を強く感じるようになる方もいます。特に20代と比べて30代以降で「同じ生理でもつらい」と感じる場合は、体の反応が変わってきている可能性があります。
症状が完全に消えて日常生活に支障がない場合は、すぐに受診が必要とは限りません。
ただし、毎月のように強い症状を繰り返している場合や、症状が徐々に悪化している場合は、一度相談することで対処法が見つかることがあります。
はい、関係があります。
ストレスは自律神経を介して消化管の動きや知覚に影響を与えます。生理周期による変化とストレスが重なると、腸がより過敏に反応し、痛みや不快感を感じやすくなることがあります。
生理前後は腸の動きが変化しやすく、食事という刺激に対して過剰に反応することがあります。
そのため、特定の食品が原因でなくても、食後に症状が出やすくなる場合があります。
一時的な対処として市販薬を使う方もいますが、毎回薬が必要になる場合や、効果が十分でない場合は、医師に相談したほうが安心です。
症状のタイプによっては、別のアプローチが適していることもあります。
妊娠や出産をきっかけに、ホルモン環境や体質が変わり、症状が軽くなる方もいれば、逆に出やすくなる方もいます。
以前と違う不調を感じた場合は、その変化を医師に伝えることが大切です。
あります。
子宮の痛みが目立たなくても、腸や胃の反応が主体となって症状が出るケースは珍しくありません。そのため、「生理痛が軽い=問題ない」とは言い切れません。
起こることがあります。
ホルモン治療によって生理周期は調整されていても、消化管の感じ方や動きに影響が残る場合があります。治療中の症状についても、遠慮せず相談することが大切です。
必ずしも必要とは限りません。
症状の頻度や強さ、経過を踏まえ、必要な場合に検査が検討されることが一般的です。まずは症状を詳しく伝えることが重要です。
もちろん問題ありません。
症状が軽いうちに相談することで、悪化を防ぐための考え方や対処の選択肢を知ることができる場合があります。「この程度で相談していいのかな」と迷う段階こそ、相談のタイミングとも言えます。。
生理に伴う胃腸の不調は、消化管の運動や内臓知覚の変化によって説明できる現象です。決して「気のせい」でも、「我慢すべきもの」でもありません。
症状の背景を理解し、必要に応じて医療機関に相談することで、毎月のつらさが和らぐ可能性があります。「仕方ない」と抱え込まず、自分の体のサインとして受け止めていただければと思います。

まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック船越 真木子 先生
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