最終更新日:2023.11.02

膝の急な痛みの原因は?症状チェック、膝を曲げると痛い病気を解説

膝の急な痛みの原因は?症状チェック、膝を曲げると痛い病気を解説

膝(ひざ)は、「歩く・立つ・座る」など、日常生活のさまざまな動作で使うことが非常に多いです。

体の動きに合わせて膝(ひざ)の関節を曲げたり伸ばしたり、頻繁に繰り返しています。このように体重を支えながらもスムーズな動きを実現できるのは、膝の関節が正常に機能しているからこそです。

膝関節は複数の骨や靭帯によってしっかりとつながっており、その複雑な構造のうえで常に大きな負荷に耐えています。

本記事では、整形外科の医師に監修していただき、膝の急な痛みの原因と症状、膝疾患を解説しています。

膝の痛み – 症状チェック

まずは気になる膝の症状や体の状態をチェックしましょう。

どんな時に膝が痛む?

  • 膝を動かしたときに痛む
  • 膝を曲げると痛い
  • 膝を押すと痛い
  • 歩くと膝が痛む
  • 階段の昇り降りのときに膝が痛い
  • 走ったときに必ず膝が痛む
  • 膝の調子が悪いと感じる(重い、だるい、違和感がある)

膝が痛む場所

  • 膝の内側が痛い
  • 膝の外側が痛い
  • 膝の裏側が痛い

膝の状態

  • 膝が腫れている
  • 膝が変形している
  • 膝が曲がらず、きちんと正座ができない
  • 床に座って、脚をまっすぐに伸ばせない

など

膝が痛いときの受診の目安

痛みがあるものの、しばらくすると自然に治るのであれば急ぐ必要はありません。

一方で、

  • 膝が腫れている
  • 痛みがひどくて動かせない
  • 痛みが何度も繰り返す
  • 痛みが徐々に強くなってきた

このような場合は、すぐに整形外科を受診しましょう。

市販の湿布薬や痛み止めの薬を2〜3日使っても痛みが続くときは、受診して検査を行い、原因を調べてもらうことが大切です。

また、

  • スポーツをしている(または過去にしていた)
  • 膝を酷使する仕事をしている(または過去にしていた)
  • 過去に膝を痛めたことがある
  • 肥満傾向にある
  • 運動をほとんどしていない
  • 体を動かす機会がない
  • 加齢に伴い、太ももがやせてきた
  • O脚またはX脚である

以上に該当する方は、膝に負担がかかりやすくなっている可能性が高いです。

一旦、症状が落ち着いたという方も、一度検査することをお勧めします。

膝の痛みの原因

膝が痛くなる原因は、

  • 膝の使いすぎ
  • 加齢(老化)によるもの
  • 肥満

など、膝に支障をきたしてしまう可能性はいくつか考えられます。

そのため、まずは膝だけに症状があるのか、あるいは膝以外にも痛みなどの症状があるのかを見極めることが大切です。

急な膝の痛みの原因

細菌感染による急な膝の痛み

感染が原因の場合は、急激に痛みがあらわれます。感染性関節炎の中でもっとも発症の頻度が高い病態に、感染性膝関節炎(化膿性膝関節炎)があります。

この病気は何らかの経路で膝関節に細菌感染(もしくはウイルスや真菌の感染)が起こり、突然もしくは徐々に関節炎を発症して痛みがでるようになります。

痛風による急な膝の痛み

痛風(つうふう)は、体内に過剰に溜まった尿酸塩が結晶化し、主に関節に沈着して炎症を引き起こす疾患です。これは、尿酸塩の結晶を異物と判断し、それを排除しようとする免疫細胞の攻撃によって起こるものです。これを痛風発作とよびます。

痛風発作がもっとも起こりやすいのは足の親指の付け根ですが、基本的にはどの関節にも尿酸塩の結晶は沈着します。脚のケガや化膿、打撲、捻挫など、激痛の原因が思い当たらないときは、痛風発作の可能性も考えられます。

高齢者の膝の痛みは「ロコモ」の危険信号

ロコモシンドローム(略称:ロコモ)は、運動器症候群といい整形外科学会によって提案された概念です。(2007年)

運動器とは、体を動かすための器官のことで、すなわち骨や筋肉をはじめ、軟骨や靭帯、腱、神経などが含まれています。ロコモシンドローム(運動器症候群)は、これらの運動器障害によって、介護が必要な状態になったり、そのリスクが高まったりした状態をさします。

膝や腰が痛いくらいで・・・と思われる方も多いと思いますが、運動器の障害は徐々に進行することが多く、そのリスクは年齢とともに高まっていきます。また、骨折や転倒の背景には、関節疾患が影響していることが多いです。

はじめは少し膝が痛いだけだった方が、しばらくすると歩きにくさを感じるようになり、数年後にはだれかの介助なしではトイレにも行けなくなってしまったという症例は、決してめずらしいことではありません。

ロコモシンドローム – 予備軍チェック

日本全国の40歳以上の方の約半数以上が、ロコモかその予備軍であるという報告があります。

「自分はまだ若い」「介護を考えるほどの年齢ではない」と油断していると、症状を見過ごしてしまうことになり兼ねません。

  • 家の中で、つまづいたり転んでしまうことが多い
  • 階段を上り下りするのに、手すりが必要
  • 片足立ちで靴下を履くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれないことがある
  • 15分以上続けて歩くと、脚が辛くなる
  • やや力を使う家事が困難である(布団を持ち上げる、など)

とすでに膝に痛みを感じていて、とくにそのきっかけが思い当たらないという方は、注意が必要です。

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こちらの記事の監修医師

佐藤 諒

こごた整形外科クリニック佐藤 諒 先生

宮城県遠田郡美里町「こごた整形外科クリニック」、院長の佐藤 諒 です。

私は開業医であった祖父母の姿をみて育ちました。学生の頃からスポーツに励み、ケガをしては地域の整形外科へお世話になっておりました。私の地元には開業医が少なかったこともあり、もっと地域の方々が気軽に来院できるクリニックがあったら…と感じることもありました。

それらの経験が重なり、いつしか医師の道へ。そして、整形外科開業の道を目指すようになりました。

子供からお年寄りまで幅広い年齢の方が「何かあったらすぐに頼れる」クリニック。そんな安心した環境を追求するべく、スタッフ一同、医療業務に励んでまいります。各世代に合わせた幅広いケガや疾患に対する診療を実現し、総合的な医療サービスを提供できるようにいたします。

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