最終更新日:2023.09.12

夏バテ・秋バテの症状セルフチェック、自律神経を整える対策を解説

夏バテ・秋バテの症状セルフチェック、自律神経を整える対策を解説

2023年の夏も終わりに近づき、秋がもうすぐそこまでやってきています。今年も猛暑日が何日も続き、年々夏の暑さがましているように感じる日々が見受けられました。地域によっては40°Cに近い気温になることもあり、例年、熱中症をはじめとする体調不良が問題視されています。

夏から秋にかけたこの季節の変わり目に、暑さに日々耐えてきた反動で体がだるくなったり、食欲がなくなったり、体調を崩してしまう方が増えていきます。

本記事では医師監修のもと、夏バテ・秋バテの症状セルフチェックと、暑さ対策を解説しています。

夏バテ・秋バテとは?

夏バテには医学的な定義はなく、夏は暑さによってとくに疲労がたまりやすいことから、その名がつけられました。とくに8月の猛暑時期は体力や食欲が低下し、なんとなく体全身がだるく、疲れを感じやすくなります。

そして9月にさしかかり、涼しくなった頃から再び、だるさや食欲不振など、夏バテと同じような症状に悩まされる方が増えていきます。

このように、夏の終わりから秋にかけての季節の変わり目に起こるさまざまな不調を、俗に「秋バテ」とよびます。

夏バテと同様に、秋バテも医学的な定義はありませんが、夏にたまった疲労が秋に何らかの形で症状としてあらわれたり、温度変化によって体調を崩されたりする方が多くなっています。

夏バテの原因は自律神経の不調

人間の体温を調節しているのは、自律神経とよばれる神経です。周囲の気温の変化に応じて、汗のかき方や心拍数、呼吸の回数などをコントロールし、放出する熱の量を調節しています。

一方で、自律神経の役割は体温調整だけではありません。心臓や血管などの循環器や、肺などの呼吸器、そして消化器などを動かしており、さまざまな活動を維持するのに重要な役割を果たしています。

夏は、外気温の上昇によって深部体温も上昇しやすい傾向にあります。さらに、暑い屋外から涼しい屋内に移動するときは大きな温度差があり、日々の生活のなかでこのような状況下にさらされ続けると、自律神経は体温調節の司令塔として常に激しく活動し続けていなくてはなりません。

暑い屋外では、汗をかいたり呼吸を多くしたりすることで、できるだけ熱を放出しようと試みます。 一方、涼しい星内では、逆に熱の放出をおさえようとします。また、屋内では座っていることもあるため、上半身と下半身に体温の差が生じることもあります。

自立神経はこれらの状況に合わせて適宜、体温質節を行うため、次第に疲弊して、本来の機能が低下していきます。私たちの脳はもともと、発熱が最もはげしい器官であり、夏は自律神経の中枢がオーバーヒートしやすい傾向かなあります。そして、そのくり返しが夏バテを起こす引き金となるのです。

疲れは肉体の不調だと誤解されることも多いですが、実は脳が自律神経のはたらきの低下を感じると、あえて体の疲労として自覚させるようにできています。これは、さらに自律神経中枢に負荷がかかるのを未然に防ごうとするはたらきです。また日本の夏は湿度が高く、汗が蒸発しにくいため、汗による体温調節は容易ではありません。日本のような高温多湿の夏は、夏バテになりやすい環境であるといえます。

夏バテになりやすい女性、高齢者

夏バテを誘因する自律神経の不調。自律神経のはたらきは、年齢を重ねるごとに低下していく傾向にあるため、年齢の高い方が夏バテするリスクが高まります。

また、すべての年齢において、男性よりも女性のほうが自律神経のはたらきが弱いため、女性はとくに夏バテに注意が必要です。 

効果的な夏バテ対策

夏バテにならないためには、どのような対策が効果的か?その答えもやはり、自律神経にあります。

夏バテを予防するには、なるべく自律神経を休ませて、脳温度の上昇を抑えることが重要です。

夏バテ対策には良質な睡眠が必要不可欠

低下した自律神経のはたらきを正常な状態に戻すためには、良質な睡眠が欠かせません。夏バテ対策にもっとも効果が期待できると考えます。

睡眠によって自律神経を十分に回復させるために心がけたいのは、 寝汗をかかないこと いびきをかかないこと この2つです。

私たちの体は、寝ている間に暑くなったら汗をかいて、体温を調節します。つまり、寝汗をかいてしまうと、自律神経がはたらいてしまうため、十分に休ませることができないのです。そのため、エアコンはつけたままにして、布団をうまくつかって温度の微調整をはかるのがベストです。心地よいと感じる環境を作りましょう。

いびきは寝ているときに気道がせまくなることなどによって起きる現象です。いびきをかくと、ふだんよりも吸いこむ空気の量が減ってしまい、十分に酸素を取りこむことができません。そこで、心拍数を上げたりするために、自律神経がはたらきます。

つまり、いびきは自律神経が休息をとるための障害になるのです。 あおむけではなく横を向いて寝ると、気道がせまくなりにくく、いびきが軽減できます。もし、中等度から重度のいびき症状がある方は、一度、いびき外来を受診することをおすすめします。 心地よい室温を維持する

たとえば、職場や自宅の温度を適温にして、心地よいと感じる状況をつくること。とくに体を休める場所である寝室は、安全・安心・快適な環境を維持することが大切です。

運動は適度に

はげしい運動は自律神経に体温調節をしいることになるので、体調と相談しながら無理のない範囲で体を動かすことが望ましいです。

一方で、軽めの運動は逆に自律神経に程よい刺激を与えます。運動すると筋肉の動きによって血管が刺激され、血液の循環がよくなる傾向にあります。そのため、血液の循環をコントロールしている自律神経を手助けすることができます。

日中、オフィスでデスクワークをされている方でも、30分や1時間おきににオフィス内を歩く程度でも血流改善に効果が期待できます。

メリハリのある生活が大事

夏はイベント毎も多く、活動的になる方も多いのではないでしょうか。合間合間でしっかりと休息をとること、休むときは休んで、メリハリをもった日常生活をおくることを心がけましょう。

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こちらの記事の監修医師

大坂 美和子

蛇田さくら内科クリニック大坂 美和子 先生

宮城県石巻市「蛇田さくら内科クリニック」の院長、大坂 美和子です。

当院は地域の皆様に、「何でも気軽に相談できるクリニック」を提供することを目指しています。自分の症状や状態で何科を受診したらいいのかわからないことがあると思います。そんな時はお気軽にご相談ください。

当院で診療できる病気は当院で、他院をお勧めする場合は紹介先などのご相談に乗ります。もちろん患者様ご自身のお考えを一番大切にします。病気については丁寧にわかりやすく、納得がいくまで説明します。そのうえで、最終的に患者様ご自身に治療方針を決定してもらう、そのための最大限のお手伝いをさせていただきます。

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