通常、目やには目の中の異物や老廃物を排出するために自然に分泌されるものです。
しかし、急激に量が増えたり、においが強くなったり、色が濃くなる場合は、細菌性・ウイルス性結膜炎、ドライアイ、アレルギー性結膜炎など、何らかの疾患のサインかもしれません。特に目の充血やかゆみ、痛みを伴う場合は、早めの眼科受診をおすすめします。
「朝起きたら目やにがたくさんついていた」「いつもの目やにより量が多く、ネバネバべたつく気がする」など、普段とは少し違う目の様子、目やにが気になったことはありませんか。
とくに心配いらない目やにもありますが、なかには眼科への受診が必要な目やにもあるため注意が必要です。
本記事では、眼科医に監修していただき、目やにが多い原因、糸状にネバネバべたつく理由を解説しています。
目やには医学用語で眼脂(がんし)といいます。目やにの正体は、古くなった細胞や目の分泌物です。目も体のほかの部分と同じように「新陳代謝」をしています。
目から出る涙はさらさらとした液状のイメージがあると思いますが、実際は水分の蒸散を防ぐための油層や、水分を目の表面にとどまらせるはたらきをもつ「ムチン」というタンパク質成分が含まれています。
このムチンが眼の表面の不純物や異物をからめ取って、目やにとして体外へ排出します。目のゴミをくるんで外に出しているのをイメージするとわかりやすいと思います。
起床時に、眼の周り(目頭、目尻)に目やにが少量ついている経験は誰にでもあると思います。この目やにのほとんどが、眼の新陳代謝によって起こるものです。寝ている間に排出された老廃物(脱落した上皮や血液中の細胞)が出てきた生理的現象なので、とくに心配はいりません。
寝ている間はまばたきをしないので、目やにがたまりやすくなります。少量であれば問題ありません。
目やにの量や色など、普段とは違う状態であれば眼科を受診しましょう。
このような目やには、代謝活動によるものではなく、目が炎症を起こしている可能性があります。
市販の目薬で治ることもありますが、発症原因によっては重症化すると角膜が濁ってしまい、視力障害を起こす危険性がありますので、一度、眼科で適切な検査をすると安心です。
目やには、眼の代謝活動にともないでることもありますが、目やにの量や状態に異常がある場合は、眼の病気が隠れている可能性があります。
その主な原因が「結膜炎」とよばれる眼の炎症です。
結膜炎の発症原因には
大きくこの3つのタイプに分かれます。それぞれ解説します。
子どもがよくプールでうつることが多い流行性角結膜炎(はやり目)は、ウイルス性の結膜炎の中でもっとも多い病気です。アデノウイルスに感染して発症するこの病気は、とても感染力が強く、粘性のあるベタつく目やにがたくさん出ます。
感染したお子さんは、眼科で診察を受けて医師が「完治した」と判断するまでは、登園・登校が禁止されています。また大人が感染した際も、衛生環境を必要とされる職場であった場合は仕事をすることはできません。目やにや涙を介して人から人へと感染するため、家庭内感染にも注意が必要です。タオルの共用などしないように注意しましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)の潜伏期間は1~2週間程度といわれています。目やにだけでなく、眼の充血を起こし、涙が増えてまぶたの腫れや耳前リンパ節の腫れなども起こる場合がありますので、早めに受診することが大切です。
色づいた膿(うみ)のような目やには、細菌による感染が考えられます。
細菌性の結膜炎は、
など、一般細菌が原因となって発症します。
そのほかにも、
があります。
細菌性結膜炎は、お子さんや高齢者がかかりやすい疾患ですが、比較的感染力は弱く、あまり人から人へ感染することはありません。
花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンが原因で起こる結膜炎をアレルギー性結膜炎といいます。
アレルギー性結膜炎も黄色や緑色っぽいドロッとした目やにが出ることもありますが、ウイルス性結膜炎や細菌性結膜炎と比べるとそれほど量は多くありません。
一方で、
など、眼の異常のほかに全身症状がみられる場合は、アレルギーが原因となっている可能性が考えられます。
アレルギーは、花粉のように特定の季節のみに発症するもの(季節性結膜炎)と、ダニやハウスダストのようにほぼ1年を通して結膜炎が繰り返し起こるもの(通年性結膜炎)があります。原因物質を見つけて早めに対策をとりましょう。
コンタクトレンズを不適切に使用していると、目やにが多くなることがあるので注意が必要です。
コンタクトレンズを使用している方で異常な目やにが出る要因となるのは、
など、これら3つのケースが多いです。
たとえ適切に使用していても、コンタクトレンズは外気に触れるため、空気中のゴミが付着します。また、目の分泌物もつきますので、コンタクトレンズは汚れやすい状況にあるということを知っておきましょう。
そのため、使用期限は必ず守ることが重要です。くれぐれもワンデーコンタクトを連日使用するということのないようにしてください。
また、とくに女性の方は、アイシャドウ等の化粧品の扱いに注意が必要です。コンタクトに化粧品がついてしまったり、化粧品がついた手指でコンタクトレンズに触れてしまうと、目の中に異物が入って大変危険です。
「お化粧をする前にコンタクトをつける」、そして「メイクを落とす前にコンタクトを外す」という習慣をつけましょう。
コンタクトレンズの種類や素材、そしてケア用品に含まれる防腐剤などの成分に影響して、アレルギー反応が起こり、目やにの症状が誘発されることもあります。違う製品に変えた際になんらかの症状が出たら、早めに眼科を受診して医師に相談してください。
コンタクトレンズを付けたまま寝るのは絶対にやめましょう。目に大きな負担がかかり、深刻な眼障害を引き起こすこともあります。
コンタクトレンズを装用していだけで、角膜は酸素不足になりやすい状態にあります。さらに、まぶたを閉じたまま長時間付けっ放しにしていると、さらに酸素不足に拍車をかけます。角膜は酸素不足になると傷付きやすくなり、感染症の発症リスクを高めるため注意が必要です。
コンタクトレンズの種類や素材、そしてケア用品に含まれる防腐剤などの成分に影響して、アレルギー反応が起こり、目やにの症状が誘発されることもあります。違う製品に変えた途端に症状がではじめたという場合は、早めに眼科を受診して医師に相談してください。
通常、目やには目の中の異物や老廃物を排出するために自然に分泌されるものです。
しかし、急激に量が増えたり、においが強くなったり、色が濃くなる場合は、細菌性・ウイルス性結膜炎、ドライアイ、アレルギー性結膜炎など、何らかの疾患のサインかもしれません。特に目の充血やかゆみ、痛みを伴う場合は、早めの眼科受診をおすすめします。
乾燥やまぶたの炎症(眼瞼炎)、アレルギーの可能性があります。
糸を引くようなネバネバした目やには、乾燥やまぶたの炎症(眼瞼炎)、アレルギー反応によって粘液が多く分泌されている可能性があります。特に「ドライアイ」や「アレルギー性結膜炎」の患者さんでは、粘稠度の高い目やにがしばしば見られます。眼のゴロゴロ感や涙が出にくい場合も併発することがあります。
白や透明な目やには、主に粘液や老廃物で、比較的生理的なものです。
一方、黄色や緑色の目やには、細菌による感染が疑われるため注意が必要です。膿が混ざっている可能性があり、悪化すると目の腫れや視界のにごり、痛みを伴うこともあります。放置すると症状が悪化する可能性があるため、早めの受診が望ましいです。
起床時に目やにが多くついていることは一般的です。
寝ている間はまばたきがなく、涙や分泌物が目の表面に留まりやすいため、起床時に目やにが多くついていることは一般的です。ただし、目やにの量が異常に多い、黄色や緑色で悪臭がある、まぶたがくっついて開けられないなどの症状がある場合は、結膜炎などの感染症の可能性があるため、注意が必要です。
子どもは免疫力が大人より未発達であるため、ウイルス性や細菌性の結膜炎、アレルギーなどにかかりやすく、目やにが多くなることがあります。
とくに保育園や学校などで集団生活をしている子どもは、感染症が広がりやすいため注意が必要です。目やにとともに目の充血やかゆみ、涙が出ている場合は眼科を受診しましょう。
かゆみがある場合は、アレルギー性結膜炎や花粉症の可能性があります。
特に両目に症状があることが多く、目のこすりすぎによって角膜を傷つけるおそれもあります。また、コンタクトレンズのアレルギーや化粧品の刺激が原因となることもあります。市販の点眼薬では改善しない場合、眼科での診断・治療が必要です。
片目だけに目やにが出る場合、異物混入やまつ毛の逆さま生え(逆さまつげ)、涙道の詰まり、片側性の感染などが考えられます。
とくに細菌性結膜炎の初期では、まず片目から症状が始まり、数日後にもう片方に広がるケースもあるため、早期対応が重要です。
起床時にまぶたが目やにでくっついて開かなくなる場合、細菌性結膜炎の可能性があります。
特に黄色や緑色でドロッとした目やにが大量に出ると、まぶたの縁にこびりつきやすくなります。無理にこすらず、清潔なぬるま湯や濡れタオルで優しく拭き取り、症状が続くようであれば受診を検討しましょう。
角膜や結膜に負担がかかり、目やにが増えることがあります。
コンタクトレンズは異物であるため、長時間の装用やレンズの汚れ、酸素透過性の低下によって、角膜や結膜に負担がかかり、目やにが増えることがあります。また、レンズ保存液へのアレルギー反応や、装用中の乾燥も原因となることがあります。レンズの使用状況を見直し、症状が改善しない場合は眼科を受診してください。
目やにが数日以上続く、量や色が異常に変化する、かゆみ・充血・視力低下などの症状がある場合は、眼科を受診しましょう。
自己判断で市販薬を使用する前に、原因を正しく特定することが重要です。特に感染性のものは周囲への感染拡大を防ぐためにも、早めの診察が推奨されます。
花巻中央眼科高橋 和博 先生
岩手県花巻市の花巻中央眼科、院長の高橋 和博 です。
平成10年11月当地にて開業して以来、視力・視覚を通して、地域の皆様の生活の質の向上の一助になるよう、理解し易く、且つ安心していただける眼科診療を提供するよう努めてまいりました。最新の白内障屈折矯正手術を開始し、より質の高い眼科医療を提供する事を目標に掲げて日々診療を行っております。
私の父も昭和33年当地に開業して以来、54年に渡って地域の皆様とともに歩ませて頂きました。先代の院長が残した「医療法人ひとみ会」には、「ひとみ健やかに」という想いが込められています。時代を超えて、花巻の皆様の目の健康に携われることを自らの使命と感じながら日々診療にあたっております。
これからも花巻の皆様から愛される眼科医を目指してゆく所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
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