最終更新日:2023.11.08

不眠症とは?症状と原因、最新の不眠症治療薬デエビゴの特徴と副作用を解説

不眠症とは?症状と原因、最新の不眠症治療薬デエビゴの特徴と副作用を解説

「なかなか寝付けない」「途中で目が覚めてしまう」など、眠ろうと思っても寝れない状態が慢性的に続く病態を「不眠症」といいます。不眠症は非常にデリケートな病気で、患者さんの睡眠環境をはじめとするさまざまな要因が複合的に関連している場合が多いです。

不眠症の治療は、主に生活習慣の改善と薬物療法が行われます。不眠症治療薬「デエビゴ」は、2020年7月に発売されたもっとも新しい睡眠薬です。不眠症の診断を受けた方に保険適応されており、寝付きの悪い方や途中で目が覚めてしまうという方の睡眠障害を改善するひとつの選択肢として処方されています。

本記事は医師監修のもと、不眠症の症状・原因と治し方、最新の不眠症治療薬デエビゴの特徴と副作用を解説しています。

不眠症とは

わたしたちはほとんど毎日、寝ては起きるを繰り返す生活を送ります。人生のおおよそ3分の1は寝て過ごしていることになります。

この睡眠に影響を及ぼしてしまう病気の総称を「睡眠障害」といいますが、その中でも「なかなか寝付けない」「途中で目が覚めてしまう」など、眠ろうと思っても寝れない状態が慢性的に続く病態が「不眠症」です。

この不眠症は、日本人の5人に1人が悩まされているといわれており、現代ではとても身近な病気と考えられています。

不眠症の定義

適切な睡眠時間と快適な環境が確保されている状況において

  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚めます、朝早く目が覚める
  • 保護者がいないと眠れない
  • 疲れや倦怠感、集中力や記憶力の低下がみれれる
  • 社会生活・家庭生活・職業生活に支障をきたしている
  • 成績不振等、学業の低下がみられる
  • 日中の眠気や行動障害(過活動、衝動性、攻撃性)がある
  • やる気や気力が著しく低下している
  • 事故を起こしやすい
  • 睡眠に関して心配・不安がある

など

これらの症状が週に3回以上、3ヶ月以上続いている場合は慢性不眠症とみなされ、3ヶ月未満の場合は短期睡眠障害とされます。

※「睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)」の基準より

不眠症の4つのタイプ

不眠症には、

  • 入眠障害
  • 中途覚醒
  • 早朝覚醒
  • 熟眠障害

という4つのタイプに大別されます。

人によっては1つの症状の場合もありますし、2つ以上が当てはまる場合もあります。

それぞれの不眠症のタイプに合わせた症状を解説します。

不眠症のタイプと症状

不眠が続くと、眠れないことへの恐怖や焦り、緊張が生じたり、睡眠へのこだわりが強くなったりします。それによって、さらに不眠が悪化してしまい、悪循環に陥りやすくなります。また、不眠はうつ病や生活習慣病とも関係が深いため、早期の対策が必要です。

寝つきが悪い – 入眠障害

床に入ってもなかなか寝つくことができず、眠りにつくまでに30分〜1時間以上かかります。

「寝たいのに寝られない」という状況がストレスになり、苦痛と感じます。

眠りが浅く途中で何度も目が覚めてしまう – 中途覚醒

一度、入眠したものの、眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めてしまいます。そのあともなかなか寝つくことができません。

早朝に目が覚めて再び寝ることができない – 早朝覚醒

朝早く目が覚めてしまい、二度寝を試みてももう一度寝ることができません。

寝た気がしない、眠りが浅いと感じる – 熟眠障害

十分な睡眠時間を得ているのにもかかわらず、ぐっすりと眠ったという実感はなく、眠りが浅いと感じます。

不眠症の原因

不眠症になる主な原因は、下記の4つです。

  1. 環境の変化、またそれに伴うストレス
  2. 不規則な生活習慣(生活習慣の乱れ)
  3. 精神的・身体的な病気
  4. 薬や刺激物などの外的要因

それぞれ詳しく解説します。

日々の生活の中で、ストレスを感じることが多い

ストレッサー(ストレスの原因)とその「受け止め方」の結果として、ストレス(心身に生じた反応、ゆがみや変調)が生まれます。強いストレスを感じるできごとを経験すると、数日から数週間の間、不眠の症状がでることがあります。

ストレスを引き起こす原因は人それぞれ異なりますが、環境の変化や、仕事・家庭などで起こる人間関係、社会的立場などが影響するものが多いです。

不規則な生活を送っている

  • 昼夜、逆転の生活をしている
  • 夜間、仕事をすることが多い
  • 日によって生活リズムが異なる

など

不規則な生活が続くと自律神経のバランスが乱れ、不眠をはじめさまざまな体の不調を引き起こします。

身体的・精神的な疾患がある

  • 呼吸器疾患による咳や発作、息苦しさ
  • 外傷や関節リウマチなどによる痛み
  • 皮膚疾患(湿疹や蕁麻疹など)によるかゆみ
  • 泌尿器・腎疾患によって起こる頻尿

以上のような身体的な疾患があると、不眠になることがあります。それぞれの疾患に対しての治療が必要です。

また精神的な病気があると、睡眠が不安定になることが分かっています。こころの病気を抱える方のほとんどが、睡眠障害(不眠や仮眠)が現れます。また、睡眠不足は糖尿病や高血圧の発症や悪化にも大きく関わっていることが認められています。 

一方、不眠が慢性化することで、うつ病をはじめとする精神疾患や、心臓病・脳疾患など、重篤な病態に陥るリスクが高くなるという報告があります。

このように、精神的・身体的な病気によって不眠が起こり、不眠によって病気がさらに悪化するという悪循環に陥ります。

薬や刺激物などの外的要因

  • がんの治療薬として使用される抗がん剤
  • 花粉症の症状を抑える薬である抗ヒスタミン
  • 高血圧に対する薬である降圧剤
  • 炎症やアレルギーを抑える効果のあるステロイド薬

など、服用している薬の副作用として不眠が起こる場合があります。

また日頃、治療薬を使用していない方でも、

  • 飲酒(アルコール)
  • 喫煙(ニコチン)
  • コーヒー(カフェイン)

などの刺激物は、覚醒作用があるため安眠を妨げます。

不眠症は何科を受診する?

不眠症か迷った場合は、まずはかかりつけ医を受診するか、お近くの内科を受診しましょう。不眠症の症状として「ただ眠れない」という場合は、内科で診察ができます。生活習慣の見直しを図ることで改善できる場合が多いです。

一方、精神的なストレスが強いと感じる場合は、精神科や心療内科への受診が推奨されます。

そのほか、不眠の背景になんらかの病気が関わっている場合も考えられます。その際も内科を受診していただければ、その病気に合わせた専門的な医療機関を紹介してくれます。一人で悩まずに、まずは相談してみましょう。

睡眠専門外来とは?

現在、日本人の5人に1人はなんらかの睡眠障害をもっていると言われています。そのため、近年では「睡眠専門外来」などを設けるクリニックも増えています。睡眠に関する幅広い知識を備えた医師・看護師に相談できる窓口があります。

不眠にはさまざまな原因が考えられます。不眠症かどうか判断できない方や、病院や精神科への受診をハードル高く感じている方は、睡眠専門外来を受診するのも選択肢の一つです。

不眠症の治療方法(治し方)

不眠症を治すためには

  • 生活習慣の見直し・改善
  • 薬を使った薬物療法

主にこの2つの方法が選択されます。

まずは、薬を使わずに生活習慣の改善(非薬物療法)を実施し、効果が現れない場合に薬物療法を取り入れます。

薬物療法

薬物療法に使われる不眠症治療薬は主に4種類です。

ベンゾジアゼピン系 脳の活動を全般に抑えるはたらきによって、眠りを促します。作用の持続時間が短いものから長いものまで、種類も豊富です。一方で、ふらつきや副作用などが出やすい、やめにくいという懸念があります。
非ベンゾジアゼピン系 寝つきの悪さ・催眠作用に特化した睡眠薬です。深い睡眠(ノンレム睡眠)が増える効果が期待できます。薬物が素早く代謝・排泄されるため、薬の効き目も短いですが、翌朝の眠気やふらつきなどの副作用が少ないのが特徴です。
メラトニン受容体作動薬 催眠作用や睡眠リズムを調節するメラトニンというホルモンと同じようなはたらきをする薬で、自然に近い生理的睡眠を誘発します。入眠が困難な方、夜型、睡眠時間のずれが治らない場合に効果が期待できます。副作用が出にくく、やめやすい睡眠薬です。
オレキシン受容体拮抗薬 脳内で覚醒・睡眠を調節するオレキシンというホルモンのはたらきを阻害(ブロック)することで、睡眠を誘発する睡眠薬です。現在(2023年11月)、最も新しい作用の睡眠薬として使用されています。副作用が出にくく、やめやすい睡眠薬です。

患者さんの症状や不眠症のタイプに合わせて、これらの睡眠薬を処方して、不眠症を治していきます。

いずれの場合でも、継続的に生活習慣の見直しが必要です。良い睡眠を得るために生活習慣の改善がみられたら、徐々に薬を減らしていきます。

睡眠薬デエビゴ の特徴と効果、副作用

デエビゴ(成分名:レンボレキサント)は、従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは異なるはたらきをもつ新しい睡眠薬です。薬の種類としてはオレキシン受容体拮抗薬に分類され、脳内で覚醒・睡眠を調節するホルモン「オレキシン」のはたらきを低下させることで、眠りを促します。(不眠症治療に保険適用されています。)

このオレキシンというホルモンは普段、日中に増加し、夜間は減少する特性があります。このデエビゴ(成分名:レンボレキサント)を服用することで、入眠困難や夜間の覚醒を改善する効果が期待できます。

デエビゴは他の睡眠薬と比べると依存性が低く、服薬中止時の反動が少ない特徴があります。

デエビゴの飲み方・注意点

デエビゴには、2.5mg、5mg、10mg、3種類の剤形があります。一般的には1回 5mg を目安に開始し、必要に応じて最大10mgまで増量できます。

食後すぐの服用は効果を弱める可能性があります。また、他の薬剤との飲み合わせにも注意が必要です。

デエビゴの副作用

  • 朝方の眠気
  • ウトウトとまどろむ程度の軽い意識障害(傾眠)
  • 頭痛
  • めまい
  • 疲労感

などの副作用があげられます。

そのため、デエビゴを服用している方は、自動車の運転や機械等の操作は十分に注意が必要です。必ず医師の指示に従いましょう。

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こちらの記事の監修医師

髙倉 一樹

UnMed Clinic Motomachi髙倉 一樹 先生

横浜市中区元町にあります「UnMed Clinic Motomachi 」院長の髙倉です。地元横浜でクリニックを開院しています。

今までに学んできた事、経験した事を最大限活かし、医学と科学をしっかり結び付けながら、患者さんに求められている医療を最大限表現したいと思います。そのために、今の時代の流れの中で、積極的に新しいものを取り入れながら、地元への医療貢献、さらにはここ横浜からグローバルな医療を皆様にお届け出来る様、精一杯努力する所存でおります。

現在、当院ではオンライン診療を立上げ、メディカルダイエット(肥満外来)、不眠症外来、コロナ後遺症外来を実施しております。全国の患者様に対応しておりますので、お気軽にホームページのオンラン診療予約からご予約ください。

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