最終更新日:2023.11.02

口臭の原因は?口が臭い・唾液が臭いときの対策と隠れた病気を解説

口臭の原因は?口が臭い・唾液が臭いときの対策と隠れた病気を解説

日本歯科医師会が実施した意識調査(2016年)によると、口臭が気になった経験があると答えた方は全体で8割を越える結果となりました。また統計データによると、年齢別では思春期の年代と中高年に悩みを抱えるケースが多く見られます。

一方で、コロナ禍でマスク生活が当たり前になってから、口臭について油断している方は多いのではないでしょうか。実は口臭の原因の9割は、歯周病やむし歯などの口腔疾患にあるといわれています。「口や唾液が臭い」「変な味がする」のは病気のサインかもしれません。

本記事では、歯科医師に監修していただき、口臭の原因と対策を解説しています。

口臭とは?

口臭とは、口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち「社会的容認限度を超える悪臭」と定義されています。つまり呼吸や会話をするときに他人が「不快と感じる息の臭い」のことです。

人間はにおいに慣れてしまう生体反応(嗅覚疲労)を持っているため、鼻の周囲で常に発生しているにおいには、例えそれが悪臭だとしてもすぐに順応して慣れてしまいます。

そのため、強い口臭を放っていても、自分自身が最も気付かないという懸念があります。

冒頭でも触れましたが、日本歯科医師会が実施した「歯科医療に関する一般生活者意識調査」(2016年)によると、実に8割の方が「口臭が気になった経験がある」と回答しています。

男女ともに8割を超えているのは10代の方々、その後は女性が30代でピークとなる一方、男性は割合が低くなり女性の方が口臭を気にしていることが分かっています。しかし、男性も40代で再び8割を超え、男女とも思春期と40代中高年世代で、口臭が悩みの種となっていることが分かります。

口臭を放っておくとどうなる?

口臭を気にする人が多い一方で、それを理由に何らかの行動に移すのは、全体の1割未満であるというデータもあります。

下記で詳細は解説しますが、実は口臭の原因の9割は口腔疾患、お口の中のトラブルです。口臭の背景に病気が隠れていることが、いかに知られていないかが分かります。

当院へご来院された60代の女性には、お孫さんに「くちくさい!」と言われてとてもショックを受けたというエピソードがありました。その日から会話をするのが怖くなってしまい、心身症のような症状に陥ったそうです。

このように口臭を気にするあまり、

  • コミニュケーションをとるのが苦手になった
  • 人と話すのを避けるようになった
  • 人と会うのが億劫になった

など、行動が消極的になってしまったり、良好なコミュニケーションが取れなくなってしまったというケースは実は少なくありません。

歯科医療の分野では、歯の疾患に留まらず、口臭も歯科治療の領域として診療をしています。適切な口腔ケアも、健康的で豊かな毎日を過ごすためには欠かせない要素です。口臭が気になる方、また口腔内に何らかのトラブルを抱えている方は、早めに歯科医院を受診しましょう。

口臭のセルフチェック

嗅覚はマヒしやすいため、口臭が強くても自分では気付きにく場合があります。

一方で、他人には口臭を感じられないのに、ひどく自分の口臭が気になって過剰に意識してしまう場合も少なくありません。

自分で口臭の度合いを判断するのは難しいため、まずは「臭い」という自覚症状以外で、口臭が強くなる要因がないかをセルフチェックして見ましょう。

 

自分の口臭が気になる方

下記にあてはまるものがあれば、注意が必要です。
日ごろから口内を清潔に保ち、定期的に歯科健診をうけましょう。

  • 1日1回しか歯をみがかない
  • 歯石を1年以上とっていない
  • 歯に食べ物がはさまることが多い
  • ロの中がネバネバして不快感がある
  • 歯ぐきから血やうみが出ることがある
  • 舌が白っぽい
  • 進行したむし歯がある
  • 口が渇くと感じることが多い
  • 習慣的にタバコを吸っている
  • 緊張することが多い
  • ストレスを感じやすい
  • 睡眠不足が続くときがある

※ 財団法人8020推進財団パンフレットを参考に、一部表現を変更しています。

あなたの口臭の原因は?主な3タイプ

口臭の原因は

  1. 病的口臭
  2. 生理的口臭
  3. 外因的口臭

主に上記3つのタイプがあります。それぞれ解説します。

まず「病的口臭」は名前の通り、何らかの病気によって口臭が強くなるタイプです。口臭の原因として最も多いと考えられています。

中でも一番多いのが「口腔疾患」によって発症する口臭です。その代表格として、むし歯(う蝕)や歯周病があります。そのほかにも、胃をはじめとする内科系の疾患によって口臭が発生すると考えられます。

病的口臭の場合は、セルフケアでは対処できないケースも多く、専門的な治療による改善が必要となります。

次に「生理的口臭」は、ホルモンバランスの不調などで口臭が強くなるタイプです。

起床時や空腹時に不快に感じることが多く、起きてすぐにうがいや歯磨きをしたり、食事をとったり、規則正しい生活スタイルを心がけることで口臭が消えることが多いです。

実際は背景に病気が隠れてたというケースもありますので、一度、検査することをお勧めします。

そして「外因的口臭」は、たとえば、ニンニクやネギ類などの匂いが残りやすい食材、お酒や喫煙などで生じる口臭です。

歯みがきや洗口液の使用など、セルフケアで臭いの元を解消できるため、あくまでも一過性の口臭です時間が経てば自然に消えて気にならなくなるので、とくに大きな心配はいらない口臭といえます。

口臭の原因 – 歯周病・むし歯・舌の汚れ

病気由来の口臭の原因は、実に9割が口腔疾患にあると考えられています。

  • 歯周病、むし歯などの病気
  • 舌に蓄積した汚れ
  • 唾液分泌の減少
  • 歯や義歯の清掃不良

これらの要因によって口臭が発生するケースが多いです。

残りの1割そのほかにも、

  • 耳鼻咽喉科系
  • 呼吸器系
  • 消化器系
  • 糖尿病、がん

など、全身疾患によって口臭が発生している場合も考えられます。

いずれにしても、医療機関を受診して、早期に適切な検査診断、治療をすることが必要です。

むし歯・歯周病と口臭

歯周ポケットの奥には多くの細菌が生息しています。歯肉からの出血による血液成分が、嫌気性歯周病原細菌を増殖させ、揮発性硫黄化合物を生み出します。この化合物は、卵や魚が腐った生ごみのような臭いが特徴的です。まさに強い口臭の根源といえます。

舌の汚れと口臭

鏡を見て舌を出し、表面の状態を確認してみましょう。白色、または灰色がかった汚れがついていませんか。これは舌苔(ぜったい)とよばれるものです。舌苔とは舌の表面に苔状になった付着物で、実はこれが口臭の最大の発生要因と考えられています。

舌の表面には舌乳頭という突起があり、その間には多くの溝があります。そこに微生物や細菌をはじめ、食べかすや唾液タンパクなどが溜まります。この舌苔に付着した細菌によって作られるのが、アンモニアという毒素です。し尿のような臭いがするアンモニアは、口臭の元となる悪臭を放ちます。

歯や義歯の清掃不良と口臭

ストレスが口臭の原因に?

お口の中の「だ液」には、口臭の発生をおさえる効果があります。だ液には口腔内の殺菌・洗浄作用があり、分泌量が減ってしまうとその効力は低下してしまうため、口腔内のタンパク質成分や細菌が増殖してしまいす。

だ液の殺菌作用とは、菌やウイルスに対して殺菌・抗ウイルスをおこなう作用です。口は、体内の出入口であるため、さまざまな菌やウイルスが入り込みます。だ液の中には複数の免疫物質や酵素が入っており、菌・ウイルスと闘う免疫のすべてを担っていると考えられています。

だ液の洗浄作用とは、だ液によってお口の中の汚れを洗い流す作用です。適度な粘性を持っただ液によって、お口の中にとどまっている汚れを洗い流してくれます。だ液量が減ってしまうと汚れを落とす力が弱まってしまうため、むし歯や歯周病の発症リスクが高まってしまったり、口臭の原因となってしまったりと、口腔環境の悪化に繋がります。

だ液が減ると、口臭がきつくなるのはこららの理由があります。

だ液が減ってしまう要因となるのは

  • 高熱時や飲酒後にみられる脱水症状
  • 緊張
  • 疲労
  • 加齢

 などがあげられます。

だ液の分泌は自律神経に支配されており、緊張などストレスが強いときには、交感神経のはたらきでネバネバしただ液が少しだけ分泌されます。この状態では口内をきれいにする力が弱く、口臭が強くなりやすいです。

一方、ストレスがなくリラックスしているときには、サラサラしただ液が大量に分泌されます。

加齢によって、この唾液量は減少していくことがわかっています。

口臭の対策、口臭予防

口臭の原因となる口腔疾患を改善

セルフケアで口臭予防

プロフェッショナルケアで定期チェック

口臭に関するよくあるご質問

朝に口臭が強くなるのはなぜ?

起床後は、口内のよごれが増している状態にあります。

口内ではつねに粘膜がはがれ、夕ンパク質成分が出るので、放っておけば細菌の働きで口臭は次第に強くなっていきます。

一方、

  1. 口を動かす刺激で、口臭抑制効果(抗菌作用や洗浄作用など)をもつだ液が増える。
  2. 食事とともに、細菌が洗い流される。
  3. 食事で口内が酸性になり、細菌のタンパク質分解能力が弱まる。

という一連のながれによって、食事や歯みがきをすることで大きく改善します。

しかし、食事や歯みがきから時間がたつと、ふたたび口内のよごれは増していきます。

空腹時や起床時に口臭がきつくなるのはこれらの理由があげられます。

ニンニクやお酒の口臭対策はありますか?

一定の効果が認められている方法はあります。

ニンニクを食べたり飲酒をしたりしたとき,翌日になってもにおいが残ることがあります。これは血液に入ったにおい成分が呼気や汗などにまじって出てくるためです。

これを防ぐには,ニンニクを食べた直後には、においを吸着するポリフェノールを含むもの(リンゴなど)を、飲酒時にはにおいの分解を助けるウコンをとることも、一定の効果はあるといわれています。市販のブレスケア製品に頼るのも選択肢の1つです。

ただし、それらの対策をしても口臭が出ることはよくあります。そもそも、こういった飲食物による口臭はだれにでも出るものなので、とくに心配する必要はありません。歯磨きをすれば、時間の経過とともに自然に気にならなくなります。

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こちらの記事の監修医師

小林 太郎

コバヤシデンタルクリニック小林 太郎 先生

岩手県盛岡市にあるコバヤシデンタルクリニック、院長の小林太郎です。生まれ育った盛岡市中央通で「地域の皆様に歯科医療を通して貢献する」ということをモットーに、平成20年10月、当院を開院いたしました。

当院は小さなお子様の治療から、インプラント治療や審美治療など最先端で高度な治療にも対応する、包括的歯科治療を提供する総合的な歯科医院です。歯科治療はチーム医療で行うと言われています。歯科医師、歯科衛生士を中心としたスタッフ、歯科技工士が連携して治療を行うということですが、当院では患者様を中心に歯科治療を行い、患者様最優先の医療を提供しております。

歯科治療は確かな診査・診断、優れた治療技術、治療の永続性を高めるためのメインテナンスが重要です。そのため当院では院長はじめ全てのスタッフが積極的に学会やセミナーなどに参加することで様々な知識、技術を習得し、患者様に良質な歯科医療を提供するよう心がけています。マイクロスコープ(歯科顕微鏡)を用いた精密で高度なやり直しのない治療を心がけ、「歯を抜かない」を第一に、機能的かつ審美的な治療を行っております。

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