最終更新日:2024.01.10

食欲不振とは?お腹が空かない、お腹が空いても食欲がない原因を解説

食欲不振とは?お腹が空かない、お腹が空いても食欲がない原因を解説

食べていないのにもかかわらず、食欲がない状態を「食欲不振」といいます。

人は十分な量を食べていない状態でも、たとえば悲しいことがあったり、疲れていたりすると食欲が落ちることがあります。しかし、その状態が数日間が続いている場合は注意が必要です。身体・こころ、もしくはその両方になんらかのトラブルが生じている可能性があります。

本記事では、医師に監修していただき、食欲不振(お腹が空かない、お腹が空いても食欲がない)の原因を解説しています。

食欲不振とは?

食欲不振とは、文字通り「食欲が振るわない・わかない」という状態を意味します。

どなたでも一度は、「食べていないのにお腹が空かない」「食事がのどを通らない」という経験をされたことがあるのではないでしょうか。

たとえば、

  • 仕事で疲れがたまっている
  • ショッキングな出来事を経験した
  • 大きな悩みを抱えている

など、日々の生活の中で、食欲が落ちてしまうシーンは少なくありません。

そんなときは、しっかりと休息をとったり、不安を解消したり、気分をリフレッシュすることで、またいつものように食欲が戻ってくる場合がほとんどです。

一方で、数日以上にわたって食欲がない状態が続く場合は、一度、かかりつけ医に相談することをお勧めします。

なぜなら、食欲不振の背景には、身体やこころになんらかの問題が起こっている可能性が考えられるからです。

お腹が空くと感じるのは?

食欲不振は、「食欲を感じなくなっている」と思い込んでいるだけで、実際、本当に食事が不要になったわけではありません。

本来はしばらく食事をしていないと徐々に血糖値が下がっていき、胃が空っぽな状態になると収縮して、脳の視床下部にある摂食中枢という場所が刺激されるメカニズムになっています。すると私たちは、「お腹が空いた」と感じます。

つまり食欲不振はなんらかの原因によって「脳が食欲を感じにくくなっている状態」と表現できます。

食欲不振は何科を受診する? – 受診の目安

食欲がわかない状態は、そう珍しいことではありません。しかし、そう言えるのはあくまでも「一時的な場合」です。食事を摂らない時間が続くと低血糖状態に、そして何日も何も食べない状況が続くと、低栄養状態によって身体にもこころにも悪影響を及ぼします。

何日にもわたり食欲不振が続くようなら医療機関を受診しましょう。すでに持病をお持ちで、かかりつけ医の先生がいらっしゃる方は、早めに相談してください。

かかりつけ医がおらず、食欲不振とあわせて

  • 胃痛や吐き気の症状がある
  • 下痢が続いている
  • 発熱がある
  • 体重減少がみられる

このような症状がみられる場合は、「消化器内科もしくは内科」を受診してください。

一方で、

  • やる気が起きない
  • 気分の落ち込みが激しい
  • 強いストレスを感じている
  • 憂鬱な状態が続いている

など、こころになんらかの異変を感じている方は、「精神科や心療内科」を受診してください。

食欲不振の状態が続くと、「自分の心身が弱っている」という気持ちが強くなり、日に日に不安感も増してしまう傾向があります。さらに食欲不振が深刻化するという悪循環が起こる可能性も少なくありません。

なるべく早めに適切な治療へとつなげるためにも、「単なる食欲不振」と思わずに早めに行動しましょう。

食欲不振セルフチェック -併発症状に注意

単なる一時的な食欲不振か、もしくは心身になんらかのトラブルが生じているか、まずはセルフチェックをして見ましょう。

  • 2週間以上、食欲不振が続いている
  • 普段とは違う、あっさりしたものばかり好む
  • 食事することが億劫と感じる
  • 食事する時間を忘れることがある
  • 食事を楽しめない、好物がおいしいと思えない
  • お腹は空いているのに、食べたいと思えない

この場合は、

  • いつからその状態が続いているか(期間)
  • どの程度しか食べられないのか(量)
  • 体重減少はみられるか(何キロ減少したか)

という点を確認することも重要です。

また、食欲不振以外の症状がないかも確認しましょう。

  • 発熱や倦怠感がある(だるい、疲れがとれない)
  • 胃の症状、不快感がある(胃痛、胃がムカムカして気持ちが悪い 等)
  • 気分の変調がる(落ち込む、イライラする、やる気が起きない 等)
  • 食べものの味がしない、美味しく感じない(味覚のトラブル)

そのほか、

  • 生活の変化はないか(精神的ストレスになる出来事)
  • 患っている病気、飲んでいる薬の有無
  • サプリメントの種類
  • (女性の場合)生理に問題はないか

これらの条件も、食欲不振の原因を探る上で大切な情報となります。

食欲不振の原因

薬の副作用で起こる食欲不振

75歳以上で日常的に薬を服用している方のうち、約3割近くの高齢者が1ヶ月に1つの薬局で7種類以上の薬を受け取っているという調査結果があります。薬が6種類以上になると、副作用を起こすリスクが10~15%にまで上がるといわれています。

高齢者に多い薬の副作用には

  • ふらつき、転倒
  • もの忘れ
  • 注意や理解、記憶の低下
  • うつ
  • 便秘
  • 排尿障害

などが考えられますが、その中の1つに「食欲不振」があげられます。

日常的に食欲低下が起きている場合は、薬の副作用だと気付かないことも少なくありません。

食欲不振に隠れた病気

胃・十二指腸潰瘍

慢性胃炎(萎縮性胃炎)

胃がん

大腸がん

膵臓がん

膵臓(すいぞう)は体の奥深くに位置する小さな臓器です。膵臓の重要なはたらきのひとつが膵液の分泌です。強力な消化酵素によって、食べものの消化を促すはたらきを担います。

この膵臓に起こる腫瘍が、膵臓がんです。初期症状に乏しく、ある程度病態が進行してから見つかるケースが多いのも現状です。病態が進行すると、腹痛や黄疸(おうだん)、さらに消化吸収が悪くなると、食欲不振や体重減少などがみられるケースがあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺はのどの全面にはりつくような形で位置する内分泌器官です。この甲状腺から分泌されるホルモンは、全身の細胞の代謝を活発にさせる重要なはたらきを担っています。

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンが不足してしまう病気の総称です。そのうち、成人の罹患者がもっとも多いとされる代表的な甲状腺疾患が「橋下病」です。

甲状腺ホルモンが作られなくなってしまうと、元気がないような状態になります。体の代謝が低下するため、食欲も落ちるのですが、体重は増加傾向になりやすいという特徴があります。

食欲不振に対する検査診断

食欲不振の治療

この記事をシェアする

こちらの記事の監修医師

鎌田 広基

鎌田内科クリニック鎌田 広基 先生

岩手県盛岡市の鎌田内科クリニック、院長の鎌田です。昭和42年1月19日、当地に父が診療所を開設し、平成5年に小生が着任して現在に至っております。その間、平成8年に老人保健施設”銀楊”の開所により、父はその施設長、小生は当院の院長に就任しました。

当クリニックがこれまでの歳月を歩むことができたのは、ひとえに、皆様のお力添えのおかげと、深く感謝しております。
地域医療の益々の発展と、皆様が健康で豊かな毎日を過ごしていただけるように、スタッフ一同、より一層精進して参ります。今後とも鎌田内科クリニックを宜しくお願い致します。

監修医師の詳細はこちら

© ヨクミテ|医師監修の医療メディア, Inc. All Rights Reserved.