最終更新日:2023.07.03

RSウイルス感染症とは?ゼーゼーした咳のピークや風邪との違いを解説

RSウイルス感染症とは?ゼーゼーした咳のピークや風邪との違いを解説

RSウイルス感染症は、風邪の一種である「RSウイルス」によって起こる呼吸器の病気です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼ100%の子どもが感染するといわれています。

一般的な風邪と同じく、自宅で安静にすれば自然に治ることも多い病気ですが、中には重篤化して別の呼吸器の病気を発症するケースもあるため注意が必要です。

本記事では、RSウイルス感染症の診療をしている医師に監修していただき、呼吸器に起こる感染症の症状、治療方法について解説しています。

RSウイルス感染症とは

RSウイルスとは、風邪症候群の代表的なウイルスである「RSウイルス」に感染することで起こる呼吸器の感染症です。病気です。

これまでは9月〜3月に流行していましたが、近年は早期化して7月〜8月頃から感染者が見えはじめています。

一般的な風邪は、のどから鼻にかけての上気道に炎症がおきますが、RSウイルスは下部気管支や肺などの下気道に炎症を起こします。

RSウイルスの潜伏期間は2〜5日です。感染した子どものほとんどは、発熱や咳など、一般的な風邪症状で済むことが多いです。風邪よりも鼻水が出やすい傾向があります。いずれにしても、1〜2週間で快方に向かいます。

その後も生涯に何度も感染しますが、再感染以降は風邪程度で軽く済むことが多いです。

赤ちゃんのRSウイルス感染、重症化リスク

はじめて感染した赤ちゃん(一歳未満の乳児)は重症化しやすく、約3割は細気管支炎や肺炎などの重い症状を引き起こすことが多いです。その影響で、ゼーゼーと苦しそうな呼吸(喘鳴)やゼロゼロした咳がでて、呼吸困難になったりします。その場合は入院が必要です。

特に注意が必要なのは、
生後6ヶ月未満の赤ちゃん
早産の赤ちゃん
心臓呼吸器筋肉神経などに先天的な問題がある赤ちゃんです。

重篤化リスクが高く、無呼吸発作や急性脳症などの合併症を引き起こすと命にかかわります。

RSウイルス感染症の受診目安

風邪程度の軽い症状なら、1〜2日ほど様子を見ても問題ありません。安静に過ごしていれば自然に治癒することもあります。

一方、発熱が長引き、咳がひどくなったり、ゼーゼーと喘鳴が起こるなど呼吸状態が悪化したときは急いで受診してください。また、鼻が詰まって母乳ミルクを飲む量が通常の半分以下となったり、ぐったりしてきたり、顔色が悪い、胸が凹むような呼吸をするなどの症状は、早急に受診しましょう。

受診後も、まだ発熱が続くようなら再受診をしてください。月齢が低いほど急激に悪化しやすいため、しっかりと様子を見守りまょう。

RSウイルス感染症の原因と感染経路

病原体はRSウイルス(Respiratory syncytial virus)です。

主な感染経路は2つあります。1つは飛沫感染です。感染者が咳やくしゃみなどをした際に、しぶきに含まれるウイルスを吸い込んでしまうことで感染します。

もう一つは、接触感染です。ウイルスが付着した手で口や鼻に触れてしまうと、そこから感染することがあります。

RSウイルス感染症の治療

RSウイルスに特効薬はありません。そのため、治療は症状を和らげることを目的とした対症療法です。

● 重篤化リスクの高い子どもへの治療

流行初期にパリビズマブ(シナジス)で予防を
予防薬のパリビズマブ(シナジス)は、
35週6日以下で生まれた子
心疾患のある子
ダウン症候群の子
など
リスクの高い赤ちゃんには有効です。保険適用になります。

RSウイルス感染症に関するよくあるご質問

RSウイルス感染症の登園制限はありますか?

発熱や咳などの症状が落ち着き、全身状態がよくなったら登園できます。

症状が快方しても、ウイルス排出は1〜3週間ほど続きます。回復後もママ・パパは手洗いをしっかり続けましょう。

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こちらの記事の監修医師

森田 順

森田小児科森田 順 先生

岩手県盛岡市で「森田小児科」を開業しています、院長の森田 順です。

当院は「科学的根拠に基づいた医療(EBM: Evidence Based Medicine)の提供」を治療方針としてかかげ、闇雲に検査をするのではなく、病歴と身体診察を重視した診療を心がけています。

私は医大を卒業後、当時厳しいという評判のあった「沖縄県立中部病院」でスーパーローテート研修(内科・外科・産婦人科・麻酔科・精神科・救急科・小児科・NICU)を行いました。すぐに検査するのではなく、患者さんの病歴と身体診察を重視する病院で、私の医師としての基礎はそこで叩き込まれました。

日本各地を周り、今、自分の育った地域、岩手県で、健康面で皆様のお手伝いができることに、喜びを感じています。社会は絶えず目まぐるしく変化し、ニーズも変わってきましたが、その変化に対応しつつ、皆様のお役に立てるよう今後とも努力していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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