最終更新日:2024.02.09

マイコプラズマ肺炎とは?咳が止まらない症状、感染経路・潜伏期間を解説

マイコプラズマ肺炎とは?咳が止まらない症状、感染経路・潜伏期間を解説

この記事は、マイコプラズマ肺炎について知りたい方に向けて、症状をはじめ感染経路や潜伏期間について書かれている内容です。

冬の季節には、気温の低下と空気の乾燥により、気管支や喉の粘膜が敏感になるため、風邪や肺炎などの呼吸器系感染症が発生しやすくなることがあります。この時期は、ウイルスや細菌による病気が増える傾向にあるため注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという種類の細菌が原因で起こり、主に子どもや若い年代の方に発生しやすい肺炎の一つです。小さな子どもの場合、自分で不調を訴えにくいため、周囲の大人が注意を払い普段の様子との違いを見ように心がけましょう。

本記事では医師監修のもと、マイコプラズマ肺炎の原因、子どもに多い咳が止まらない症状を解説しています。

マイコプラズマ肺炎とは

マイコプラズマ肺炎とは、細菌の一種であるマイコプラズマによって引き起こされる肺炎です。マイコプラズマという細菌はごく一般的な細菌で、成人するまでに多くの人が感染します。なかでも、とくに子どもや若者に起こりやすい肺炎です。

体力や抵抗力が十分な子どもや若者は、マイコプラズマに感染しても自然に回復することが多く、多くの人は感染しても軽症で済みますが、ときに重症化して呼吸困難が起こることもあるため注意が必要です。

風邪かな?と思っているうちに重症化することも少なくないため、とくに自分で不調を訴えにくい小さなお子さんには、周囲の大人が体調の変化に目を配ることを心がけましょう。

マイコプラズマの感染経路と潜伏期間

マイコプラズマは感染者の咳の飛沫を吸い込んだり(飛沫感染)、飛沫のついた手で鼻や口などの粘膜に触れることで感染(接触感染)します。感染力は風邪ほど強くないのですが、感染してから発症するまでの潜伏期間が2〜3週間ほどと長く、学校や職場などの小さな集団で流行することがあります。そのため、感染が疑われる場合は登園や登校を控えさせることが重要です。

また接触機会が多くなる兄弟姉妹、親子間での家庭内感染も多いため注意が必要です。もし一人で眠ることが可能な年齢であれば、家族間での感染リスクを減らすために、可能な限り別々の寝室を使用することをお勧めします。

 マイコプラズマ肺炎の症状

感染から2〜3週間後に

  • 発熱
  • 頭痛
  • 全身の倦怠感

が、初期症状として現れます。

風邪の症状と分かりづらいことも多いですが、鼻水や鼻詰まりの症状は少ない傾向にあります。

その後、数日遅れて夜眠れないほどの頑固な咳が一日中続きます。

また、痰のでない乾いた咳が多く、半数近くの方が呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという音がする症状(喘鳴)があらわれます。

マイコプラズマによる、せき以外の症状

咳のほかにも、マイコプラズマが耳の奥に感染して中耳炎を発症し、耳の痛みなどの症状が起こることがあります。

また、マイコプラズマが胃腸に感染すると、嘔吐や下痢などのを症状が現れることがあります。

マイコプラズマ肺炎の検査診断と治療

まずは問診・視診、そして胸部聴診を行います。

患者さんの年齢が比較的若く、

  • X線検査レントゲン検査で左右の肺に白い影が写る
  • 血液検査で炎症反応がある
  • 白血球数の増加がみられない

という場合は、マイコプラズマ肺炎の可能性を疑います。

マイコプラズマ肺炎には、ほかの肺炎に使用されるペニシリン系抗菌薬では効果がありません。そのため、マイコプラズマ肺炎に効果のあるマクロライド系抗菌薬などが第一選択薬として用いられます。これで改善しない場合や重症化した場合は、第二選択薬として、キノロン系やテラトラサイクリン系の抗菌薬を使用します。

多くは2〜3日ほどで熱が下がりますが、重症の場合や呼吸困難がある場合は入院をして、ステロイド薬を点滴で投与するなどの治療を行います。

マイコプラズマ肺炎の経過観察

子どもがマイコプラズマ肺炎に感染した場合は、

  • 顔色や機嫌が悪くないか
  • 食欲はあるか
  • おしっこは出ているか
  • 十分に眠れているか

など、日頃から子どもの様子を観察し、体調の変化を見逃さないようにすることが大切です。

咳や耳の痛み、嘔吐などの症状が強い場合は、適宜、処方された鎮痛薬や抗炎症薬の服用を検討します。

マイコプラズマ肺炎後の食事は?

食欲が回復してきたら、食べやすいものから食事を再開して問題ありません。

  • プリン
  • ゼリー
  • アイスクリーム

など、子どもが好きなものを少しずつ食べさせましょう。

食欲が出てきたら

  • おかゆ
  • 豆腐
  • 味噌汁

など、なるべく口や喉への刺激が少なく消化の良い食べ物を選ぶことが大切です。

こまめな水分補給を心がける

症状がつらく、なかなか食事をとれないという場合はこまめに水分補給を行い、脱水症状に十分気をつけましょう。その際は、水分と合わせて塩分や糖分も補えるスポーツ飲料や経口補水液がお勧めです。

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こちらの記事の監修医師

西島 浅香

西島こどもクリニック西島 浅香 先生

当院では、お子様の病気や健康についての相談、健康診断や予防接種についての相談をはじめ、併設の「西島産婦人科医院」と協力・連携しながら、子育て中のご両親の支援も積極的に行っております。

お子さん、ご両親との係わりの中から健康な家庭が築けますよう願いつつ診療しております。

生活環境や食物等の変化に伴い増加してきた、お子様のアレルギー疾患(気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など)にも対応しております。

また、子育て一般についても気軽にご相談下さい。

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