EDとは、医学的に「勃起不全症」とよばれる男性性機能障害の1つです。
「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。
つまり、
- 性交時に十分な勃起が得られない
- 十分な勃起が維持できない
- たまに勃起しないことがある
- 勃起できるか不安になる
など
満足な性交が行えない状態の中で、上記のいずれの状況に該当しても、ED(勃起不全)と診断されます。
現代の日本では、40代男性の約20%、50代男性の約40%、60代男性の約60%に、中等症以上のEDが認められています。
勃起を促す体内物質の仕組み
男性の陰茎には海綿体という「スポンジ状の勃起性組織」が存在します。細い血管が集まっており、海綿体はほぼ血液で占められています。
勃起は脳から陰茎への神経を通じて命令・信号が送られ、この海綿体という組織に血流が流入・増量することで起こります。血液で十分に充満されることで、陰茎が硬くなりそれを維持することができるのです。
その過程で重要となる物質が「サイクリックGMP(グアノシン一リン酸)」です。この成分は、自然に体内で生成される血管拡張剤の役割を担い、その濃度が細胞内で上昇することで、陰茎の平滑筋はリラックスします。
性的な刺激があると一酸化窒素が放出され、その結果サイクリックGMPの量が増えます。ただし、陰茎の海綿体には「PDE(ホスホジエステラーゼ)5」という、物質(サイクリックGMP)を分解する酵素も多く含まれおり、その間でバランスが取られています。
勃起が射精後や性的な興奮が減少した後に解消するのは、PDE5の作用によるものです。PDE5がサイクリックGMPを分解し、それによって血管と平滑筋が収縮し、勃起は収束します。
このように、正常な勃起には神経と血管の働きが必要不可欠です。そして、さまざまな物質が正しく放出されることが重要であるという点で、勃起はとても複雑なメカニズムの上で成り立っていることがわかります。
ED(勃起不全)は何らかの原因で、その神経伝達や血液流入の阻害が起こっている状態です。
医療機関では、この機能障害となっている要因を明らかにし、機能改善とメンタル的なサポートを行います。そして、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることが最終的なゴールとなります。