最終更新日:2023.11.02 | 投稿日:2023.07.12

手根管症候群とは?手指の痛み・指先のしびれの症状が出る原因を解説

手根管症候群とは?手指の痛み・指先のしびれの症状が出る原因を解説

手根管は手首にあるトンネル上の管で、その中には手指につながる神経が通っています。手根管症状群とは、その神経が何らかの原因で圧迫されることで起こる疾患です。

手には多くの関節(骨と骨をつなぐ連結部分)があり、周辺の筋肉や腱などによって動いています。それらに司令を出す役割をもつのが神経です。その神経に異常が起こると、手のひらや指先の動きにも支障をきたします。

本記事では、手外科専門の医師に監修していただき、手根管症候群の原因と、手指の痛み・指先のしびれの症状がでる病気を解説しています。

手根管症候群とは

手首には手根管とよばれるトンネルのような管があり、その中を正中神経と呼ばれる神経が通っています。手根管症候群は、この正中神経が圧迫されて発症する病気です。

手根管には手指の感覚と動きに重要な働きをする正中神経や、手指を曲げる腱(屈筋腱)が通っているため、何らかの原因で圧迫されると手指に障害が生じます。

手根管症候群の症状

主な症状は、手や指(親指、人差し指、中指、薬指の一部)のしびれや痛み、手の力の弱さなどです。また、夜間に症状が悪化することが多いとされています。

手根管症候群の原因

手根管症候群は、手根管内の圧力が上昇することで引き起こされます。これは、関節炎、甲状腺機能亢進症、糖尿病、妊娠、腱鞘炎など、さまざまな病状や状態によって起こりえます。

手根管症候群でやってはいけないこと

もっとも負担がかかるのは、手首を曲げる行為です。

たとえば、お料理などでフライパンを使うときは、片手で持つと重さで手首が下に曲がり負担がかかります。なるべく両手で支えるように持ちましょう。パソコン作業などは、腕の下にタオルを敷いて、手首を伸ばすようにするだけでかなり手首への負担は軽減できます。このように、日常動作はなるべく手首を曲げずに、伸ばして行うことを心がけてください。

片手で持つようなカバンは手首に大きな負担をかけます。なるべくショルダーバックやリュックなどを選び、手で持たなくて済むような工夫をしましょう。

いずれにしても、手や腕の使いすぎや、繰り返し行われる手や指の動きは過度なストレスがかかります。疲れたらしっかりと休息を取ることも大切です。

医師の指示なしに自己診断や自己治療を行うのは避けましょう。

手根管症候群が疑われるときの検査

手根管症候群が疑われるときは、ティネル様サインの確認や、ファーレンテストという検査が行われます。そのほか、症状が進むと親指の付け根(母指球)の筋力低下や筋萎縮をきたすため、状態を確認します。

補助検査として、電気を使用した筋電図検査を行い、手根管をはさんだ正中神経の伝達速度を測定します。なかには手根管内での腫瘤による圧迫が疑われる場合があります。その際は、より精密な検査として、エコー検査やMRIなどの検査が必要になります。

ティネル様サイン

手首の手のひら側(手根管部)を叩いたときに、しびれが指先に響くかどうかを検査します。正中神経の範囲に響くような痛みやしびれを感じたら、ティネル様サインは陽性となり、手根管症候群が疑われます。

ファーレンテスト

体の前で両手の甲を合わせて、1分間その状態を保ちます。その間に、しびれを感じたり、しびれが強くなったりすると、ファーレンテストは陽性となり、手根管症候群が疑われます。

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こちらの記事の監修医師

小林 義尊

こばやし整形外科クリニック小林 義尊 先生

宮城県名取市「こばやし整形外科クリニック」、院長の小林です。

大学卒業後12年間福島にて、その後8年間仙南地区と仙台市内において整形外科およびサブスペシャリティである手外科診療を行ってまいりました。

医師を前にすると、話しにくかったり聞きづらかったりした経験がおありの方が少なからずいらっしゃるかと思います。話しやすい環境を整え、できる限り患者様のご期待にお応えしたいと考えています。

また、得意とする手外科診療だけでなく、リハビリテーションなども含めた総合的な整形外科診療を行ってまいります。

宮城県内で手外科をお探しの方は、当院へご相談ください。何卒よろしくお願い申し上げます。

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