内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
内視鏡を用いて、食道、胃、十二指腸、大腸の内部を直接観察する検査です。炎症や潰瘍、ポリープ、がんなどの異常を発見でき、必要に応じて組織の一部を採取(生検)して詳しく調べます。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)では、口または鼻からスコープを挿入し、食道や胃の粘膜の状態を確認します。胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎、胃がんの早期発見に有効で、ピロリ菌感染の有無も確認できます。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)では、肛門からスコープを挿入し、大腸の内部を観察します。大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診断が可能です。ポリープが見つかった場合、その場で切除することもあります。
検査前には胃や大腸の内容物を除去するため、食事制限や下剤の服用が必要です。鎮静剤を使用することで、痛みや不快感を軽減できます。
超音波(エコー)検査
皮膚の上から超音波を当てて、肝臓、胆嚢、膵臓などの臓器の状態をリアルタイムで観察する検査です。
肝臓の脂肪変性(脂肪肝)、肝硬変、肝がんの診断に有効で、胆石や胆嚢炎の有無、膵臓の腫瘍や炎症の有無も調べることができます。
X線やCTと違い、被ばくの心配がなく安全で、痛みもなく短時間で終わるのが特徴です。
CT・MRI検査
体の内部を詳しく調べるための画像診断です。
CT検査(コンピューター断層撮影)は、X線を使用して消化器の断面画像を撮影します。がんや炎症、腸閉塞、腹部の出血などを詳しく調べるのに適しています。
MRI検査(磁気共鳴画像診断)は、磁場と電波を利用してより精密な画像を取得できます。肝臓、胆嚢、膵臓の腫瘍や、胆管・血管の異常を詳しく調べるのに適しています。
CTは短時間(5〜10分)で撮影できますが、X線被ばくがあります。一方、MRIは被ばくなしで詳細な画像が得られますが、撮影時間が長く、閉所恐怖症の方には不向きな場合もあります。
血液検査
血液を採取し、肝機能、膵臓の状態、炎症の有無、腫瘍マーカーなどを調べます。
AST・ALT(肝機能)では肝炎や肝障害の有無を確認し、ALP・γ-GTP(胆道系)では胆石症や胆管炎の可能性を調べます。CEA・CA19-9(腫瘍マーカー)は、消化器系のがんのスクリーニングに用いられます。
血液検査だけで病気を確定することはできないため、他の画像検査と組み合わせて診断を行います。
消化器内科での治療
薬物療法
症状や病気に応じて、適切な薬を使用します。
胃酸を抑える薬(PPI・H2ブロッカー)は胃潰瘍や逆流性食道炎の治療に用いられ、抗ウイルス薬はB型・C型肝炎の治療に使用されます。潰瘍性大腸炎やクローン病には免疫抑制剤や抗炎症薬が処方されることがあります。
内視鏡治療
内視鏡を使って、ポリープや早期がんを切除する治療法です。
大腸ポリープは、内視鏡的ポリープ切除術(EMR)によって取り除くことで、将来のがん化を防ぐことができます。また、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を用いれば、早期の胃がんや大腸がんを切除することが可能です。
開腹手術を行わずに治療ができるため、体への負担が少ないのが特徴です。ただし、がんの進行度によっては、追加治療が必要になる場合もあります。
生活習慣の改善指導
食生活や生活習慣の見直しを指導し、病気の予防や症状の改善を目指します。
脂肪肝の改善にはバランスの取れた食事と適度な運動が推奨され、胃腸の不調を防ぐためには食物繊維の摂取やストレス管理が重要です。逆流性食道炎の対策として、食後すぐに横にならない、寝る姿勢を工夫するなどのアドバイスが行われます。
抗がん剤・免疫療法
進行がんや再発防止のために、抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤などを使用します。最近では個別化医療が進み、患者ごとに最適な治療法が選択されるようになっています。
まとめ
消化器内科では、早期発見と早期治療が重要です。
定期的な検査を受けることで、病気の予防や早期治療が可能になります。特に内視鏡検査では、がんの早期発見ができるため、健康診断の一環として積極的に受診することが推奨されます。
気になる症状がある場合は、できるだけ早めに専門医に相談しましょう。