最終更新日:2026.04.01 | 投稿日:2026.04.01

40代のICLで後悔しない人が、手術前に必ず知っていること

40代のICLで後悔しない人が、手術前に必ず知っていること

「ICLを受けようかどうか、もう何ヶ月も迷っている」——40代でICLを検討している方から、よくこんな声を聞きます。費用への不安、手術への恐怖、術後の見え方への期待と不安が入り交じって、なかなか決断できない。その気持ちはとても自然なことです。

ただ、迷い続ける中で見落とされがちな事実があります。それは、40代のICLは20代と同じ基準で判断すると、後悔につながりやすいということです。度数の設定ひとつとっても、老眼の進行状況・将来の白内障手術との兼ね合い・生活スタイルによって「正解」が変わります。「とにかく視力2.0を目指せばいい」という考え方が、術後の不満の最も大きな原因になっているケースは少なくありません。

この記事では、40代特有の目の変化をふまえながら、度数の考え方・クリニック選びのポイント・長期的なリスクまでを順番に解説します。手術を受けるかどうかの最終的な判断は、この記事を読み終えてから、担当医師との相談の中でゆっくり行ってください。

この記事のポイント

・40代の度数設定は「視力2.0」が正解ではない理由

・近視が治ると老眼が「顕在化」することがある仕組み

・信頼できるクリニックを見分ける5つの指標

・角膜内皮細胞・白内障手術との兼ね合いなど、30年後を見据えたリスク知識

・無料適応検査を「情報収集」として活用する方法

目次

視力の「数字」より、生活の「快適さ」を基準に度数を選ぶ

40代でICLを検討する際、最初に理解しておきたいことがあります。それは「20代と同じ基準で度数を決めると、術後に後悔しやすい」という事実です。ICLの術後視力として「1.5」や「2.0」を目標にする方は多いですが、40代の目の状態によっては、その数字を追い求めることが日常生活での「見えにくさ」につながることがあります。このセクションでは、40代特有の目の変化と、それをふまえた度数の考え方を解説します。

近視矯正と「老眼」の切実な関係

「近視さえ治れば、見え方の悩みはすべて解決する」——そう思っていた方に、最初にお伝えしたいことがあります。ICLは近視・乱視を矯正しますが、老眼を治す手術ではありません。40代ではすでに老眼の変化が始まっており、ICLを受けた後も進み続けます。

さらに知っておきたいのが「近視による偶然の近距離補正」です。コンタクトやメガネをはずした状態で手元をぐっと近づければ細かい文字が読めた、という経験がある方も多いはずです。ICLで近視を矯正すると、この補正も同時に失われます。その結果、「老眼の影響をより強く感じるようになった」と感じる方がいます。これはICLの失敗ではなく、近視による補正がなくなったことで老眼が顕在化した状態です。「近視は治る・老眼は残る(または顕在化する)」——この前提を持った上で度数設計を考えることが大切です。

老眼と「調節力」の関係

40代になると、目の中の水晶体が少しずつ硬くなり、ピントを調整する力(調節力)が低下し始めます。これはすべての人に起こる自然な変化で、ICLによって止めることはできません。視力を2.0に合わせると遠くははっきり見えるようになりますが、スマートフォンや本など30〜40cmほどの近い距離を見るとき、目が疲れやすくなったり、ぼやけて見えたりする方が増えます。これはICLの問題ではなく、老眼が進んでいる40代の目の特性によるものです。

【調節力とは】目がピントを合わせるために水晶体の厚みを変える力のことです。20代では十分な調節力がありますが、40代では明らかに低下しており、近くを見るときに水晶体が十分に対応できなくなってきます。この変化はすべての人に起こります。

40代に適した度数の考え方

40代の患者さんに対しては、裸眼視力で1.0〜1.2程度を目標とする度数設定を提案されることが少なくありません。これは「妥協」ではなく、遠方も近方も無理なく見えるバランスを保つための選択のひとつです。ただし、ライフスタイルや個々の目の状態によっては1.5以上を目指す設計をする医師もおり、最適な設定は担当医師と相談して決めることが大切です。

以下の表は、度数設定による見え方の傾向をまとめたものです。個人差が大きい部分ですので、あくまで目安としてご参照ください。

【比較表】遠方(運転・テレビ):視力2.0設定=◎非常に鮮明/視力1.0〜1.2設定=○十分に見える。近方(スマホ・読書):視力2.0設定=△疲れやすくなる傾向がある/視力1.0〜1.2設定=○負担が少ない傾向がある。老眼の影響:視力2.0設定=受けやすい/視力1.0〜1.2設定=受けにくい。老眼鏡の使用:視力2.0設定=頻度が増えることも/視力1.0〜1.2設定=当面は不要なことが多い。

※見え方には個人差があります。実際の設定は術前検査と医師との相談をもとに決定します。

ICLは「取り出せる」という特徴があります

ICLは角膜を削らないため、将来的にレンズを取り出したり交換したりすることができます。今の年齢・目の状態に最適な度数で始め、老眼がさらに進んだ将来(白内障手術などのタイミング)に多焦点眼内レンズを選択肢にできる場合があることも、ICLの大切な特徴のひとつです。ただし、眼の状態によって選択できないケースもあるため、将来の希望については術前に医師へ相談しておくことをおすすめします。手術の「ゴール」を手術当日ではなく、10年後・20年後に置いて考えることが、40代の方には特に重要です。

【術前の相談で確認しておきたいこと】カウンセリングに臨む前に「自分の生活の中で最もよく使う視距離はどこか」を整理しておくと、より自分に合った提案を受けられます。運転が多い・デスクワーク中心・スマホを頻繁に使うなど、ご自身の生活習慣を担当医師に具体的に伝えてください。「遠く重視にすべきか、遠近バランスを取るべきか」は、この情報をもとに決まります。

クリニック選びで確認したい、5つのポイント

「手術実績◯万件」「最新設備導入」というキャッチコピーはひとつの参考になりますが、患者さんの目を長期にわたって守れるクリニックかどうかは、もう少し別の部分に現れます。以下の5点を確認してみてください。

①「不適合」を正直に伝えてくれるか

ICLには適応条件があります。角膜内皮細胞の密度が低い場合や前房深度が足りない場合などは手術リスクが高まります。適応外の状態でも「できます」と言うクリニックより、リスクをきちんと説明した上で「今は適応外です」と伝えてくれるクリニックのほうが、長期的に安心して任せられます。

② 適応検査の項目が十分か

必要な検査は、視力・角膜曲率・前房深度・角膜内皮細胞密度・眼圧の5項目に加え、暗所での瞳孔径測定まで含まれているのが理想です。この最後の検査が省かれていると、夜間に光がにじんで見える(ハロー・グレア)が術後に想定以上に気になることがあります。

③ 術後フォローのスケジュールが明確か

術後フォローのスケジュールは施設によって異なりますが、目安として手術後1日・1週間・1ヶ月・3ヶ月・1年といった定期検査が設定されているクリニックが多くあります。ICLの合併症(眼圧上昇など)は術後数日〜数ヶ月の間に起きることが多く、この期間のモニタリングがとても大切です。予約前に術後フォローの内容を確認しておくと安心です。

④ 検査スタッフが数値の意味を説明してくれるか

角膜内皮細胞数などの数値は、読み上げられるだけでは患者さんには伝わりません。「この数値はどういう意味か」「自分にとって良い状態か悪い状態か」を平易な言葉で説明してくれるクリニックは、患者さんへの対応全体が丁寧であることが多いです。

⑤ 疑問をゆっくり聞ける雰囲気があるか

術前の相談で「質問しにくい空気」を感じたら、注意が必要です。手術は受けた後も長い付き合いになります。気になることを気軽に相談できる関係を最初の段階から築けるかどうかも、クリニック選びの大切な基準のひとつです。予約の電話やメールで「適応外と判断された場合、その理由を詳しく教えてもらえますか?」と一言伝えてみてください。その対応から、クリニックが患者さんの不安にどう向き合っているかが伝わります。

30年先の目のことも、一緒に考えておきましょう

40代でICLを受けるということは、今の快適さだけでなく、70代・80代になったときの目の健康にもつながる選択です。長期的に知っておいていただきたいポイントを整理します。

角膜内皮細胞について

角膜(黒目)の内側にある「角膜内皮細胞」は、角膜を透明に保つ役割を持っています。この細胞は生涯を通じて再生されず、加齢とともに少しずつ減少します。ICLのレンズが直接触れることはありませんが、術後の眼内環境の変化によって減少ペースに影響が出る場合があります。そのため、術前の細胞密度の確認と、術後の定期的な測定を続けることが重要です。手術の適応目安となる内皮細胞密度は、一般的に2,000〜2,500/mm²以上を基準とすることが多く、年齢や施設によって判断基準は異なります。術前にこの数値を確認し、低い場合はリスクについて医師と十分に話し合ってください。

将来の白内障手術との関係

60〜70代になると、多くの方が白内障(水晶体の濁り)を経験します。ICLは白内障手術の妨げにはなりません。ICLを先に取り出した後、通常の白内障手術を受けることができます。一方、角膜を削るレーシックを受けていた場合は、術前の角膜形状データがないと白内障手術時の眼内レンズ度数計算が難しくなることがあります。ICLが持つ「将来の選択肢を残す」という特性は、この点でも重要な意味を持ちます。

主なリスクの一覧

ICLにはリスクがゼロではありません。ただし、多くは定期的な検査によって早期に発見・対処できます。

【眼圧上昇/術後数日〜数週/要注意】多くは点眼薬で対処可能ですが、まれに追加処置が必要になることもあります。【水晶体への接触・早期白内障/術後数年以降/注意】ICLサイズ選択の精度が重要で、定期観察で把握できます。【角膜内皮細胞の減少/長期(10年以降)/注意】術前の細胞密度確認と術後の定期測定が大切です。【夜間のハロー・グレア/術直後〜/注意】多くは時間とともに慣れます。術前の瞳孔径測定で程度を予測可能です。【老眼の進行による近方視力変化/術後5〜10年/管理可能】老眼鏡で対応可能で、ICLの問題ではなく加齢による変化です。【将来の白内障手術への影響/術後20〜30年/管理可能】ICL摘出後に通常通り手術を行えます。

費用について

ICLの費用は両眼で一般的に50〜80万円程度です。一度の大きな出費であることは確かです。ただし参考として、コンタクトレンズを40代から70代まで30年間使い続けた場合、人によって大きく異なりますが、レンズ代・ケア用品・定期検査代を合計すると150〜250万円程度になるケースも少なくありません。費用だけで判断するものではありませんが、長期的なコストと生活の質をあわせて考えるひとつの材料にしてください。

無料適応検査について

「ICLを受けるかどうか、まだ決めていない」という方も、適応検査だけ受けることができます。検査は無料で、手術を申し込む義務は一切ありません。検査を受けることで、あなたの角膜の厚み・内皮細胞の密度・前房の深さといった「今の目の精密なデータ」が手元に残ります。仮にICLの適応外と判断されたとしても、このデータは他の治療や将来の眼科受診で必ず役立つ情報になります。

検査を受ける前に知っておいてほしいこと

所要時間は約60〜90分です(散瞳検査を含むため、検査後数時間は視界がぼやけます)。散瞳の影響で当日の車・バイクでの来院はできません。コンタクトレンズを使用中の方は、ソフトレンズは検査の1週間前、ハードレンズは2〜4週間前から使用を中止してください(クリニックにより異なる場合があります)。これまでに眼科で受けた検査データや処方箋があれば持参すると参考になります。

適応検査でわかること

適応検査の結果から、ICLの適応があるかどうか・適応がある場合どの程度の度数が適切か・角膜内皮細胞の状態(術後の長期リスクの目安)・瞳孔径(術後のハロー・グレアの出やすさの参考)がわかります。この結果をもとに、医師から具体的な提案を受けた上で、手術を受けるかどうかをゆっくり考えることができます。「検査を受けたから必ず手術しなければならない」ということは、まったくありません。

まとめ

40代でICLを検討するにあたって、特に押さえておいていただきたい点を整理します。

度数設定は「1.0〜1.2程度」を提案されることが少なくない

老眼の進行を考慮すると、遠近バランスを取った設定が日常生活での快適さにつながる傾向があります。ただし最適な度数はライフスタイルや目の状態によって異なります。

クリニック選びは「不適合を正直に言えるか」が重要な指標になる

安全な手術のために、適応外を適応外と伝えてくれるクリニックを選んでください。ICLは将来の選択肢を残す手術です。角膜を削らないため、白内障手術などへの影響が少なく、必要があれば取り出すこともできます。

無料適応検査は、手術の決断をする前の「情報収集」として活用できる

適応外であっても、目の精密データが得られます。迷っている方こそ、まずは適応検査を受けてみてください。「自分の目が今どういう状態にあるか」を知ることが、正しい判断への第一歩になります。

> 無料適応検査のご予約はこちら(提携クリニックの予約ページへ)

よくあるご質問

将来、老眼になったらどうなりますか?

ICLは近視・乱視を矯正する手術であり、老眼そのものを防いだり治したりするものではありません。

40代以降、加齢とともに手元が見えにくくなる変化は、ICLを受けた方にも自然に訪れます。ただしICLには「レンズを取り出せる」という特徴があり、将来のタイミングで別の対応策を選べる余地が残ります。老眼への対応については、術前のカウンセリングで担当医師に具体的に確認してみてください。

手術後、仕事やスマホはいつから使えますか?

デスクワークであれば翌日から復帰できるケースが多いです。

スマートフォンの使用も術後翌日から少しずつ再開できることが多いですが、目が疲れたと感じたら無理せず休憩を挟んでください。運転は医師の許可が出てから、激しいスポーツや水泳は1〜4週間程度の制限があることが一般的です。詳しい制限の内容はクリニックにより異なりますので、術前に確認しておくと安心です。

20代でICLを受けるのは早すぎますか?適切な年齢はありますか?

ICLには一般的に「21歳以上」という年齢の目安があります。

これは、若年期は近視の度数がまだ変化しやすく、安定してから手術を受ける方が望ましいためです。度数が安定しているかどうかは、過去1〜2年の検査データで確認できます。度数が安定していれば20代前半でも適応になるケースは多いですので、まずは適応検査で現在の目の状態を確認することをおすすめします。

コンタクトレンズを長年使ってきた目でも、ICLを受けられますか?

長期間のコンタクトレンズ使用自体が直接の適応外理由になることはありません。

ただし長期使用によって角膜内皮細胞が影響を受けているケースがあるため、適応検査でその状態を確認することが重要です。また適応検査の前にはコンタクトの使用を一定期間中止する必要があります(ソフトレンズは1週間前、ハードレンズは2〜4週間前が目安)。角膜の状態が正確に測定できるよう、検査前の準備をしっかり行ってください。

手術が怖いです。全身麻酔ですか?意識はありますか?

ICLの手術は点眼麻酔(目薬による局所麻酔)で行われ、全身麻酔は使用しません。

手術中は意識がある状態ですが、目に強い痛みを感じることはほとんどありません。光や器具の動きをぼんやり感じる程度です。手術時間は片眼で10〜15分程度と短く、両眼合わせても30分前後で終わるケースがほとんどです。「怖い」と感じるのは自然なことですので、術前に不安な点を遠慮なく担当医師に伝えてみてください。

友人と同じクリニックで受けようと思っています。紹介割引などはありますか?

紹介制度や友人割引を設けているクリニックはありますが、条件はクリニックによって大きく異なります。

割引目的でクリニックを選ぶより、術後フォローの体制・保証内容・担当医師の説明の丁寧さを優先して選ぶことをおすすめします。友人が通っているクリニックであれば実際の体験談を聞ける点は参考になりますが、適応条件は個人の目の状態によって異なるため、必ずご自身で適応検査を受けてください。

医療ローンを使う場合、審査に落ちることはありますか?

医療ローンは通常のローンと同様に審査があり、必ずしも通過できるとは限りません。

収入・勤務形態・信用情報などが審査の対象になります。審査結果はクリニックではなくローン会社が判断するため、クリニックが合否を保証することはできません。審査に不安がある場合はクリニックに相談すると複数の支払いオプションを案内してもらえることがあります。詳細はカウンセリング時に確認してみてください。

手術後に見え方が気に入らなかった場合、やり直しはできますか?

ICLはレンズを取り出せる手術のため、度数の変更や入れ直しに対応できる場合があります。

ただしやり直しの可否・費用・条件はクリニックによって異なります。「術後1年以内の度数調整は保証内」といった保証制度を設けているクリニックもあります。手術前に「再手術・度数調整の保証内容」を必ず確認しておくことをおすすめします。これはクリニック選びの重要な判断材料のひとつです。

片眼だけ受けることはできますか?費用は半額になりますか?

片眼のみの手術を行うクリニックもありますが、一般的には両眼同日に行うことが多いです。

片眼だけ受けると左右の見え方に差が生まれ、脳がその差に慣れるまで違和感が続くことがあります。費用については片眼分の設定があるクリニックもありますが、必ずしも両眼費用の半額になるわけではありません。どうしても片眼のみを希望する場合は、術前に担当医師と十分に相談してください。

手術後、目の見え方はいつごろ安定しますか?大事な予定の前に受けても大丈夫ですか?

術後の見え方は個人差がありますが、多くの方は術後1週間前後から安定してきます。

完全に安定するまでには1〜3ヶ月程度かかるケースもあります。就職・転職・旅行・結婚式など大事な予定がある場合は、予定の1〜2ヶ月以上前に手術を受けることをおすすめします。直前に受けると見え方が完全に安定していない状態でその予定を迎えることになりかねません。スケジュールに余裕を持って計画することが大切です。

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こちらの記事の監修医師

髙橋 俊明

たかはし眼科髙橋 俊明 先生

岩手県盛岡市にある「たかはし眼科」、院長の髙橋 俊明 です。

平成30年7月からは髙橋公美副院長を迎え、2人体制で診療を行っております。 私の専門は角膜疾患や白内障手術ですが、副院長は眼底疾患を専門としており、幅広い眼科疾患に対応できるようになりました。 さらに2人同時に診察することで、患者様の待ち時間の軽減、ゆとりある診察を行えるようになりました。

医師、スタッフ共々皆様から親しまれますよう今後も努めてまいります。どうぞ、末永くよろしくお願いいたします。

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