防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）とは？ダイエット効果や使い方を解説

防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）は、18種類の生薬で構成される漢方で、代謝を促進し、余分な水分を排出する作用を持ちます。便秘改善にも有効で、代謝促進・利水作用・便秘解消の3点から腹部の脂肪燃焼効果も期待できます。

防風通聖散には次の様なダイエット効果があります。

• 余分な脂質の排出を促す
• 安静時のエネルギー代謝を改善する

防風通聖散は特に内臓脂肪に効果を発揮します。そのため、ぽっこりお腹が気になる人には特におすすめです。

余分な脂質の排出を促す

2018年に行われた研究によると、防風通聖散には「余分な脂質を便と一緒に押し出す効果がある」ことが明らかとなりました。

安静時のエネルギー代謝を改善する

同じく2019年の研究では防風通聖散が「安静時のエネルギー代謝を改善し、脂質の利用率を高める」ことが分かりました。

また、同時に肥満の指標である「体重」、「ウエストサイズ」、「内臓脂肪面積」についても計測した結果、全ての項目で有意な減少が認められ、ダイエット効果を再確認する結果となっています。

防風通聖散のダイエット効果が出始めるのは、一般的に飲み始めてから2週間から1ヶ月かかると言われています。

ただし、防風通聖散をはじめ、何においても飲むだけではなかなか痩せません。効果的なダイエットのためには、さらにバランスの取れた食生活と適度な運動週間が大切です。そのため、服用期間中は食生活の見直しと適度な運動も心がけましょう。

結論から言うと一般的な使用は問題ありませんが、防風通聖散に含まれる生薬が体質的に合わなかったりすると副作用が発現する場合があります。1ヶ月以上服用してもダイエット効果がでない場合は、医師や薬剤師などに相談が必要です。

少し話はズレますが、漢方の世界ではその人の体力や抵抗力を表す「証」という考え方があります。証には体力・抵抗力が充実している「実証」と体力・抵抗力が低い「虚証」があり、防風通聖散は実証の人向けの漢方です。そのため、虚弱体質や冷え性、胃腸が弱い「虚証」の人が服用すると、副作用を起こしやすいので服用は控えた方がよいでしょう。

防風通聖散の服用で起こる可能性がある副作用は次のとおりです。

• 消化器官の症状
• 頭痛や発熱などの症状
• 肝機能の異常

吐き気や嘔吐といった消化器官の症状や、発熱、めまい、肝機能の異常などの副作用が起きる可能性があります。これらの症状が発現した場合は、すぐに使用を中止して、医師や薬剤師などに相談しましょう。

消化器官の症状

防風通聖散の服用で、場合によっては次のような消化器官の症状を発症することがあります。

• 吐き気・嘔吐
• 食欲不振
• 胃部不快感
• 腹部膨満
• はげしい腹痛を伴う下痢
• 腹痛

これらの症状が出た場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診しましょう。

頭痛や発熱などの症状

防風通聖散を服用中に、副作用として頭痛や発熱などの症状が現れるケースもあります。頭痛や発熱が見られたら、すぐに使用を中止して医療機関を受診するようにしましょう。

肝機能の異常

防風通聖散の服用でまれに薬剤アレルギー反応と思われる「肝機能障害」が発現することがあります。具体的な症状は次のとおりです。

• 発熱・発疹
• 黄疸
• 倦怠感
• 皮膚掻痒（ひふそうよう）
• 尿褐色
• 食欲不振

このような症状が見られた場合は、すぐに使用を中止して病院を受診するようにしましょう。

防風通聖散は成人（15歳以上）の場合、1日7.5gを2～3回に分けて服用します。服用のタイミングは食前または食間です。服用する量は年齢や体重、症状によって増減します。なお、漢方メーカーのツムラの公式HPには次のように記載されています。

参照元：ツムラ「ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒」

防風通聖散を使う際には薬の飲み合わせや体質に注意が必要です。副作用を引き起こす可能性もあるので、服用を始める前に注意点は熟読しておきましょう。

薬の飲み合わせに注意

次のような薬を服用している場合は、副作用が発現しやすくなるので、自己判断での服用は止めておきましょう。

• 下剤
• マオウ含有製剤
• エフェドリン類含有製剤
• モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
• 甲状腺製剤（チロキシン、リオチロニン）
• カテコールアミン製剤（アドレナリン、イソプレナリン）
• キサンチン系製剤（テオフィリン、ジプロフィリン）

上記のような薬を併用してしまうと、防風通聖散の効果や交感神経を刺激する作用が増強し、下痢、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮などの症状が発現しやすくなります。そのため、これらの薬を飲んでいる人は、医療機関に相談し、服用可否の判断を仰ぎましょう。

防風通聖散の使用に注意が必要な人

次のような人は防風通聖散の使用に注意が必要です。

• 医師の治療を受けている人
• 妊婦または妊娠していると思われる人
• 虚弱体質の人（体力の衰えている人、体の弱い人）
• 胃腸が弱く下痢しやすい人
• 発汗傾向の著しい人
• 高齢者
• 今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人
• むくみや排尿困難の人
• 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けた人

上記に該当する人は、防風通聖散に含まれる生薬により心身に悪影響が出る可能性があります。そのため、服用を希望する場合は医師または薬剤師など、専門知識がある人に相談するようにしましょう。

防風通聖散を使用できない人

次のような人は防風通聖散の使用は禁止されています。

• 2歳未満
• 授乳中の人

2歳未満の乳児に対しては薬の影響が強く出るおそれがあります。また、授乳中の人に関しては、防風通聖散の成分が母乳に移行し、乳児の下痢を引き起こすおそれがあるため、服用は厳禁です。

防風通聖散は病院で処方してもらうほか、ドラックストアや薬局などでも販売されています。漢方メーカーのツムラが販売しているツムラ62の場合は、次のような費用感で購入可能です。

病院で処方してもらう場合は、内科を受診しましょう。その場合は、保険が適用されるので3割負担となり、1ヶ月分を1,500円程度で購入できます。ドラッグストアや薬局で購入する場合は、副作用のこともあるので自身の症状や体質などを薬剤師や販売登録者に相談のうえ、購入することをおすすめします。

防風通聖散と同じく、「痩せる薬」としてGLP-1が注目を浴びています。両者の違いは次のとおりです。

どちらがよいかは人によります。ダイエット方法に迷う場合は、医療機関に相談したうえで決めることをおすすめします。

防風通聖散に関するよくある質問に回答します。

Q.防風通聖散を何日飲むと痩せる？

個人差はありますが、一般的には2週間から1ヶ月で効果が出るとされています。そのため、最低でも2週間以上の継続は必須です。

Q.防風通聖散はどのくらいで効果が出る？

前述していますが、防風通聖散は一般的に2週間から1ヶ月で効果が出るとされています。

Q.防風通聖散を飲み続けるとどうなる？

長期間服用し続けると、副作用が発現する場合があります。まれに重篤化するケースもあるので長期間使用する場合は、医療機関に相談の上、様子を見ながら服用するようにしましょう。

Q.防風通聖散は肝臓に悪い？

一般的な使用では肝臓に悪影響が出ることはありませんが、まれに薬剤のアレルギー反応により肝機能障害が発現するケースもあります。そのため、医療機関と相談の上で服用を決める方が安心です。

防風通聖散はダイエット効果が期待できる漢方薬です。しかし、防風通聖散を服用しているからと脂っこい食事や糖質の多い食事を続けていては、痩せるものも痩せません。防風通聖散をはじめとしたダイエット効果が期待できる漢方薬はあくまでサポート役なので、防風通聖散の服用と並行して食事制限と適度な運動を行いましょう。