最終更新日:2024.03.05 | 投稿日:2023.11.01

抗肥満薬(肥満改善薬)「アライ」とは?どこで買える?効果や副作用を説明

抗肥満薬(肥満改善薬)「アライ」とは?どこで買える?効果や副作用を説明

ダイエットに効果のある薬が、手軽に買えると嬉しいですよね。現在、防風通聖散などの漢方薬が購入できますが、「自分には合わなかった」と使用を中断してしまった人もいるのではないでしょうか。

近年、ダイエット外来などで処方されるゼニカル(成分名:オルリスタット)と同成分の市販薬「アライ」が厚生労働省に承認されました。

本記事では医師監修のもと、アライについての最新の情報やダイエット効果、使用に関しての注意事項などを解説します。

抗肥満薬(肥満改善薬)「アライ」とは?

アライは、オルリスタットという成分を配合したカプセル状の内臓脂肪減少薬です。大正製薬が開発をすすめ、2023年2月に厚生労働省から製造販売承認を取得しました。

効果としては、「腹部が太めな方の内臓脂肪・腹囲の減少」が認められています。ただし、使用可能年齢は18歳以上で、食事制限や運動習慣などの生活習慣改善を同時に行う場合にのみ効果が出ると言われています。

ちなみに、腹部が太めな人の基準として「腹囲(へその高さ)が男性で85cm以上・女性で90cm以上」に該当する人のみ購入できる薬です。

抗肥満薬(肥満改善薬)「アライ」はどこで買える?

現在はまだ発売開始されていませんが、発売開始後はドラッグストアで購入することが可能です。

アライは、市販薬の一種である要指導医薬品として承認されました。要指導医薬品は、調剤薬局やドラッグストアにおいて、薬剤師による説明などを受けてから購入できる薬です。

購入するためには、アライを服用する本人が薬剤師からの質問や説明を受ける必要があります。また、購入は一度に1人1個までという制限があり、まとめ買いはできません。さらに他の薬と異なって対面での説明が必要なため、インターネット通販では取り扱いのない薬となります。

アライの発売開始後は、薬剤師による説明を受ければ処方箋なしで購入できるようになります。

抗肥満薬(肥満改善薬)「アライ」はいつから買える?

残念ながら、アライは今のところ発売開始の目処がたっていません。

ですが、2022年11月には厚生労働省からダイレクトOTC(※)の要指導医薬品として承認され、2023年2月に製造販売承認を取得しています。詳細な発売時期は未定のため、製造販売会社である大正製薬からの発表を待ちましょう。

アライと同じオルリスタットを配合する薬としては、医療用医薬品のゼニカルがあります。ゼニカルは医師の診察と処方を受けて購入できる薬ですが、国内未承認の医薬品のため自費診療(10割負担)での購入となります。

※ダイレクトOTC:日本国内で医療用医薬品としての発売を経ずにOTC医薬品として承認される薬

アライのダイエット効果

アライの配合成分であるオルリスタットは、脂肪を分解する酵素であるリパーゼの働きを抑えることで、食事中の脂肪が体内に吸収される過程を阻害します。吸収を阻害された脂肪は便から体外へ排泄されます。

脂肪は炭水化物やたんぱく質よりもカロリーが高いため、アライによって脂肪吸収を抑えることにより摂取カロリーが大幅に減少し、結果的に体重も減少していきます。

現在、1カプセル中にオルリスタットを120mg含有したゼニカルが医療用医薬品として販売されていますが、食事中の脂肪の30%程度が体内に吸収されずに便から排泄され、半年〜1年単位の内服継続で体重が減少したというデータが確認されています。

アライにはゼニカルの半量である60mgのオルリスタットが配合されています。アライもゼニカルと同様に半年程度で効果が出てくると考えて良いでしょう。実際、使用開始から半年程度で効果が見られなければ使用を中止するように注意喚起されています。

このオルリスタットの体重減少効果は、最近流行中のGLP-1ダイエットで使用されるリベルサスやオゼンピック(成分名:セマグルチド)と比べるとゆるやかであると言われていますが、比較的に低血糖などの副作用が起こりにくく、使用方法も1日3回食事中〜食後1時間に飲むだけでシンプルなため継続しやすいでしょう。

アライの使用で起こりうる副作用

アライを使用すると、次のような副作用が起こる可能性があります。

  • 油漏れ・脂肪便が増える
  • おならが出やすくなる
  • ビタミン不足
  • 肌状態の悪化

上記の副作用は、アライの「脂肪の吸収を抑える」効果によるものです。これらによって体の不調が出る場合には、アライの使用を中止、または購入した店舗の薬剤師に相談することをおすすめします。

油漏れ・脂肪便が増える

アライは、脂肪の消化吸収を抑えて体重や腹囲を減少させる薬です。そのため、吸収されなかった脂肪や油が便に混ざったり、下着に付着したりすることがあります。

また、脂肪の多い便によってお腹の調子が悪くなり、軟便になることもあるでしょう。

このような症状は、特に油っぽい食事をしたときに出やすいため、アライを飲んでいる期間も食事内容には気をつけてください。

おならが出やすくなる

アライを飲むと、おならが出やすくなる人もいます。おならと一緒に軟便が出てしまう場合もあるでしょう。

上記の副作用はアライを飲み始めたばかりの人や、脂肪分の多い食事をした時に出やすいといわれています。

多くの場合、副作用の程度は軽く、徐々に落ち着いていきますが、お腹の調子がずっと悪い場合は薬剤師に相談しましょう。

ビタミン不足

アライの使用中は、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンの吸収が減ってしまいます。脂溶性ビタミンは食事中の脂肪と一緒に吸収されるため、アライを飲むことで体内への吸収が少なくなってしまうのです。

体調が悪化するほどのビタミン不足はまれですが、普段から栄養やビタミンがしっかり摂取できる食事を心がけることをおすすめします。

肌状態の悪化

上記のビタミン不足により、肌状態が悪化することがあります。ビタミンAやビタミンEは肌や粘膜の健康に関係するビタミンでもあり、不足するとカサつきが気になる場合もあるでしょう。普段からスキンケアをしっかり行い、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

また、アライを飲んだ直後に、まれにじんましんや全身にかゆみが出る場合があります。この症状はアライの何らかの成分によるアレルギー症状のため、すぐに病院を受診する必要があります。

その他重篤な症状

アライの重篤な副作用として、肝機能障害があります。

アライと同成分のゼニカルのケースとなりますが、皮膚や白目が黄色くなる黄疸という症状や脱力感、腹痛の副作用が海外で30件程度報告されています。

アライを飲み始めてから、黄疸や脱力感、腹痛、発熱、褐色尿、吐き気、かゆみ、食欲不振など、体調の変化が見られる場合はすみやかに病院を受診しましょう。また、定期的に健康診断を受け、肝機能を含めた健康上に問題がないか確認することも大切です。

アライを購入するときに薬剤師から体調について聞かれる場合がありますが、副作用のリスクを考慮して正直に答えましょう。

アライの使い方

アライを使うときは、パッケージに記載のある「使用上の注意」や「用法・用量」をよく読みましょう。

現在、大正製薬の公式サイトで公開されている用法用量は次のとおりです。

次の量を食事中又は食後1時間以内に水又はぬるま湯で服用してください。

年齢 1回量 服用回数

成人
(18才以上)

1カプセル 1日3回
18才未満 服用しないこと

引用:大正製薬|内臓脂肪減少薬「アライ」の製造販売承認取得のお知らせ

アライを使う際の注意点

アライは処方箋なしで購入できる要指導医薬品ですが、使うときには注意点があります。現在、アライの注意事項は詳しく公開されていないため、アライと同成分のゼニカルを参考にして注意点を紹介していきます。

薬の飲み合わせに注意

現在、他の病気を治療している人やアライ以外に飲んでいる薬やサプリメントがある人は、必ずかかりつけの医師または薬剤師に相談しましょう。特に以下の薬を使用中の人はアライの使用に注意が必要です。

【注意が必要な薬】

  • シクロスポリン(免疫抑制薬)
  • レボチロキシン(甲状腺機能低下症治療薬)
  • ワルファリン(抗凝固薬)
  • アミオダロン(不整脈治療薬)
  • 抗てんかん薬
  • 抗レトロウイルス薬

上記の薬とアライを一緒に飲むと、上記の薬の効果が思うように得られなくなったり、思わぬ副作用を招いたりすることがあります。治療中の病気を悪化させる原因となるため、アライは使用しないようにしてください。

アライを購入するときに薬剤師から飲んでいる薬や治療中の病気について聞かれた場合は、サプリメントも含めてしっかり答えましょう。

アライの使用に注意が必要な人

以下に該当する人は、アライの使用が適していない可能性があるため、必ず薬剤師に伝えましょう。

  • 今まで薬や食べ物によるアレルギーを起こしたことがある人
  • 他の医薬品やサプリメントを使用中の人
  • 食欲不振や過食傾向のある人
  • 現在治療中の病気がある人

上記に当てはまる人がアライを使用すると、体調や持病の悪化、また副作用のリスクが高まります。他の減量方法が適している場合もあるため、使用する前に薬剤師に相談してみましょう。

アライを使用できない人

アライを使用できない人は次のとおりです。

  • 胆汁うっ滞と診断された人
  • 吸収不良症候群と診断された人
  • 18歳未満
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある人
  • 授乳中の人
  • アライの効能効果に記載のある対象者に該当しない人

妊娠中の人、胎児、母乳への影響についてはデータが不完全であり、効果や安全性がはっきりとわかっていません。

また、18歳未満の未成年やアライの効能効果が得られないと考えられる人には使用できません。具体的には、腹囲(へその高さ)が男性で85cm未満、女性で90cm未満の人、また腹囲は条件をクリアしていても生活習慣の改善に取り組んでいない人はアライの使用はできません。アライは、食事や運動習慣の改善をしても腹囲や体重の減少効果がない人に限って使用が認められています。

アライに関するよくある質問

最後に、アライに関するよくある質問に回答します。

Q.アライの購入方法は?

アライはまだ要指導医薬品として発売されていないため、購入はできません。発売開始時期も未定です。

アライと同じ名称の「Alli」という薬が海外で市販されており、個人輸入できるサイトがあります。しかし、偽造品が流通して問題となっているため、薬やサプリメントの個人輸入はおすすめしません。海外から個人輸入した薬やサプリメントの中には、偽造品として全く配合成分が異なっているものや重大な健康被害を及ぼすものが度々発見されています。

Q.肥満治療薬は保険適用される?

現在、ほとんどの肥満治療薬は保険適用でない自費診療で処方されています。

保険適用で処方可能な薬にサノレックス(成分名:マジンドール)や防風通聖散がありますが、保険適用の条件が厳しかったり効果にかなり個人差があったりするなどの課題があります。

最近では、リベルサスと同成分のウゴービ(成分名:セマグルチド)が、2023年3月に厚生労働省から肥満治療薬として承認を受けました。ですが、発売開始時期は未定の状況です。

Q.日本で買える肥満症の治療薬は?

日本のドラッグストアやインターネット通販では、ダイエットとして使用できる漢方薬が販売されています。

たとえば、代謝を上げて排便を促す防風通聖散や、ストレスで食べすぎてしまう人向けの大柴胡湯、むくみ太りを解消する防己黄耆湯などが処方箋なしで購入できます。

ただし、これらは健康上問題のない人が体質改善を目的として飲む漢方薬です。他に飲んでいる薬や持病がある人は医師や薬剤師に相談してから購入しましょう。

まとめ

この記事では、食事中の脂肪を吸収しにくくする「アライ」について解説しました。アライは、現在ドラッグストアなどで購入できる要指導医薬品として発売準備がされています。脂肪を分解するリパーゼという酵素を阻害し、食事中の脂肪の一部を便から排泄させる効果があります。

アライは治療適応や副作用など、使用には注意が必要な薬です。腹囲が85〜90cm以上で、食事や運動など生活習慣の対策をしている成人のみ使用可能です。

アライの発売開始時期は未定ですが、この記事を読んで理解を深めておくと実際に発売された際に、スムーズに使用開始できるでしょう。

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こちらの記事の監修医師

髙倉 一樹

UnMed Clinic Motomachi髙倉 一樹 先生

横浜市中区元町にあります「UnMed Clinic Motomachi 」院長の髙倉です。地元横浜でクリニックを開院しています。

今までに学んできた事、経験した事を最大限活かし、医学と科学をしっかり結び付けながら、患者さんに求められている医療を最大限表現したいと思います。そのために、今の時代の流れの中で、積極的に新しいものを取り入れながら、地元への医療貢献、さらにはここ横浜からグローバルな医療を皆様にお届け出来る様、精一杯努力する所存でおります。

現在、当院ではオンライン診療を立上げ、メディカルダイエット(肥満外来)、不眠症外来、コロナ後遺症外来を実施しております。全国の患者様に対応しておりますので、お気軽にホームページのオンラン診療予約からご予約ください。

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