最終更新日:2023.09.29 | 投稿日:2023.09.15

子どもの近視とは?原因と予防、治療法を解説

子どもの近視とは?原因と予防、治療法を解説

お子さんが遠くのものを見えづらそうにしている様子が気になった経験はないでしょうか。

近くを見るときには問題ないが、遠くを見るとぼやけてまう状態を「近視」といいます。近視は、小学校から中学校にかけて発症することが多い病態です。

最近では、近視がもっとも進行するといわれている小児期に、できるだけ進行を抑制しようとする治療が行われています。

本記事では、眼科医に監修していただき、子どもの近視の原因と予防、治療法について解説しています。

子どもの近視とは?

目の構造は、カメラとよく似ています。レンズに相当し、光を屈折させてピントを合わせるのが角膜と水晶体です。そして虹彩とよばれるフィルターを通過して光量を調節させながら、フィルムに相当する網膜に焦点を合わせていきます。

このように、遠くから届いた光(平行光線)が、網膜でピントが合うようになっています。この正常な状態を正視といいます。

近視とは、遠くにあるものがぼやけてしまい見えにくくなってしまう状態です。

本来であれば、遠くから届いた光は網膜上で正しくピントが合いますが、近視の人は、そのピントが網膜の手前で合ってしまいます。その結果、遠くのものがぼやけて見えてしまうのです。

子どもの視力が低下する原因は、一部近視ではない眼病によっておきる場合もありますが、ほとんどのケースが近視の進行によるものだと考えられています。

近視の原因は、眼軸長と屈折力にあり

なぜ近視の人は、網膜の手前でピントがあってしまうのか。近視の人の多くは、眼軸長とよばれる眼球の奥行き部分(角膜から網膜までの眼球の長さ)が通常よりも長くなっています。

軽度の近視の方は90%近く、強度の近視の方は100%の割合で眼軸長が長いことが主な原因です。これを軸性近視とよびます。また、眼軸長の長さの他にも、角膜・水晶体での屈折力が強くて近視が起こる場合もあります。これを屈折性近視とよびます。

小学生中学生で近視がおこる原因

令和3年に実施された文部科学省学校保健統計調査によると、視力が1.0未満の子どもの割合は小学1年生(6歳)で約23%、学年が上がるにつれて、その割合はふえていき、中学1年生(12歳)では57%を超えることがわかりました。

小学校から中学校にかけて、友人たちがめがねをかけ始めたという経験はないでしょうか。もしくは親御さんご自身も、その頃からめがねにお世話になっているという方もいらっしゃるかもしれません。

実は多くの人は、幼児期には遠視です。その後、眼球の成長とともに、徐々に正視になっていきます。しかし、この成長過程でレンズの屈折力と眼軸長のバランスがくずれてしまうと近視になります。

その際、屈折力よりも変動が大きい眼軸長のほうが、バランスをくずす原因になりやすいと考えられます。小中学生の時期は、この成長過程にあります。そのため、バランスがくずれて近視を発症する人が多くなります。

では、なぜ眼軸長が長くなるのか?

その要因は、

  • 遺伝的な要因
  • 環境的な要因

この2つの影響が関係していると考えられています。

しかし、どちらの要因がどの程度影響をおよぼすのかは、まだよくわかっていません。

子どもの近視に影響する遺伝的な要因

近視になるかどうかを左右する眼軸長を決めているものの1つに、遺伝的な要因が考えられています。背の高さと同じように、眼軸長も遺伝するのではないかということです。

実際、ほかの地域にくらベアジア人の近視の率が高いことや、両親が近視であれば子どもの近視の率が高いという統計データがその根拠となっています。

子どもが近視になる環境的な要因

近視を発症させる環境的な要因として、パソコンの使用や読書など近い距離にある物を見て行う作業によって、近視になってしまうリスクが上がると考えられます。

長時間、近くのものを見ながら作業を続けていると、ピントの調節能力が弱まってしまい、一時的に近視と同じような症状(偽近視)が出ることがあります。

近視の発症と進行には、さまざまな要因が関係していると考えられています。

近視を矯正する治療

近視の橋正法はいくつかあげられます。

矯正法 特徴

眼鏡
眼の前方に置いた凹レンズを使ってピントを合わせる

コンタクトレンズ
角膜に接触させた凹レンズを使ってピントを合わせる
レーシック
角膜の一部をレーザーでけずって屈折力をかえる

オルソケラトロジー
特殊なコンタクトレンズを夜間に装着し。角膜を変形させ,屈折力をかえる

代表的なものは眼鏡とコンタクトレンズだ。どちらも,中央がへこんだ凹レンズを使って眼に入る光をいったん広げ、ピントが合うまでの距離をのばすという橋正法である。

ほかには、特殊なレーザーによって
レンズの役割をもつ角膜をけずって
薄くし,角膜の屈折力を変化させることで,網膜上にピントが合うようにする矯正法であるレーシックです。

しかし、「強度の近視の人は眼軸長が非常に長く,レーシックで屈折力を変化させても視力が改善しないことがあります。専門の眼科医に相談したうえで実施を検討してください。

最近では、眼内にコンタクトレンズを埋め込む「有水晶体レンズ」, または「フェイキックレンズ」が広く行われている。これらは、いわば,外れないコンタクトレンズを角膜や目の中に移植するものである。

近視の進行を予防するための治療

最近,近視が最も進行する小児期に、できるだけ進行を抑制しようとする治療が行われています。

●低濃度アトロピン点眼
●オルソケラトロジー
●多焦点コンタクトレンズ

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こちらの記事の監修医師

横倉 俊二

長町よこくら眼科横倉 俊二 先生

宮城県仙台市太白区にある「長町よこくら眼科」、院長の横倉 俊二と申します。

私は東北大学病院に勤務し、角膜・結膜をはじめとする眼表面(オキュラ―サーフェス)疾患の治療・研究に長く携わって参りました。最先端の研究・治療に触れる機会が多く、充実した日々を過ごして参りましたが、病院の性質上、病気が進行した患者さんが紹介されてくるケースが非常に多く、病気の早期発見・早期治療の重要性を痛感させられる日々でもありました。

「自分がこれまで学んできた知識・技術を活かして、少しでも早く目の病気の発見・治療につなげることはできないだろうか。」と考えた結果、クリニック開院に至りました。

仙台で眼科のかかりつけ医をお探しの方は、ぜひ当院へご来院ください。何卒宜しくお願い申し上げます。

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