発症直後は無理に動かず、痛みのある部位を氷などで冷やすことが基本です。
ただし、「絶対安静」は推奨されておらず、痛みが少し落ち着いたら、可能な範囲で軽く身体を動かすことが回復を早めるとされています。 数日間寝たきりでいると、筋力が低下し、かえって慢性腰痛につながる可能性があります
突然、腰に激しい痛みが生じる「ぎっくり腰」は、医学的には急性腰痛といいます。
ぎっくり腰は、身動きが取れないほどの強い痛みに襲われますが、実は何の前ぶれもなく突然おきる訳ではなく、その背景には発症の原因・きっかけ、前兆・前触れがあります。
本記事では、整形外科の医師に監修していただき、ぎっくり腰の対処法と痛みきっかけや受診の目安、原因と予防法を解説しています。
腰痛には、突然激しい痛みが生じる急性腰痛症と、腰痛が何度も繰り返し起こったり長引いてしまったりする慢性腰痛症があります。
急性腰痛症とは名前の通り「急に起きる腰痛」の総称で、その代表格が「ぎっくり腰」です。
ぎっくり腰には、咄嗟に動いたときなどにギクッと響くような痛みがでるイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
ぎっくり腰のきっかけになるのは、
など、いずれも日常生活において、ささいなことがほとんどです。
そのため、「なぜ、こんなことで?」と思われがちですが、実はそれ以前に、ぎっくり腰発症の前兆・前触れとなるような状況が体の中で起こっています。
腰まわりの筋肉や腰椎、椎間板に何らかのトラブルが生じていて、単にくしゃみが最後のひと押しとなっただけで、きっかけに過ぎません。
ぎっくり腰が起こったときの対処法は、原因にかかわらず基本的に次の4つです。
それぞれを詳しく解説します。
痛みが出ている患部を、氷などでしっかりと冷やすことです。筋肉に炎症が起こっているぎっくり腰は、冷やすことで痛みが和らぎます。しかし、痛みが和らいだあとは、一旦様子をみましょう。そのまま冷やし続ける方が良いか、逆に入浴等などで患部を温める方が良い場合もあります。
体の状態や人によっても感じ方に差があるため、自分が心地よいと感じる方を選択しましょう。
症状が落ち着くまで極力安静に過ごすことです。ぎっくり腰が起こった当日や翌日は、安静にして過ごし、痛みが和らいで動けるようになってから医療機関を受診してください。
また、安静に過ごすのは初めのうちだけです。痛みが和らいだら、多少の痛みが残っていてもなるべく動くようにしましょう。腰痛が慢性化しないように、無理のない範囲でなるべく体を動かすことが大切です。
急性期で痛みが強く辛いときは、鎮痛薬を飲むのもひとつの対処法です。ただし、あくまでも痛みが強いとき、というのがポイントです。鎮痛薬は対症療法であり、根本的な治療ではありません。長期間の服用は避けましょう。
どのような薬にも副作用がありますので、薬の効果と副作用、それをよく理解して服用することが大切です。
コルセット等の補助装置の活用も効果があります。コルセットや腰のサポーターで固定することで、体への負担を軽減できます。痛みで体を動かすのがつらいときは、使用を検討しましょう。
ただし、痛みが和らいだあとは使うのをやめることが賢明です。腰に負担がかかるのを恐れて使い続けてしまと、腰回りを中心に筋力が低下してしまい、玉姫腰痛が起こりやすくならます。
急性腰痛症の原因は、腰の筋肉の肉離れや椎間関節の捻挫が原因となっている場合が多いですが、中には椎間板ヘルニアや椎体骨折などの疾患が原因となている場合があります。
など、これらのような症状が出ていて日常生活に支障をきたしている場合は、なるべく早めに受診しましょう。
一般的な腰痛の背景には、
など、いくつかの要因が考えられ、時にそれらが複雑に絡み合って発症するケースも少なくありません。
ただ、ぎっくり腰(急性腰痛症)の場合は、筋肉をはじめ、骨・椎間板などに問題がある場合が多いため、整形外科領域での対応となります。
まずは整形外科を受診して、適切な検査を受けましょう。
原因はさまざまですが、特に背中の筋肉(脊柱起立筋)や、腰の骨に付着している筋肉に炎症が起こり、腰に痛みが生じることが多いと考えられています。
発症直後は無理に動かず、痛みのある部位を氷などで冷やすことが基本です。
ただし、「絶対安静」は推奨されておらず、痛みが少し落ち着いたら、可能な範囲で軽く身体を動かすことが回復を早めるとされています。 数日間寝たきりでいると、筋力が低下し、かえって慢性腰痛につながる可能性があります
軽度であれば数日〜1週間程度で改善することが多いですが、以下のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診してください。
以下のような要因がぎっくり腰の引き金になるとされています
「急に起きる」と言われるぎっくり腰ですが、実は前触れがあるケースも多いです。以下のような前兆に注意しましょう
【急性期(痛みが強いとき)】:冷やすことで炎症を抑えます(1〜2日程度)。
【回復期(痛みが和らいできたら)】:温めることで筋肉の緊張を和らげ、血流を促進します。ただし、症状が不明確な場合や冷却・温熱で悪化する場合は専門医に相談を。
市販のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や湿布は、急性期の痛み緩和に効果があります。
ただし、長期間の使用は副作用リスクや依存につながるため、できるだけ早めに中止し、運動療法や姿勢改善に移行することが重要です。 近年では、薬物治療は「補助的な手段」として短期で使用するのが基本方針です。
最も楽な体勢は人によって異なりますが、一般的には以下のような姿勢が推奨されます
2025年の最新ガイドラインでは、個別化された軽運動の導入が推奨されています。以下が有効です
再発を繰り返す場合、以下の対策が重要です
以下の行動は症状悪化や慢性化の原因になるため避けてください
こごた整形外科クリニック佐藤 諒 先生
宮城県遠田郡美里町「こごた整形外科クリニック」、院長の佐藤 諒 です。
私は開業医であった祖父母の姿をみて育ちました。学生の頃からスポーツに励み、ケガをしては地域の整形外科へお世話になっておりました。私の地元には開業医が少なかったこともあり、もっと地域の方々が気軽に来院できるクリニックがあったら…と感じることもありました。
それらの経験が重なり、いつしか医師の道へ。そして、整形外科開業の道を目指すようになりました。
子供からお年寄りまで幅広い年齢の方が「何かあったらすぐに頼れる」クリニック。そんな安心した環境を追求するべく、スタッフ一同、医療業務に励んでまいります。各世代に合わせた幅広いケガや疾患に対する診療を実現し、総合的な医療サービスを提供できるようにいたします。
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