最終更新日:2025.07.17 | 投稿日:2025.07.17

ぎっくり腰の対処法は?痛みきっかけと受診の目安、原因と予防法を解説

ぎっくり腰の対処法は?痛みきっかけと受診の目安、原因と予防法を解説

突然、腰に激しい痛みが生じる「ぎっくり腰」は、医学的には急性腰痛といいます。

ぎっくり腰は、身動きが取れないほどの強い痛みに襲われますが、実は何の前ぶれもなく突然おきる訳ではなく、その背景には発症の原因・きっかけ、前兆・前触れがあります。

本記事では、整形外科の医師に監修していただき、ぎっくり腰の対処法と痛みきっかけや受診の目安、原因と予防法を解説しています。

ぎっくり腰とは? – 発症のきっかけ

腰痛には、突然激しい痛みが生じる急性腰痛症と、腰痛が何度も繰り返し起こったり長引いてしまったりする慢性腰痛症があります。

急性腰痛症とは名前の通り「急に起きる腰痛」の総称で、その代表格が「ぎっくり腰」です。

ぎっくり腰には、咄嗟に動いたときなどにギクッと響くような痛みがでるイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

ぎっくり腰のきっかけになるのは、

  • 重いものを持ち上げようとしたとき
  • 椅子から立ちあがろうとしたとき
  • 後ろを振り返ろうとしたとき
  • くしゃみをしたとき

など、いずれも日常生活において、ささいなことがほとんどです。

そのため、「なぜ、こんなことで?」と思われがちですが、実はそれ以前に、ぎっくり腰発症の前兆・前触れとなるような状況が体の中で起こっています。

腰まわりの筋肉や腰椎、椎間板に何らかのトラブルが生じていて、単にくしゃみが最後のひと押しとなっただけで、きっかけに過ぎません。

ぎっくり腰の痛みを和らげる対処法

ぎっくり腰が起こったときの対処法は、原因にかかわらず基本的に次の4つです。

  • 患部を冷やす
  • 安静にする
  • 鎮痛剤の使用
  • 補助装置の活用

それぞれを詳しく解説します。

痛みが出ている部分を冷やす

痛みが出ている患部を、氷などでしっかりと冷やすことです。筋肉に炎症が起こっているぎっくり腰は、冷やすことで痛みが和らぎます。しかし、痛みが和らいだあとは、一旦様子をみましょう。そのまま冷やし続ける方が良いか、逆に入浴等などで患部を温める方が良い場合もあります。

体の状態や人によっても感じ方に差があるため、自分が心地よいと感じる方を選択しましょう。

できる限り安静に過ごす

症状が落ち着くまで極力安静に過ごすことです。ぎっくり腰が起こった当日や翌日は、安静にして過ごし、痛みが和らいで動けるようになってから医療機関を受診してください。

また、安静に過ごすのは初めのうちだけです。痛みが和らいだら、多少の痛みが残っていてもなるべく動くようにしましょう。腰痛が慢性化しないように、無理のない範囲でなるべく体を動かすことが大切です。

鎮痛剤を服用する

急性期で痛みが強く辛いときは、鎮痛薬を飲むのもひとつの対処法です。ただし、あくまでも痛みが強いとき、というのがポイントです。鎮痛薬は対症療法であり、根本的な治療ではありません。長期間の服用は避けましょう。

どのような薬にも副作用がありますので、薬の効果と副作用、それをよく理解して服用することが大切です。

補助装置の活用

コルセット等の補助装置の活用も効果があります。コルセットや腰のサポーターで固定することで、体への負担を軽減できます。痛みで体を動かすのがつらいときは、使用を検討しましょう。

ただし、痛みが和らいだあとは使うのをやめることが賢明です。腰に負担がかかるのを恐れて使い続けてしまと、腰回りを中心に筋力が低下してしまい、玉姫腰痛が起こりやすくならます。

ぎっくり腰の症状 – 受診の目安

急性腰痛症の原因は、腰の筋肉の肉離れや椎間関節の捻挫が原因となっている場合が多いですが、中には椎間板ヘルニアや椎体骨折などの疾患が原因となている場合があります。

  • 激しく痛んで辛い
  • 痛みがどんどん増してくる
  • 足のしびれがある
  • 発熱症状がみられる
  • 排尿・排便がしにくい

など、これらのような症状が出ていて日常生活に支障をきたしている場合は、なるべく早めに受診しましょう。

ぎっくり腰は何科を受診する?

一般的な腰痛の背景には、

  • 骨・椎間板・筋肉神経の問題
  • 内科・婦人科系の問題
  • ストレスや心の問題

など、いくつかの要因が考えられ、時にそれらが複雑に絡み合って発症するケースも少なくありません。

ただ、ぎっくり腰(急性腰痛症)の場合は、筋肉をはじめ、骨・椎間板などに問題がある場合が多いため、整形外科領域での対応となります。

まずは整形外科を受診して、適切な検査を受けましょう。

ぎっくり腰の原因・発症リスク

原因はさまざまですが、特に背中の筋肉(脊柱起立筋)や、腰の骨に付着している筋肉に炎症が起こり、腰に痛みが生じることが多いと考えられています。

ぎっくり腰に関するよくあるご質問

ぎっくり腰になった直後はどう対処すればよいですか?

発症直後は無理に動かず、痛みのある部位を氷などで冷やすことが基本です。

ただし、「絶対安静」は推奨されておらず、痛みが少し落ち着いたら、可能な範囲で軽く身体を動かすことが回復を早めるとされています。 数日間寝たきりでいると、筋力が低下し、かえって慢性腰痛につながる可能性があります

ぎっくり腰は自然に治るものですか?病院に行くべき目安は?

軽度であれば数日〜1週間程度で改善することが多いですが、以下のような症状がある場合はすぐに医療機関を受診してください。

  • お尻や脚に強いしびれや痛みがある
  • 排尿・排便がしづらい
  • 数日経っても症状が改善しない
これらは椎間板ヘルニアや神経圧迫など重大な疾患が隠れている可能性があります

ぎっくり腰の主な原因は何ですか?

以下のような要因がぎっくり腰の引き金になるとされています

  • 重い物を急に持ち上げた
  • 長時間のデスクワーク
  • 筋力の低下・柔軟性の欠如
  • 姿勢の悪さや骨盤のゆがみ
  • ストレスや疲労の蓄積
実際には、日々の生活習慣の積み重ねが背景にあることが多く、突然の動作が「最後の一押し」となる場合がほとんどです

ぎっくり腰には前兆がありますか?

「急に起きる」と言われるぎっくり腰ですが、実は前触れがあるケースも多いです。以下のような前兆に注意しましょう

  • 腰が重い・張る感じがする
  • 腰を反らすと違和感がある
  • 朝起きたときに痛みを感じる
これらは、筋肉や関節に微細な負荷が蓄積しているサインであり、早期のストレッチや運動で予防できる可能性があります。

冷やす?温める?どちらが正解?

【急性期(痛みが強いとき)】:冷やすことで炎症を抑えます(1〜2日程度)。

【回復期(痛みが和らいできたら)】:温めることで筋肉の緊張を和らげ、血流を促進します。ただし、症状が不明確な場合や冷却・温熱で悪化する場合は専門医に相談を。

痛み止めや湿布は使ってもいいですか?

市販のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や湿布は、急性期の痛み緩和に効果があります。

ただし、長期間の使用は副作用リスクや依存につながるため、できるだけ早めに中止し、運動療法や姿勢改善に移行することが重要です。 近年では、薬物治療は「補助的な手段」として短期で使用するのが基本方針です。

どのような姿勢で安静にすればいいですか?

最も楽な体勢は人によって異なりますが、一般的には以下のような姿勢が推奨されます

  • 横向きで膝を軽く曲げる「エビのような姿勢」
  • 仰向けで膝の下にクッションを入れる
また、同じ姿勢を長時間続けると悪化の原因になるため、可能な範囲で姿勢を変えたり、軽く動かしたりするのが望ましいです。

ぎっくり腰を予防するには、どんな運動が効果的ですか?

2025年の最新ガイドラインでは、個別化された軽運動の導入が推奨されています。以下が有効です

  • ウォーキングなどの有酸素運動(血流改善)
  • 体幹筋を鍛えるトレーニング(プランクなど)
  • 腰部や股関節周囲のストレッチ
自己流ではなく、理学療法士などの専門家の指導のもと段階的に実施するのが望ましいとされています。

繰り返すぎっくり腰にはどう対応すればいいですか?

再発を繰り返す場合、以下の対策が重要です

  • 姿勢や動作の癖を見直す
  • 腰回りの筋力を強化する
  • 生活習慣の改善(睡眠、体重、ストレス管理など)
また、従来の治療で改善しないケースでは、「幹細胞治療」「PRP療法」「ディスクシール法」などの再生医療の選択肢も増えてきました。 ただし、すべての患者に適応されるわけではないため、専門医と十分に相談する必要があります。

やってはいけない対処法や注意点はありますか?

以下の行動は症状悪化や慢性化の原因になるため避けてください

  • 長時間のベッド上安静や座りっぱなし
  • 痛みを我慢して無理にストレッチ・マッサージを行う
  • 資格のない整体師などによる自己判断の施術を受ける
  • 腰に過剰な負荷がかかる重労働や激しい運動
最新の指針では、“無理しすぎない適度な活動”と“正確な医学的ケア”が最重要とされています。

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こちらの記事の監修医師

佐藤 諒

こごた整形外科クリニック佐藤 諒 先生

宮城県遠田郡美里町「こごた整形外科クリニック」、院長の佐藤 諒 です。

私は開業医であった祖父母の姿をみて育ちました。学生の頃からスポーツに励み、ケガをしては地域の整形外科へお世話になっておりました。私の地元には開業医が少なかったこともあり、もっと地域の方々が気軽に来院できるクリニックがあったら…と感じることもありました。

それらの経験が重なり、いつしか医師の道へ。そして、整形外科開業の道を目指すようになりました。

子供からお年寄りまで幅広い年齢の方が「何かあったらすぐに頼れる」クリニック。そんな安心した環境を追求するべく、スタッフ一同、医療業務に励んでまいります。各世代に合わせた幅広いケガや疾患に対する診療を実現し、総合的な医療サービスを提供できるようにいたします。

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